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舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

唐突に2014年の思い出!劇作家・岸井大輔さんとの出会い!

2015-01-13 13:33:22 | Weblog
はい、唐突に2014年を振り返り始めたチヒロブルースです。
詳しいことは前の記事をどうぞ「唐突に2014年を振り返るけど気にするな!2015年のことは考えるな感じろ!」。

で、何でこれやろうって思ったかって言うと、やっぱり書かずにはいられないんですね。
そういう気持ちが自分の中に蓄積し過ぎたので、ここらで文章化して気持ちを整理して、これからの自分のために記録の残しておこうと思います。

数ある思い出の中から、特にこれは今すぐちゃんと書かなければいけない出来事だ!というものを、三つほど書くことにします。
それ以外のものも、今後気が向いたら時間を遡って書くかもしれませんが、取り敢えず、三つに厳選します。







一つ目の思い出は、劇作家の岸井大輔さんにお会いしたことです。
岸井大輔さんとは、6月22日のトークイベント「LOBBYの入り口をかんがえる」で、初めてお会いした。

このイベントは、さまーさんこと、牧田夏姫さんが企画したものです。
2014年を振り返ると、1月の「安吾賞授賞式」も、この「LOBBYの入り口をかんがえる」も、さまーさんから教えてもらった情報なので、誠にさまーさまさまです。

全国各地でイベントを行っている岸井大輔さんが新潟に来るのは初めてだそうです。
つまり、彼女はまさに日本で初めて新潟に岸井大輔さんを読んだ人間なわけですよ。まさにさまーさまさま!

ちなみに、岸井大輔さんは今年の1月にも新潟に来てくださって僕はまた会いに行ったんですが、このブログはそれを体験するより前の僕の気持ちとして書いたものです。
1月に岸井さんにお会いした時の感想は、また後日ブログにまとめたいと思います。



以前、ブログに書いたことですが、2014年は僕にとって「自分にとって表現とは何か」をずっと考えていた一年でした。
今のところ、それは「自分に正直に生きること」なのではないかと僕は考えているんですが、これはかなり岸井大輔さんの影響を受けています。

岸井大輔さんは劇作家として演劇の話を中心にされていたのですが、岸井さんのお話は演劇という範囲にとどまらず、もっと広く、表現すること、もっと言えば人間が生きることそのものに対するお話のように思えました。
そもそも、岸井大輔さんの劇作家としての活動内容が、僕の想像するものなんかよりずっと自由で、表現の可能性の限界に挑戦しているようで、非常に格好良かったのでした。



そもそも岸井さんがどんな活動をされている方なのか?
ということで、まずは、さまーさんが書いてくれた「LOBBYの入り口をかんがえる」の説明文を引用します。

「岸井大輔さんは、2003年からまちに住み着いて劇作品を作るというスタイルで、多くのまちに関わってきた劇作家です。特に2005年から2009年にかけて、空き店舗を、まちの入り口「LOBBY」として開設し、まちにたくさんのコトをおこす作品が、いろいろなアーティストに影響を与えてきました。
岸井さんの活動や作品を具体的にお話いただき、さらに対話の時間をもち理解を深めたいと思います。」


この説明文だけ読んでも、どういう意味なのか分からないっていう方がほとんどだと思います。
実際、僕もよく分かりませんでしたし(さまーさんの説明文がよくないって意味では全然ないです。寧ろ岸井さんのお話しを聞いてから読むと、よくぞまとめたなって思います。)

岸井さんの演劇というのは多くの人が思い浮かべるような劇場で上演するものではなく、岸井さんは街の人々の生活を観察してその街の出来事を演劇的に体験できるようなイベントを数多く行ってきた方なのです。
…という僕の書き方が適切かどうか自分でも分かってない部分もありますし、ちゃんと伝わっているかどうかも怪しいですが・・・(笑)



とにかく、岸井さんは演劇の既成の概念にとらわれずに、(しかもそれまでの歴史や伝統も踏まえた上で、)新しい演劇の形を模索しているという非常に格好いい方だ!と僕は感銘を受けたのでした。
しかも、岸井さんはそういう難しい話を、僕のような人間にも非常に分かりやすく丁寧に説明してくださるような知性と優しさを持った方で、なんて素晴らしい方!と感動してしまったのでした。

で、具体的に岸井さんのどういう話に感銘を受けたのかを書いていきたいんですが…残念ながらあまり詳しく書くことはちょっと難しいです。
というのも、これは岸井さんから直接言われたことなんですが、岸井さんはこういうトークイベントなどを生業の一つとされているので、僕がこういうネットとかで話の内容をベラベラ書いちゃうことはネタバレになりかねないんですよね。

それに、僕は岸井さんみたいに上手く説明するのが苦手なので、このブログを読んだ方にちゃんと伝わらないんじゃないかって気もします。
なんですが、どうしてもこれだけは書かせてください!っていう話が一つだけあるので、それについてだけ、ちょっと書かせてください!

