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very goodな毎日!?

「クレイジー・ハート」

2010-07-22 | cinema&tv
カントリー・ミュージックって理解できない。スタンダードも新曲も同じに聞こえるし、テイラー・スウィフトのようなネオ・カントリーと他の音楽の境目もよくわからない。そもそも未だにチェックのシャツにジーンズにブーツ、そしてテンガロンハットってどうなのよって感じ。なのでカントリー音楽系の映画というよりかは人間ドラマとして観た「クレイジー・ハート」。ところがだ。

アル中でどうしようもない老いたカントリー歌手の再生。そして、アメリカ南部の空、風、大地、風景。そこにある空気やストーリーが進むと、ごくごく自然にカントリーミュージックが入ってくる。音楽がとても心地いい。きっとカントリーはロックやパンクと同じで、音楽のジャンルにとどまらない生き方のスタイルなのかもしれない。60歳近いカントリーミュージシャンが人生を取り戻して、何かをつかもうとしてゆく話と彼の歌がリンクする。同じ歌でも彼の弟子でネオカントリーな若手が唄うとその意味や雰囲気が変わる。アメリカにカントリーミュージックがある意味が染みる。

この映画で他によかったことのひとつは主人公を演じたジェフ・ブリッジス、若手売れっ子歌手を演じたコリン・ファレルの歌声。いずれも本物カントリー歌手レベル。コリン・ファレルのネオ・カントリーなんてよくできてます。
それと、日本語訳。ちょいちょい入って来るカントリーソングの歌詞にあまり日本語訳が入ってないのです。カントリーは直訳すると「そんな歌詞?」となるし、超訳すると音楽のシンプルさが損なわれる。そもそもタイトルの「クレイジー・ハート」だって、訳しちゃうと陳腐になってしまう。そこをバランスよく、訳してるところと全く字幕のないところと使い分けてあり、そのせいか音楽にすぅっと入っていけました。

ただ、どうしてだろう。近頃、かつてセクシーだったおっさんのぽったり腹を連続で見た気がする。「アイアンマン2」ではミッキー・ローク。今回はジェフ・ブリッジス。ゆるみきった中年腹がどちらもひんぱんに出てきた。きちゃなさがいいのか、ゆるみたるみが人生の後半を意味するのか?

それはさておき、ホロ苦いラスト。これもカントリーには似合っていたように思う。ステキな映画です。


「告白」

2010-07-22 | cinema&tv
原作本を読んだ時に、すごい本だなと思った。正直、内容は好きじゃない。私はノーテンキだしアメリカンなハッピエンドとまでいかなくても、できればわずかでも希望の光や救いが物語にはあって欲しい。「告白」にはそれが見当たらない。原作本を読んでいた時、心地の悪さや嫌悪感やざらっとしたものをずっと感じていた。でも先を読まずにいられなかった。それを映画にしちゃったら寒気のするストーリーだけが残ってしまうように思っていたのだけど、そこは監督の力が大きい。映画を見ている間、嫌悪感やざらざらがずっとある。映像は残酷なまでに美しく不気味。原作本の世界観をもれなくキチンと映像にするとこうなるのかというのを見せられた感じだった。

ただ、ラストに監督は救いを入れてると思う。原作にはないごくごく僅かな希望の光を。正直に言えば、口の中に砂があるようなざらざらの原作の読後感をそのまま映画でもやってしまえば良かったようにも思うものの、入れた気持ちもわかるような。やはり僅かでも光が欲しいと思うのは私だけじゃないのかも!?
面白い映画かと言われると返答には困る。おすすめするのも難しい。すごい映画なのだけど、決して「面白い」という言葉にはハマらないからかな。