奇跡

「奇跡」（2011年公開）監督・脚本・編集　是枝裕和



（主な出演者）

　前田航基・前田旺志郎（まえだまえだ）、内田伽羅、橋本環奈、オダギリジョー、夏川結衣、阿部寛、長澤まさみ、原田芳雄、大塚寧々、樹木希林、橋爪功

（あらすじ）
　両親の離婚により鹿児島県と福岡県で離ればなれに暮らす小学校６年生の兄、航一（前田航基）と４年生の弟、龍之介（前田旺志郎）
　いつかまた家族４人で暮らしたいと願う２人の兄弟は、九州新幹線が全線開業する日の朝、鹿児島から福岡に向かう新幹線「つばめ」と福岡から鹿児島に向かう「さくら」が初めてすれ違ったときに願い事が叶うという噂を耳にする。そして、２人は携帯電話で連絡をとりながら、それぞれのクラスメイトや周りの大人を巻き込んで計画を立て始める・・・。

　オーデションで選ばれたという子役たちがとにかくすばらしい。そしてかわいい。
　ダブル主役の前田航基と前田旺志郎は、「漫才師」らしく軽快な関西弁で作品全体を明るくほのぼのとしたものにしてくれている。


　樹木希林の孫で河瀬直美監督作品「あん」(2015年）でも祖母と共演した内田伽羅も小学生ながら女優の片鱗を見せている。


　また、2013年に“天使すぎるアイドル”として大ブレイクして今や超売れっ子の橋本環奈も内田のクラスメイトとして出演し、普通の小学生を演じている。

（映画出演時と現在）

　なお、福岡ロケは早良区の百道浜小学校や中央区の大濠公園など、鹿児島ロケは鹿児島中央駅や桜島が見える市内各所。
　そして、子どもたちが鈍行列車を乗り継いでたどり着いた「新幹線がすれ違う」場所が、熊本県の宇城市。何と映画少年の故郷である。
　他にも買い物に行ったことがある宇土市のショッピングセンターや宇土駅と熊本駅の間にある川尻駅など、懐かしい場所が次々と出てきて映画そっちのけで「あっ、そこ知ってる」と何度言ったことか。事前に知らなかっただけに感無量であった。

　それはさておき、作品を見終わったあと「是枝監督らしいな」と改めて思った。
　「家族」をテーマに撮らせたら、山田洋次監督と並ぶ、いやそれ以上かも知れない。そんなことを考えながらエンドロールを見つめ、余韻に浸った映画少年であった。