それは、芸術の歴史に関するお話しでした。
この日は、最初に岸井さんの自己紹介と今までの活動内容を振り返るという内容だったんですが、その流れの中で出て来ました。

これを聞いた時、僕はなんて素晴らしく分かりやすい説明なんだ!と、目からうろこが落ちたように感動してしまいました。
なので、そこに関するお話しだけを、僕なりに書いてみたいと思います。



岸井さんは、中高生の頃から演劇部に入ったり、たくさんの演劇を見たりして育ったそうです。
しかし、演劇が他の芸術に比べて不自由なのではないかという疑問を、いつしか持つようになったそうです。

この疑問は、岸井さんだけではなく、世界中の劇作家が感じていたことだそうです。
そこで岸井さんは、それを解明するために、演劇を含めた様々なジャンルの芸術の歴史を調べてみたところ、芸術の歴史にはある共通点があることに気が付いたそうです。

例えば絵画は、かつては写実的に美しく描かれた絵だけが優れているとされていたそうなのですが、ある時、「絵画とは、平面に線と色を付けたものである」と定義されたそうです。
その定義が生まれたことで、それまでの模写だけでは表現できなかった、抽象画やデザインなどと言った新しい概念が生まれ、絵画は飛躍的に発展したそうです。

また音楽も、ある時「音は全て音楽とする」と定義したことで様々なジャンルの音楽が生まれたそうです。
定義づけたことで、無音さえも音楽としてとらえた「4分33秒」という音楽が生まれたり、ただの音でしかなかった「Windowsの起動音」のを音楽家が作曲したりと、音楽の捉え方が非常に自由になったということです。

つまり、芸術というものは、しっかりした定義づけを行うことで、その表現方法が一気に自由になるものなのではないかと。
そして、演劇に不自由さがあるのは、これまでの歴史の中で演劇にしっかりした定義づけが行われていなかったからなのではないかと。

そこで、岸井さんはまずは、演劇とはどういうものなのかを自分の中でしっかりと定義づけることから始めたそうです。
その結果、ある考えに思い当たり、その結果、「まちに演劇を作る」という自由な発想を生み出したそうなのですが、ここに関しては説明しにくいので、興味を持った方はいつか岸井さんに直接聞いてみてください。



まず、この岸井さんの、自分の中で生まれた疑問を、きちんと歴史などを調べながら自分なりの答えを見つけていく、という表現者としての極めて誠実な姿勢に、僕はとても感動しました。
そして、そこで何年もかけて見付けたような難しい出来事を、このように「定義づけることで自由になる」と誰にでも分かりやすい言葉で説明していただいたこともすごいなと思いました。

で、ここからいよいよ具体的に岸井さんの活動内容の話になり、その後で感想を言い合ったり質問タイムになりました。
その時に、僕も感想を話す機会があったのですが、そこで自己紹介も一緒にする流れになりました。

ここで、僕が「僕はもともと松本で演劇をしていたんですが、メンタルを病んで新潟に来て、今は…」みたいな感じで自己紹介をしたんですね。
今思えば、その通りなんだけどなんちゅう自己紹介だって感じですが、なんとこの話に岸井さんは興味を持ってくださったではないか!



岸井さん「どんな病気ですか?」

ちひろ「僕は双極性障害です」

岸井さん「そうですか。僕は鬱病だったんですよ」



岸井さん、まさかの鬱病歴アリ!
これにちょっとテンションが上がって質問するちひろ。



ちひろ「岸井さんはどうやって治療されたんですか!?」



演劇の話の途中なのに、まさかの病気に関する質問!
しかし、これにも丁寧に答えてくださる岸井さん。



岸井さん「病気になったら、ゆっくり休むことです。急いで何かをやろうとしないで、とにかく時間をかけてじっくり元気になることが大切です!」



思いがけず、岸井さんからの的確なアドバイスに、とても救われるちひろ。
そしてこのお話は演劇にも繋がるのでした。



岸井さん「もしも演劇をやっていて精神的につらくなったら、すぐにでもやめた方がいいです。本番直前でも、やめていいと僕は思います。」

岸井さん「そんなつらい思いをしてまで、演劇はやるべきことではないです。」



それまで僕は、演劇はどこか無理をしてでも頑張るべきものなのではと考えていた部分があり、それと同時にその考えに対する疑問もありました。
ちょうど僕にとって新潟で2、3年間続けていた演劇を少し休止して社会復帰や精神治療をしようと思い始めていた時期でもあり、思うように演劇が頑張れない自分に対する劣等感や焦燥感のようなものも感じていました。

