先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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1919年12月の労働争議(読書メモ・・・大原社研「日本労働年鑑」1920年版)

2021年01月30日 10時12分52秒 | 1919年の労働運動

1919年12月の労働争議(読書メモ・・・大原社研「日本労働年鑑」1920年版)

1919年12月の主な出来事
12.2  友愛会日立事件
茨城県の日立製作所と日立鉱山で友愛会により、10月「日立連合会」が結成された。会社の攻撃が激しくなり、友愛会員を大量解雇や脱会強要があり、官憲は12月2日の演説会で大量な検挙を行い麻生久ら14名を起訴し、11名が有罪判決となり、日立連合会は壊滅させられた。

12.12 普選期成同盟会全国同志大会2千人で開催。友愛会鈴木文治や労働者、学生も演説

12.15 「人格尊重・8時間制・日給制など」の東京市電労働者争議高揚。労働者「サボタージュだ!」「ストライキだ!」と激昂

12.15 普選期成関西労働聯盟発足 賀川豊彦の呼びかけで、関西友愛会・大阪鉄工組合・向上会など関西の14の労働団体が参加

12.21 東京市電争議、岡警視総監の調停で一応解決

12.22 渋沢栄一らが「労資協調」を旨した協調会を結成。1938年には産業報国運動を提言

12.24 「治安警察法撤廃・普選期成」労働大演説会開催を友愛会、信友会など共催


12月の労働争議

12/1 福岡宇美炭坑のストライキ
1日午前、福岡県宇美炭坑労働者は賞与の不公平に怒り入坑を拒否した。労働者は会社の説得により午後から入坑したものの採炭労働
をサボタージュした。入坑260名中160名は続々と坑外に出てストライキに入った。箱崎警察署署長以下8名の巡査の訓戒と調停で一旦は収まったが、会社が鉱夫協会の演説会への労働者の出席を遮り不当な干渉をした為、3日の朝労働者250余名はまたまた入坑を拒んだ。

12/1 17歳少年がリーダー。大阪高島屋店員怒りのストライキ
1日大阪高島屋の店員100名程は早朝寄宿舎を出たまま、月の初日売り出しが最も多忙な時、店に出勤せず一同ストライキを実行した。店は、さっそく手をまわし、その内の一人を捕まえて「集合場所を教えろ」と2時間余もかけ責め続け、ついに「天王寺公園」と吐かせた。管理職が大急ぎで天王寺公園に駆けつけ一同を連れ帰って訓戒を加えた。この時のストライキのリーダーは17歳の少年で、100余名を5分隊に分けるなど団体運動の形を成していた。ストライキの要求は「月給の2割や年末賞与を貯金として差し引く事をやめ現金で支給する事」「人事車係某の排斥」等であるらしい。

12/1 仙台製糸場1100余名女性労働者賃上げ
仙台市片倉組仙台製糸場1100余名女性労働者賃上げを要求し、直ちに双方互譲交渉の結果、12月1日平均5銭の賃上げが実現した。

12/4 八幡製鉄所女性労働者のストライキ
12月4日朝、八幡製鉄所の女性労働者10数名がストライキを行った。製鉄所は直ちにリーダー2名をクビにしてきた。原因は、監督が、前日仕事の開始が10分遅れたことを理由に、30分以上の無給居残り命令をしたことへの怒りである。八幡市に本部を置く日本労友会が交渉して2名の解雇は撤回され二人は仕事に戻った。

12月上旬 広島県下駄職工1000余名「8時間制、賃上げ」要求。工場主の拒絶でストライキ突入

12/6 大牟田三井三池鉱業所電車運転手の労働争議
6日、大牟田三井三池鉱業所電車運転手約37名は,突然作業を放棄し「9時間労働制実施、残業代の値上、低価米の支給、被服料の支給」等の要求と連判状を作り違約金50円の申し合わせをして、7日港事務所に要求書を提出したが、直ちに拒絶され、一同即座にストライキをした。会社は「10日午後までに就業しない者は解雇する」と発表したので労働者側は抗議の総辞職を決議した。一人だけこの辞職に加わるのを拒否した者がいて、これに暴行を加えたとして大牟田署は治安法違反で運転手を召喚して取り調べをはじめた。その為、運転手の結束は崩れ、会社は11日6名を解雇した。12日約20名の運転手は仕事についた。

