舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

中央ヤマモダン「サイレントバーン」を観て来た思い出!

2017-03-03 14:20:47 | Weblog
ブログに書き残してきたことを時間が経ったけど書いていこうのコーナー!

ひとまず、1月の思い出はブログに全部書いてきました。(ここにまとめてあります。)
あらためまして、1月を振り返ろう!~完全版~ そして2月へ・・・

なので2月の思い出を書いているわけですが、2/11(土)~12(日)のBLUES『妄想☆探偵 煩悩寺オサム』に関する思い出はリアルタイムで更新してきました。(ここにまとめてあります。)
BLUES「妄想☆探偵 煩悩寺オサム」の思い出をまとめよう!

という訳で、それ以外の2月の思い出を順番に振り返って更新していたのですが、BLUESより前の思い出はすべて更新が終わりました。(少し前の記事を振り返って読んでみてください)
なのでここからは、いよいよBLUESより後の思い出を書いていこうと思います!(少しずつ時代に追い付いてきた!)







そんな訳で、今回は、2/18(土)に行って来た、中央ヤマモダンの『サイレントバーン』の感想を書いていきます!

中央ヤマモダンは新潟のコント集団で、2016年の4月から毎月、中央ヤマモダン×蔵織 企画「ヘイ・ジューニド」という企画をやっていて、今回の2月の公演で11度目でした。
僕は中央ヤマモダンが好きなので、「ヘイ・ジューニド」にも毎月欠かさず行っていまして(7月、8月と同じ公演をやった時は8月しか行ってないけど)、2月もちゃんと行って来ましたよ!

毎回、ソロコントだったり、2人コントだったり3人コントだったり、新潟大学の落研さんとコラボコントだったり、劇団第二黎明期さんとのコラボ演劇だったりと毎回違ったことをやるヘイ・ジューニド、2月はどんな内容なのか・・・
もう公演からだいぶ時間が経ってしまったので記憶があやふやですが、覚えている範囲で書いていこうと思います。

今回の『サイレントバーン』は、コントライブと銘打っていましたが、実際は劇団第二黎明期さんとのコラボ演劇で、第二黎明期のシダジュンさんの戯曲を原作として、中央ヤマモダンの江尻さんが脚本を書き、さらにシダジュンさんが演出するという公演でした。
出演は、中央ヤマモダンの山本さんと美濃さん、そして新潟大学落語研究会の田村くんという人がゲスト出演していました。

その内容はというと、演劇なので一応ストーリーがちゃんとあって、山本さんと美濃さんが夫婦として登場し、彼らの共通の知り合いとして田村くんが登場するのですが、実はどうやら田村くんも美濃さんのことが好きっぽくて、そして山本さんもそのことに気付いているっぽくて・・・という、なかなか人間臭さが全開の三角関係の物語になっていました。
全体的には、ヤマモダンの江尻さんが脚本を書いているだけあって、どこか飄々とした雰囲気の中で下らなくてナンセンスなネタが満載なのですが、見ているうちに人間の心の機微みたいなものが浮かびあがってくるあたりは、まさに原作のシダジュンさんらしいなあと思いました。

僕が考えるシダジュンさんの戯曲の特徴として、「何じゃそりゃ!?」っていうこちらの予想のちょっと斜め上を行くような台詞やネタや展開が満載で、でもどこか飄々として掴みどころがなく、そんな物語に翻弄されているうちに引き込まれていくところが魅力だと思うのですが、今回はまさにそんな演劇だったと思います。
そして、シダジュンさんの戯曲は、そういう掴みどころのない物語に翻弄されているうちに、次第に登場人物たちの心境の微妙に変化していく様が浮かび上がってきて、最終的には登場人物たちの間に重要な変化が描かれ、そこに演劇的な感動がある、というところもまた、魅力だと思います。

