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北海道新聞”Dセレクト”「見直される鉄道貨物 2024年問題と脱炭素が追い風」

2024-01-18 | 鉄道
北海道新聞 2024年1月2日付デジタル読者限定記事 ”Dセレクト”
「見直される鉄道貨物 2024年問題と脱炭素が追い風 鉄路の存続に影響も
 <デジタル発>」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/958183/



トラックの輸送力低下が懸念される「2024年問題」への対応が急がれる中、
北海道と全国各地を結ぶ貨物鉄道による輸送手段が見直されています。
大量の荷物を遠くまで効率的に運べるうえ、
トラックや船より二酸化炭素(CO2)排出が少ない利点が再評価され、
企業や団体が活用を推進しています。

2024年は、物流を支える鉄路の存在感がさらに大きくなる節目となりそうです。
 (文章執筆:経済部 長谷川裕紀氏、今井潤氏)


2023年12月、札幌市白石区の札幌貨物ターミナル駅。
前日夕方に東京・隅田川駅を出発した17両編成の貨物列車が午前10時過ぎにホームに到着し、
フォークリフトがうっすらと雪が付いたコンテナ約80個を次々に降ろしていました。
中身は宅配便や食用油、飲料、書籍など。
トラックで札幌近郊の配送拠点に運ばれ、店頭や家庭に届けられます。
 
同駅の総面積は札幌ドーム10個分に当たる55万8千平方キロメートル。
北海道内外の各地から荷物が届き、
取扱量は東京貨物ターミナルに次ぐ全国2位の規模を誇ります。
発送する荷物では農産物・青果物が最も多く、食料工業品、宅配便と続き、
到着する荷物は宅配便、食料工業品、紙・パルプが多いです。

 
今年4月、トラック運転手の残業時間を年960時間に制限するなどの規制がスタートします。
長距離を中心にこれまで通りの輸送ができなくなる懸念があり、
野村総合研究所は2025年に道内で荷物総量の3割が運べなくなると試算。

JR貨物北海道支社の中村隆営業部長は
「食料品や日用品の輸送をトラックから鉄道に切り替えられないか、という問い合わせが増えている」
と語ります。
 
貨物鉄道の強みは効率の良さです。
一つの列車に積み込める荷物は最大で大型トラック(10トン)65台分。
船便の場合は発着地から距離がある港までのトラック輸送が必要になるのに対し、
貨物鉄道なら、駅など消費地に近い全国140カ所の拠点を活用できます。
CO2排出量もトラックの約11分の1だそうです。

貨物鉄道は道内と道外を行き来する荷物全体の8%(2021年度、重量ベース)を運び、
生活に身近な品が多いのが特徴です。
道内からは主に農産物、道外からは飲料、加工食品、衣類などを運びます。
道外向けのタマネギの64%は鉄道を使い、
ジャガイモも37%、道内向け宅配便も2~3割が鉄道で運ばれています。

利点が見直され、貨物鉄道を積極的に活用する動きが目立ってきました。
ホクレンは2023年1月、
家畜に与える飼料を苫小牧の工場から宗谷管内幌延町までトラックで運んでいたのを
一部鉄道に切り替え。
翌2月には物流大手の佐川急便も、環境への配慮を重視する企業に利用してもらおうと、
鉄道による「飛脚JR貨物コンテナ便」のサービスを始めました。
食料品や飲料、機械部品などの輸送で活用され、道内からは農産物が多いといいます。

 
課題は想定外の事態への対応です。
相次ぐ台風や豪雨で線路が使えなくなり、輸送が止まったり遅れたりするケースが増加。
「予定通り荷物が届くか読めない」(運送業関係者)
との不満の声も多いのが実情です。
新型コロナウイルス禍による経済活動の停滞もあって、
道内と道外間の鉄道輸送量は2022年度、5年前に比べて2割ほど減少しました。
JR貨物は
「運送事業者と連携してトラックや船で代替できる体制を整えたい」(北海道支社)とし、
安定輸送の確保を目指す考えを強調します。

鉄道物流をより効率化させる動きも出ています。
JR貨物と大和ハウス工業は2022年に札幌貨物ターミナル駅内に物流センター
「DPL札幌レールゲート」を開業しました。
立地の優位性を生かし、
貨物列車で駅まで運んだ荷物を時間をかけずに倉庫に保管できるのが特長です。