12/6 熱海線鉄道工事の朝鮮人、日本人労働者のストライキと古河本店の全員解雇
6日、熱海線佐藤組の請負工事の朝鮮人労働者7名、日本人労働者30余名は、「日給3割増給、労働時間1時間短縮」の要求をした。雇い主側本部は古河本店であり、早速この要求を拒絶したきたので、一同はストライキに入った。古河本店主任はこれらの者全員を解雇し、かつ事務所を閉鎖した。

12/8 奈良県吉野郡共盛鉱山のストライキ
奈良県吉野郡共盛鉱山の運搬労働者約20名は代表者を選び坑夫頭に賃金値上を要求したが、回答がない為11日よりストライキをした。

12月上旬 東京日本電燈会社労働者の要求
東京日本電燈会社労働者400名は「解雇に関する生活保障」を要求した。12月末で日本電燈が東京電燈に合併され、その時日電の社員は解雇されるかもしれないとこの要求となった。

12月上旬 「コック、ボーイを蔑視する習慣を改めろ」と要求
日本郵船のコック、ボーイで組織している「同愛会」会員2500余名が結束して、「一年以上汽船に勤続した者に手当を支給すること、高級船員等がコック、ボーイを蔑視する習慣を改める事」を会社に要求した。

12/12 島根県浜田町の某製糸工場の女性労働者が賃上げを要求し、拒絶された為ストライキをした。

12/13 大阪電気分銅株式会社の約400名は増給を要求したが拒絶されたので即日ストライキを行った。

12/14 石工300余名の結束
茨城県茨城郡稲田村の石工300余名は各石材店主に3割の増給を要求した。石材店主側は協議し1割値上げを決定し解決した。

12/14 茨城県多賀郡千代田鉱業所坑夫の労働争議
14日、茨城県多賀郡千代田鉱業所坑夫約600余名は集結協議の上「採炭賞与方法の改善、賃金3割増給、坑夫の優遇方法」等の要求を会社に提出した。先日、同鉱業所では飯場制度を改正して組長制度とし、かつ賞与の方法等を改正した。坑夫側はこの改正に不満を持ち今回の要求となった。

12月中旬 池袋真砂機械製作所の労働争議
東京府下池袋真砂機械製作所の労働者約200余名は請負単価半減に反対し交渉していたが、効果がないとして21日夜全員退職する事とした。

12/15 印刷局労働者サボタージュ
15日、印刷局年末賞与の配分に労働者の中で大きな怒りが起きた。8月に500名が「賃金5割増給と休日全額支給」を要求したストライキがおきた。その時印刷局は主謀者13名程をクビにしようとしたが中止し、その代わりに今回の年末賞与で、8月のストライキ当時に実行委員となった労働者の額を思い切り削減し、ストライキに参加しなかった女性労働者らには高い額を支給したので、みなが怒ったのである。24日午後から活版部文撰工が先ずサボタージュをはじめ、25日の官報印刷が半日以上遅れた。

12/15 東京中央電信局員の要求
15日、東京中央電信局の通信非現業員は年末賞与に不平を持ち、22日日本橋逓共倶楽部で集会を持ち「勤勉手当、年末賞与の増額、年4回の手当て及び慰労金の支給」要求を決議した。

12/15 大阪電球会社の労働争議
15日、大阪電球株式会社労働者35名が突然解雇され、全労働者500余名は「解雇反対」の声明を出し各所で集結協議した。同社では労働者は10月27日に賃上げ要求を拒絶され、その後組合結成に努力していた。

12/17 姫路鷺城新聞印刷工ストライキ
17日午後3時、姫路市鷺城新聞の印刷工10数名はストライキを行い18日午前中も続けた。次年1月から播磨民報に合併して改題し新たに発行されることで功労金が出る事に対する不満でストライキを行った。

