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conscience

my diary

無敵の人を再生産する日本社会

2023年04月16日 | 日記
 和歌山で補欠選挙の応援に来ていた岸田首相に、演説の直前に円筒形の爆発物が投げられるという事件が発生した。取り押さえられた容疑者の姿は、昨年、安倍元首相銃撃事件を起こして取り押さえられた山上被告の姿を思い起こさせた。警察庁は改めて要人警備体制の強化を全国の各警察に呼かけているが、かっての左翼過激派集団が起こしたテロ事件とは異なり、誰がこの種のテロを起こすかわからないだけに、その対応には困難が予想される。
 ただ、山上被告の場合は、旧統一教会への深い恨みがあり、統一教会の同調者と見なされた安倍元首相を襲撃するに至ったと思われる。今回の容疑者の動機は現時点では分からないが、それでも山上被告と共通するものとしては、世の中から受け入れられていないという思いが、どこかに深く内在していたのだろう。現在の日本社会は、様々な原因から社会的に脱落した人が、容易に這い上がれないような構造となっており、特に、人間関係が苦手であるとか、人から受け入れられていないという思いがある人にとっては、孤立化しやすく、それが、自己顕示欲とか一方的な承認欲求とかと結びついたときに、思いがけない行動を起こすことが考えられる。
 東横に集まる若者や、闇バイトに応募して特殊詐欺の犯人グループに利用されて受け子や掛け子となってしまった人達にも共通するものがあるかもしれない。しかし、そういった人達と異なるところは、山上被告や今回の容疑者には深い孤立感があるということだろう。場合によっては死も恐れないという無敵で、しかも、爆弾や銃器を製造するだけの能力と行動力を秘めた犯人たちは、今後も後を絶たないような気がする。
 私は、低賃金でいつでも馘首出来る非正規雇用制度を拡大し、経済的・社会的にも格差を拡大してきた政治が、その上っ面の立派な建前とは異なり、東京オリンピックを舞台にした汚職事件でもわかったように、政・官・業の癒着体質を残していて、それを上手に利用する者だけが儲けることの出来る構造にあり、利権や天下りということが根絶できないままに、庶民の大半が貧しい方向に進んでいっているといったことに対する反動も何かしらあるようにも思えてならない。
 今回の事件は、容疑者の意図とは異なり、それでも応援活動を続けようとする岸田首相の支持率のアップにつながるかもわからないが、社会的に取り残され孤立する人達に対する対策をなおざりにする限り、今後も、何度でも同様のことが起こる可能性があるだろう。警備体制の強化だけでは、根本的な解決にはならないのは言うまでもない。
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