しかし、この時の岸井さんの、シンプルだけど非常に心強い言葉を聞いて、それまでの感じていた疑問が一気に晴れたような気持ちでした。
さらに、このお話しは演劇に限らず表現すること、もっと言えば生きることそのものの話にまで繋がるようでした。



岸井さん「自由に表現活動をしたいはずの表現者が、つらい思いをしてまで表現をするのはおかしい。」

岸井さん「表現者は自由であるべきです」



この「自由であれ」という岸井さんのお話を聞いて、それまで僕が持っていた悩みは、本当に取るに足らないものだと思えてきました。
「やりたいことがあるならやればいいし、やりたくないならわざわざやらなくたっていいじゃん!で、やりたくなったらまたやればいいだけじゃん!」っていう今思えば当たり前過ぎることを、自分の中でしっかりと認識できたのも、この時がきっかけだったように思います。

人は自由に生きていくべきという発想はとても前向きで、今までとこれからの自分の人生を肯定してもらえたようで嬉しかったです。
そして、こうやってどんな人間の生き方でも肯定していける可能性が、演劇を含む芸術にはあるんだなと、あらためてその価値を実感しました。



で、岸井さんのお話の素晴らしいところは、こういう考えを一方的に押し付けてくるのではなく、あくまで考えの一つとして教えてくれるというところでした。
だから、話を聞きながら自分の考えが岸井さんによって変えられるのではなく、考え方の選択肢が一つ増えるというか、頭の中が少しだけ豊かに、発想の可能性が少しだけ広がったような、そういう優しさがありました。

岸井さんのお話を聞きながら、僕は「自由であること」の部分に一番感動をしましたが、他の人にはそれぞれ違う感動ポイントがあったと思いますし、それはそれで正解という感じがします。
受け取り方は人それぞれでいいという心の広さが感じられたし、演劇はそういう自由な受け取り方ができるものなのだというメッセージのようにも感じられました。



という訳で、ここからは岸井さんのお話を聞いた中で僕の中で生まれた考えを、書いていこうと思います。あくまで僕の考えですよ!
何度も書いていますが、僕が岸井さんのお話で感動したことの一つが、「表現は定義づけると自由になる」なんですが、これを僕なりに考えてみます。

この「定義づけると自由になる」というのは、芸術に限らず、人間の考え方や、生き方にも当てはまるのではないか、と僕は思います。
「芸術を定義づける」というのは、「自分にとって指針となる考えを心のなかに一つもって生きること」にも置き換えられるのではないかと。

つまり、芸術を定義づけたように、「自分が生きていく中でこれだけは大切にしなければいけない」という気持ちを心の中に常にしっかりと持っていることが大事なのではないかと。
そういう考えを持っていることは、逆に言えばそれさえ守っていればどんなことでも出来るわけですから、すごく自由な生き方が出来るのではないかと。

そして、このように自分の指針となる発想を見つけるためには、自分の気持ちとしっかりと向き合う必要があると思います。
言いかえれば、自分の気持ちに素直に生きること、とも言えるのではないかと思います。

さらに、これはそのまま「表現者は自由であれ」という考えにも繋がると思います。
自分の気持ちに素直に生きることで、人は自由に生きていけるのではないかと、僕は岸井さんのお話をそんな風にとらえました。

実際、演劇の定義とは何だろうと考え続けていた岸井さんが、現在とても自由な創作活動をされているわけですから、この上ない説得力があるわけです。
また、岸井さんを見ていると、表現者としてのブレない姿勢みたいなものも感じますし、ブレないからこそ自由になんでも出来てしまうような行動力があるように思えるのです。



だって、岸井さんがまさか「演劇人トーーク!」に出ていただけるとは思ってませんでしたから!
このイベントの宣伝を、僕ともんちゃんがやってる「演劇人トーーク!」で、さまーさんにしてもらったという話をしたら、岸井さんが「僕も出たいなあ」とまさかの出演発言!

そして、打ち上げで本当に10分くらいだけ緊急放送をさせていただいたのでした。
(ちなみに、僕がテンションが上がりまくってかなりグダグダでしたが(笑))



とにかく、僕はこの日、岸井大輔さんにお会い出来たことで、少しだけ自分の気持ちに素直に、自由な気持ちになれたような気がします。
なんていうか、自分の人生の中で結構大事な出会いだったんじゃないかって言っても過言ではない気がします!







という訳で、岸井大輔さんありがとうございました!(呼んでくれたさまーさんもマジサンクス!さまーさまさま!)





なんか、かなり濃厚な内容のブログになってしまった!
唐突に2014年の思い出を振り返るブログはまだまだ続くよ!







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