12/19 大阪砲兵工廠労働者の不満の高まり
大阪砲兵工廠では労働者の中に年末賞与が余りにも低いと怒りが高まっている。

12/20 塩田小作同志会小作料の軽減を求める闘い
20日、徳島県の撫養塩田地主会は塩田小作同志会からの「小作料軽減」要求に対して「小作料は軽減すべからず、小作人が塩田をを返納すれば地主にて株式会社又は産業組合を設け作業を継続する方法を講ずる」と決議した。塩田小作同志会は「地主が小作料を軽減しないのであれば、塩田は返上すべき」と決議し22日よりその手続きを実行したので同地方では大問題となっている。

12/22 日本製鉄株式会社の労働争議
22日、九州折尾日本製鉄株式会社工務課労働者約90名は賢いサボタージュを開始すると共に日給の3部増給を要求した。会社側は労働者に再考を促し、23日一同へ要求の不当なる事と会社の内情を語り、無条件撤回を懇請したので労働者はこれを了として要求撤回して復業した。

12/23 名古屋電気鉄道の車掌・運転手の年末賞与への不満
23日、名古屋電気鉄道の車掌・運転手等は支払われた年末賞与が甚だしく低額のため大層憤慨し、翌日から出勤者は激減した。欠勤者は全線100名に及んだ。これに対して野中運輸長は『珍しい現象ではない。もっかの流行性感冒の為に平常よりは欠勤が多いのも止むを得ません。』云々と語った。

12/24 京浜電鉄会社の車掌・運転手の要求
24日、京浜電鉄会社の車掌・運転手等170余名は「①古参者を解雇するな、②東京横浜方面の従業員と比較して非常なる差別がある。大きな待遇改善を行う事、③賞与、低価の米の供給、④3年以上の勤務者に相当の退職金を支払え」の要求を提出した。もともと同社では毎年年末に古参者の車掌・運転手を解雇してきた。交渉が不調の時はストライキに入ると言っているが、25日の交渉で「年末には解雇はしない、年末賞与の増、退職金月額の9倍支給」等で妥結した。

12/24 東京市内各郵便局労働者の連携
24日、東京九段郵便局の郵便配達労働者ら約50名が局に賃上げを要求した。26日局長が「予算がないから、代わりに共済組合の基金から貸与する」と答えたので一同大いに憤慨した。これを聞いた神田郵便局の150余名は直ちに結束して「神友会」を組織し各局へ檄を飛ばした。麹町局、浅草局、牛込局、小石川局、深川局の郵便労働者もそれぞれ話し合い、そして連携して27日に集会を開催した。要求は「年末賞与の一人30円支給、日給増額、時間短縮」等である。逓信大臣に請願し、もし容れられない時は総辞職をすると決心した。

12/24 浜松東京間の鉄道沖仕の連携要求
24日、浜松駅の運送組合の沖仕100余名が結束して「正月三ヶ日を公休」要求をした。東京以西、浜松以東の各駅の沖仕も同様な要求を各運送店に申し出たので、運送店と鉄道当局は大いに狼狽し、しきりに慰撫してきた。

12/24.5 静岡県極東日本練乳会社搾乳者のストライキ
静岡県極東日本練乳会社に対し搾乳者約700余名は乳価値上を要求した。25日交渉が決裂し、搾乳者一同は搾乳を中止し、会社はストライキ状態になった。

12/26 京王電車労働者の労働争議
26日午前、京王電車労働者40余名は「年末賞与増給、日給の値上」を要求した。「もし拒絶された時は連決辞職」を決議した。

12/27 甲府駅の現業員年末賞与の低額に怒る
甲府駅の現業員は年末賞与の低額に怒り、「最も多忙な年末と正月にストライキをすべし」と決議した。この影響は八王子駅にも及びつつある。

年末、朝鮮各地の電信技術者は釜山、京城、木浦等を中心として「増給、待遇改善、昇進」に関する不満を高め事務の渋滞が甚だしくなったという。



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