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conscience

my diary

迷走の原因

2021年07月15日 | 日記
 政府が、金融機関や酒類販売業者、食べログなどのグルメサイトまで使って酒類提供の飲食店を締め付けようとした行為が批判を浴びている。しかし、考えてみると、これは、政府のコロナウイルス感染拡大への危機感の表れでもあり、西村大臣やその下の官僚達が、そこまで追い込まれているという状況が推察されるのではなかろうか。首相は、ワクチン接種の拡大によるコロナ禍の鎮静に希を賭けていたと思われるが、ワクチン供給の遅れや変異株流入による感染の急拡大の事態に直面している。政府は、今まで様々な予測の誤りをしてきたが、今回のコロナ感染急拡大については、ある程度正確に予想していたのではなかろうか。その為、オリンピックの開催を強行した自らの責任を回避する為、オリンピックの開催がコロナ感染拡大の原因となったと言われない為に、文字通り、必死で対策に取り組もうとしているのではないかとも思われる。このように考えると、マスコミや野党のように、単に政府を責めるばかりでは問題は解決しないと考えられる。
 私は、今の歳になって、改めて英語を学びなおしているが、英語と日本語の違いは、英語は、主語は存在すべきもので、まず、言いたい事をはっきりさせて、その説明等を後に置くのに対して、日本語は、主語がなくても成り立つもので、また、主語と述語の間に様々な情報を挟むことによって、そのニュアンスを大切にしている点にあるのではないかと考えている。これは、和を大切にするという日本人の特性と、自己主張と合理性を大切にする西洋人の考え方の違いが元となっているのかもしれないと思う。
 コロナ対策では、最近の知見では、飛沫と、空中にウイルスが漂うことによるエアロゾル感染が主な感染源であるとされており、そうであるならば、酒類を提供する飲食店での酒を伴った飲食が感染を広げている一つの要因である可能性が高いとも考えられ、政府が、酒類提供禁止要請を無視する飲食店を目の敵にする心情も理解できないことはない。しかし、少し考えると、都内の飲食店では、大規模な店を除き、換気対策や客席間の十分な距離が取れる店の方が遙かに少ないことは明白で、政府の対策は、零細飲食店の経営者と従業員の生活を直撃することは容易に想像出来る。その為に、様々な給付金や補助制度があると言うかもしれないが、お上に申請して、複雑な手続きをしなければ給付金は降りないし、その給付金も遅れがちで、日銭で生活している飲食店の大した助けにはならない。その零細な飲食店に罪を押し付けて、それで良いのだろうか。勿論、飲食店の側も、換気もしない店舗で、コロナ感染を広げても、自分の生活の為だからといって、客が感染しようがしまいが知らないということでは通らないのは自明のことでもある。それならば、どうすれば良いのだろうか。換気も十分でない、客席間の距離も取れないような狭い店舗での営業は諦めてもらうしかないのか。また、客自身にも、特に飲食店でのエアロゾル感染の危険性と、コロナに感染した場合の問題点(変異株では、若い世代でも重体化する可能性があることや、約2割の人に後遺症が残る可能性があること、自分が感染源となって家族や知人に移すかもしれない事)などを更に具体的に訴えていくべきではなかろうか。
 どちらにしても、現場を知らない、理屈だけの官僚達には、既に事態のコントロールが不可能になっているような感じもする。現在の事態の十分な説明と、政治色を抜きにした、コロナ危機に対する、率直で活発な討論がどうして出来ないのだろうか。和を大切にするのも良いが、危機対応には、ある面では合理的で冷徹な判断も必要かもしれない。しかし、その場合にも、判断者が自らの責任逃れに終始するのではなく、その判断に至った理由について明確に徹底的に説明を尽くすべきだと思う。残念ながら、現在の政府には、それが出来ていないのではなかろうか。
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