延べ床面積8万6千平方メートルのスペースを備え、
トラックが屋根付きの通路から天候に左右されずに荷物の出し入れができる利点もあります。
運送企業2社が札幌圏に配送する家電や日用品などの保管に利用しています。
 
大和ハウス工業の三浦英行・北海道支店建築営業所長は
「企業は物流の過程でCO2削減や労働環境の改善に取り組むことを重視するようになっている。
貨物鉄道を活用する流れは今後強まるだろう」と話しています。


■存廃問題に揺れる北海道の鉄道網

貨物列車が走る道内の鉄路は、存廃を巡って揺れています。
保線や施設の管理に当たってきたJR北海道が将来にわたって路線を維持し続けることが難しくなっているためです。
新たな枠組みを模索する議論が続いています。
 
JR函館線「函館~長万部間」は、道内と本州を行き来する
1日約40本の貨物列車が通過する大動脈です。
北海道新幹線札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離されることが決まっています。

路線存続には巨額の赤字負担を伴うため、沿線自治体が旅客輸送の維持に消極的な姿勢を示し、
廃線になる懸念が出ていました。
しかし、国土交通省と道が2023年11月に有識者会議を立ち上げ、
”貨物専用線” として存続させる道を探っています。

JR貨物が列車を運行し、第三セクターなどが線路や設備を保有する
「上下分離方式」が有力とみられますが、
年数十億円に上る維持費をどこが負担するかなどの議論は難航が予想されています。
2025年度に結論を出す予定です。
 
また、JR北海道が単独では維持が難しいとして、
地元負担を前提に存続を目指す赤字8区間(通称・黄色線区)では、
石北線「新旭川~北見間」、根室線「滝川~富良野間」、
室蘭線「沼ノ端~岩見沢間」の3区間で貨物列車が走っています。
 
いずれも道東や道北の各地と本州を結ぶ重要な区間です。
同社は国や自治体の支援を得て維持する仕組みをつくりたい考えですが、
具体的な協議は進んでいません。
保線に当たる人員不足も深刻化しており、
鉄路維持に必要な経費をどう負担するかが重い課題となっています。

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これに関連する記事としては、当ブログでも紹介しました
北海道新聞 2024年1月7日付社説
「北海道開発計画 人口減少時代の展望を」も併せてご覧ください。
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/960386/

まずもう改めるべきことは、
「沿線自治体への負担要求をやめること」だろう。


ダイヤが不便で結果マイカーを使わざるを得ない沿線住民に
なぜ在来線維持の負担をさせなければいけないのか。
(ついでに言えば、自分の村や町に停まるわけがない整備新幹線の建設費を、
 なぜ負担しなければいけないのか)
まずJRがすべきなのは、沿線住民が通学通勤や通院・買い物に必ず使えるように
ダイヤを改正する事ではないのか。

あと貨物列車が動くからには必ず荷主と動く荷物によって恩恵を受ける人や企業があって、
むしろ負担すべきは大都市の「そちら」のはずで、
小売業者・国内鉄道利用者すべてに低く対等に線路の整備維持費用の「交通税」を
NTTのユニバーサルサービス料同様にかけて基金化すべきではないのか。

そういう都市と地方の不平等がつのり続けている結果として
多くの人々が首都圏を目指しているのだろう。

また鉄道もれっきとした国のインフラなのだから、
保線・除雪の要員は「国家公務員」並みの待遇をして
安心して従事できる生活環境をすべきではないのか。
”利益がない”から人員を削減してしまい、
”そこの従業員では生活できない” から人は転職をする。
だから、2022年冬の大雪で、札幌圏が何日も鉄道が麻痺してしまったはずだ。

・・・その点、この冬のJR北海道は非常に頑張っている。
函館山線や根室線富良野~新得間の問題には不満と憤りは隠せないが
除雪とダイヤ維持に頑張っている点はきちんと評価しておきたいし、
やはり「インフラの維持」には道路建設よりも投資が大切だ。


2024年1月18日付訪問者数:183名様
お付き合いいただき、ありがとうございました。

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