新型インフルエンザ対策

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H5N1による致死率の高さをどのように考えるか

2008年08月23日 | このごろの新型インフルエンザ関連情報
細菌性肺炎の件から照らして、現在のH5N1による、インドネシアなどでの致死率の高さをどのように評価すればよいのでしょうか。
インドネシアなどでは細菌性肺炎に対する治療がなされていないとみるのか、そうでなければH5N1単独でそれだけの致死率があるということを意味するのでしょうか。この質問に対してある人の答えは・・・以下のとおり

現在のH5N1鳥インフルエンザを発病した人々の死亡原因は「サイトカイン・ストーム」であると推定されますし、細菌感染症をに対する抗生物質投与は行われていると思いますす。
 しかしH5N1ウイルスがパンデミックを起こしだしたとき、今よりも何千倍もの感染力を有したとき、もし多くの死者を出すようなことがあるとしたなら、死因は「サイトカイン・ストーム」単独ではなく、細菌感染症が大多数となるであろうとの考え方です。スペイン・インフルエンザの際の死者の大多数は細菌性肺炎だったということからの推察です。

 現在のH5N1鳥インフルエンザが人に感染するのは極めて希であり、極めてながらも感染して発病者を出し、高致死率となっています。この感染様式は十分分かってはいませんが、たぶん通常のインフルエンザウイルスの感染様式とは異なり、その部分に「サイトカイン・ストーム」発症の秘密が隠されていると考えます。例えば、免疫細胞のウイルスに対する反応性が特異的に高い素因を持った人でしか発症しない、H5N1鳥インフルウイルスリセプターを特異的に上気道に保有している人しか感染・発病しない等。しかし、H5N1ウイルスが人に適合しだし、人のインフルエンザウイルスとしての地位を占めたとき、ウイルスの感染様式は一般的インフルエンザの感染様式となり、簡単には重症サイトカイン・スト-ムを起こさない等、感染・発病する人の臨床像や経過は大きく変わる可能性があります。もしそこで多くの人々が死亡するとしたなら、死因の多くは細菌性肺炎(何も予防しなかった場合ですが)であろうとの考え方が成り立ちますし、またそのように考える専門家達も多くなってきていると思います。
 そもそもサイトカイン・ストームとは臨床的に明確に確立された概念ではありませんから、これに関する論議は難しいと思います。
 米国で死亡した兵士の組織像の分析で、サイトカイン・ストームなる表現はなく、ウイルス侵襲像と細菌肺炎像だけのようです。組織像ではサイトカイン・ストームの特異像があるのか分かりません。
(海外直近情報  新型インフルエンザ談話室より)