■シーン１
楽壇の「帝王」と称されたヘルベルト・フォン・カラヤンほど絵になる指揮者はいない。
おしゃれで写真写りにもこだわった。
１９５４年、ＮＨＫ交響楽団を指揮するために初来日した。
開演ぎりぎりに宿泊先の帝国ホテルからコンサート会場の日比谷公会堂に到着、楽屋には寄らず、燕尾（えんび）服の上に羽織っていたコートをさっと脱ぎ、マネジャーに手渡し、さっそうとステージに上がっていった。
当時、世話をした指揮者、外山雄三氏が目撃した姿である。
カラヤンの作る音楽同様、スタイリッシュな登場の仕方が目に浮かぶようだ。
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