狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

童神

2019年05月01日 22時23分22秒 | 曲名がタイトルの日記




 或る夜の事。
 狐は倉敷川の畔の夜道をふらふらと歩いていました。
 御月様は丁度お空の天辺です。
 狐は御月様を眺めながらふらふらと歩いていました。
 すると提灯を掲げ紋付を着て小さな刀を差し袴を穿いたおかつぱ頭の冷たくも綺麗な顔をした子供が向こうから歩いて來ました。
 狐は知らん顔をしていやうと思つたのですがどうしても気になつたので其の子供に声をかけました。「日が暮れているのに何処へ行くの? 何処から来たの?」
 すると其の子供は可愛い声で答えました。「その先の家に随分長く居たけれど、もう飽きたから他所へ行くよ」
 「何故飽きたの?」と訊いたらば、その子供はかかつと笑つていました。
 「何処へ行くの?」と訊いたらば、その子供は「さてさて気に入る処があればよいが」と云いました。



 気が付いたら其の子供は消えていました。
 夢だか何だか分からない。
 「座敷童子?」
 狐は、ぼんやりとお空の天辺に御座します御月様を眺めました。
 「私の部屋に来てくれたなら熱烈歓迎するのだけれども……」
 狐はそう呟くと、再び倉敷川の畔の夜道をふらふらと歩きはじめたのでございます。




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