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conscience

my diary

自我の形成における教育の役割

2023年10月01日 | 日記
 自我の形成時期は1歳9か月ごろからと言われているが、その形成過程において他者との関わりが重要であり、他者を鏡に見立てて、そこに映った自分の姿を自己像とするとされている。したがって、成長期においては、親族を含む他者との交流が最も影響を及ぼすとも言える。現代における社会的不適合は自我の発達不全や脆弱性と結びついており、社会に対してどう向き合って生きていくかということや、自分をどう評価し捉えているかということが関係しており、その際、自分が独立した存在であると認識しているかや、ストレスを起こす出来事があったときに、物事を一面的に捉えるのではなく、それを多面的に考えることが出来るかが重要になる。そして、物事を多面的に捉えるには、心理学や歴史などの学問に触れることも必要で、ともすれば、社会文科系の学問が軽く見られる傾向もあるが、自分を客観視する視点や、物事への対応能力を磨くには社会文科系の基礎知識を知ることは大いに役立つだろう。
 ところが、現在の学校教育は、知識の詰め込みを主としており、自分を客観視する訓練や、ストレスに負けない粘り強さというものが、例えば、一部のスポーツエリート達には行われていても、それ以外の一般の多数の人達には行われていない。また、家庭における教育も、夫婦共働き等が増えて来た現代においては、その余裕は無いと見るのが自然だろう。
 この結果、家庭内での殺人事件なども増加しており、一部に恋愛至上主義的な考え方もある一方で、性格の不一致による離婚やDV、ストーカー事案も増加し、生活苦もあって闇バイトに応募する者なども増加している。
 話題のジャニーズ事務所の問題も、被害を受けた少年達は、いずれも、本来、自意識と客観的な事実との葛藤に悩み、自らの生き方を模索すべき青年前期に、言うのもはばかるような性被害を信頼すべき指導者から受けたということであり、それを許してきた事務所スタッフらの構造的問題であるとともに、人気ある(しかし、性加害の噂のある)芸能事務所に忖度し、自らの商業的な利益の為に、これに便宜供与してきたNHKを始めとするテレビ局の問題でもある。
 これは、男性間の性加害に対して目を背けて来た日本社会全体という背景もあり、マスメディア全体の倫理観の著しい低下ということも深く関わっているし、何よりも、自我の形成等の問題を、日本社会が抱える根本的な問題と考えず、単なる発達心理学的な学問領域でのみ議論してきた教育界の問題も大きいと考える。
 今日の我が国は、経済的格差の拡大とそれが及ぼす教育格差・健康格差・栄養格差等が広がりつつあり、人口減少にも関わらず、首都圏への継続的な人口集中と、それに伴う災害などの場合における脆弱化に大きな課題を抱えているが、政治や官僚の能力の劣化・脆弱化という問題も大きい。果たして、30年後、50年後に日本は今の世界的な地位を保っているのだろうか。私には、そうは思えない。今のままだと最貧国になっていてもおかしくはなかろう。
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