一方で江尻さんの戯曲の特徴は、実はシダさんとよく似ていて、ストーリーと直接関係があるんだかないんだか分からないようなネタが満載で、物語の枝葉末節というか尾ひれの部分が気になりすぎて、どんどん思いもよらぬ方向に翻弄されていくところだと思います。
例えば僕が新潟で初めて出演した江尻さんの作・演出の演劇で、「ヘイ・ジューニド」でも再演された「濁る」なんかまさにそんな作品で、しかも最終的にちゃんと演劇的なストーリーが浮かび上がるところまでそっくりだったなあと思います。

また、同じく「ヘイ・ジューニド」で今回と同様に中央ヤマモダンと劇団第二黎明期がコラボした「鳥のフン」も、まさに「どういうことだよ!?」とこちらの予想の斜め上を行くような展開とネタ満載の中で演劇をやるというあたりもよく似ているし、そう考えると、劇団第二黎明期と中央ヤマモダンは本当に相性抜群なのではないかと思います。
さらにもっと言うと、ヤマモダンの江尻さんじゃなくて山本さんが書いているコントでさえも、基本的には謎のネタ満載なんですけど、実はストーリー仕立てになっているものも多いので、根本的にこの二つの団体は似ているのではないかなあ、と思うのです。

ただ、ここで重要なのは、第二黎明期は劇団なのに対してヤマモダンはコント集団という決定的な違いがあるので、作品の構造が似ているけれど、ヤマモダンが重要視しているのは笑いで、第二黎明期は物語である、という違いがあるなあとも思います。
だから、第二黎明期がどんなにボケたところで最終的にはストーリーに感動するし、ヤマモダンのストーリー仕立てのコントも、そのストーリーそのものがネタになっていたりするなあと思います。

で、なんかめちゃくちゃ長く書いてしまいましたが、じゃあ今回の「サイレントバーン」はどうだったかというと、まさにシダさんと江尻さんの世界の相性がこんなに良かったのか!と感動するくらいに、こちらの予想を裏切るようなネタが満載にもかかわらず、その中で夫婦と一人の男の心理や関係性の繊細な変化を描いたちょっと切ない物語にちゃんとなっていたなあと思いました。
ただ、今回は演劇色が強かったせいか、ヤマモダンのぶっ飛んだギャグが大好物な人間からすると、笑いという意味では今までよりちょっと物足りないかな・・・と思った部分もあります。

それと、良かったなあと思うのが、客演していた新潟大学落語研究会の田村くんで、彼の豊かな表情は本当に一度見たら忘れられない魅力だと思ったし、ちょっと特徴的な話し方さえも魅力的な個性だと思うので、本当に、田村くんめちゃくちゃ良かったです。
よく考えたら、田村くんは過去に落語研究会がヤマモダンとコラボした時もかなり美味しい役(山本さんの十八番のネタをうろ覚えだけで中途半端に再現する)をやっていたし、やっぱりヤマモダンも田村くん気に入ってるんだなあ!というか、よくぞ彼を選んだ!と思いましたし、そう言えば彼は日本バンカラロック「青春堕落録」でもいい演技をしていたし、彼の演技はまた見たいなあと思いました。

最後に、これは僕がずっと思ってることなんですけど、その人が笑いに対してどれだけ本気で取り組んでいるのかっていうのが、その人の演劇がどれだけ魅力的になるか、に直結していると思うんですよね。
だから、シダジュンさんは笑いのセンスがいいしそこにちゃんとこだわりを持っているからこそ面白い演劇が作れるし、ヤマモダンも落語研究会も笑いを追求しているからこそ演劇をやってもしっかり様になるんだろうなあと思いました。

やっぱり、笑いって中途半端にやると一番ダサくなるものだと思うから、本当にその瞬間瞬間の笑いのパッションは大事にしていかないといけないなあと思います。
と言う訳で、笑いが好きな人間として、見られて良かったなあと思える演劇でした。




舞い上がる。の思い出はまだまだ続きます!
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