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音楽大好き男の徒然なる日記

「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が脳裏を焼き付いて離れない(4)

2020-12-08 | アニメ
かけがえのないものを失ってしまったとき、
人はどうやって生きるチカラを取り戻していくのか
人生はその人の物語だと思う
壊れてしまった物語をゆっくり直していく
その道を歩いていく
それを支えてあげる
その中に生まれるものが「信頼」だと思う
そして、その先にあるのが「愛」なのかもしれない
          【同時再生会】さんのツイートより。

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前作「外伝~永遠と自動手記人形」は90分の上映時間というコンパクトさで、
別れ別れになった姉妹が手紙で再びつながり、
「ああ、良い話だったなあ」と、ほっこりする感じの満足感があった。

だが、この「劇場版(完結編)」はどうだ。

さながらジェットコースターのような波乱万丈の展開と、150分という大作ぶり。
もちろん感動作であることは間違いないのだが、
もう後がないという点でも、観終ったあとの「虚脱感」も半端ではなかった。

御覧になった皆様はいかがでしょうか。


そんな「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が、
あなたが選ぶベスト100「東京アニメアワードフェスティバル2021」映画部門で
ぶっちぎりの「ベスト1」に選ばれました。
https://best100.animefestival.jp/

おめでとうございます!!



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さて、「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を続けます。
(もう延びに延びておりますが…笑)
(注意:文中のセリフには聴き間違いがあります)



長く哀しい嵐の一夜が明けて、エカルテ島は本来の美しさを取り戻していた。
陽を浴びて輝く自然、
島の大人は素朴な暮らしを尊び、子供たちが明るく駆ける。


身も心も傷ついてたどり着いたギルベルト(ジルベール)だったが、
彼は間違いなくこの島に欠かせない人物となっていた。
島の貴重な農産物であるブドウの収穫期を迎え、彼は山の上へ運ぶためのロープウェーも作り上げたのだ。


仕事が片付こうとしている夕暮れ、彼の前に立つ人影があった。
「よう!
……よくのうのうと生きているな、おふくろが亡くなったというのに」
彼の兄、ディートフリート大佐だった。


そんなふたりの前にロープウェーで届いた手紙。
ヴァイオレットからの「最後の手紙」だった。

感謝が綴られた文面が並ぶ。
「少佐が私に“あいしてる”を教えてくださったから、
私もあなたに“あいしてる”を伝えたいと思いました。」


こちらも読まれると、この作品の奥深さがわかります。
(必ず作品を観終ってからお読みください)
ネタバレ満載の
「スタッフトーク付き上映会
<MOVIX京都 ドルビーシネマ版 先行上映> オフィシャルレポート」
http://violet-evergarden.jp/special/greeting02/


同じくネタバレ満載の「公開記念舞台挨拶オフィシャルレポート」
http://violet-evergarden.jp/special/greeting/





そして、ヴァイオレットの手紙の声に出なかった最後の一文が
涙があふれるほどギルベルトの胸を突いた。

「私は、少佐を愛してます。」



 イラストサイト「pixiv」より
 「ブーゲンビリア大佐」 by nari さん(2020.11.13.)
 「…海軍の制服は着崩すとやばいということがわかりました
  美丈夫だなぁ、ほんと…
  アニメのときから、こじれたお兄ちゃんはかなり好きだったけど
  劇場版で完全に堕ちてしまった」 (nari さんのコメント)


「…みな、簡単には素直になれないものだな…」
ディートフリート大佐のこのセリフが、この作品を象徴していると自分は思った。


アンの孫のデイジー、
ディートフリート大佐、
ユリス少年、
そして、ギルベルト元少佐。

みんな不器用で素直になれないから自分も相手も傷付けてしまう。
でも、人に与えられた時間には限りがあるから、
相手に素直に愛情を表現しなければ、大切なものさえ失いかねない。
これは今を生きている我々にも向けられた「教訓」なのだろう。

「ブーゲンビリアの家は俺が継ぐ。 おまえはもう、自由になれ。」
駆けだすギルベルトを今生の別れの思いで見送る彼の姿が悲しい。



船はもう出航していた。
吹っ切れたように手紙を出したヴァイオレットだったが、心はまだ沈んでいた。
その時。遠い島のほうからの声に気付いて、身を乗り出した。
ギルベルトが丘の稜線を走りながら船を追いかけてきた。
「ヴァイオレットぉぉ――っ!!」


 イラストサイト「pixiv」より 「船から身を乗り出すヴァイオレット」
 by Yuuri さん(2020.10.01.)  
 「このシーン凄く良かった!」(Yuuri さんのコメント)
 →Yuuriさんの画力に圧倒されます。


「……少佐……」
やはり、ヴァイオレットにとっては彼がすべてだった。


駆け出した彼女が、

船を、

飛び降りた――――!!




二人が岸辺にたどり着いて、見つめ合う。
二人とも涙ぐんでいた。

「ヴァイオレット……私はもう君の上官でも主人でもない。
立派な人間じゃない。
きっと君には相応しい男ではない。」

( ”…そ、そんなことありません!”、とばかりに首を振るヴァイオレット)

「……それでも……今でも……君を愛している。

……そばにいて欲しい。

……ヴァイオレット……愛している。」


恋焦がれ続けたギルベルトからの、愛の告白。


「少佐……わたし……わたし……しょうさぁ……」
これしか言葉にならない位、赤子のように泣きじゃくるヴァイオレット。
ふたりを月明りが照らす。



 イラストサイト「pixiv」 より
 「愛してる」 by feedmetrash さん (2020.11.)



  イラストサイト「pixiv」より 「筏葛と菫」 by enimo さん (2020.09.22.)


………感無量だった。




後日。

ライデンシャフトリヒで建設工事が続いていた電波塔がついに完成し、
記念の花火が街の夜空を彩った。
まるでヴァイオレットの恋愛成就を祝福するかのように。

見上げるホッジンズ社長やカトレア、アイリス、そしてベネディクトの面々。

「きれいだね、ヴァイオレットちゃ…」とホッジンズ社長が横を向く。が、
もうそこにヴァイオレットの姿はなかった。


その寂しそうな表情が、たまらなく切なかった。


実は、観賞1回目はホッジンズ社長での視点から中心に観ていただけに、
観終わったときの複雑な感想と膨大な喪失感が襲ってきて、
2週間くらいは「また観たい」とは思えなかったのだ。



 イラストサイト「pixiv」より ホッジンズさんとヴァイオレット
   by シン さん (2020.07.05.)

 TV版の少佐なき世界で「自動手記人形」としての道を示したのも、
 「外伝~永遠と自動手記人形」で彼女の舞踏会(エヴィタント)のためにドレスを新調したのも、
 紛れもなくホッジンズ社長の愛情だったんだけどね……
 だから、彼の喪失感が決して他人事とは思えなかった。

ヴァイオレットが幸せになれて良かった、と素直に思えたのは、
観賞2回目以降になってからだった――――



デイジーの、ヴァイオレットの軌跡を辿る旅は季節を超えて、
雪が舞う(終着点の)エカルテ島に着いた。
郵便局はすでに町の中心部に移り、
灯台は無人になっていた。

でも、記念切手になったほど彼女の功績は歴史に残り、
親指を立てる「Good !」のポーズも、ヴァイオレットが確かにユリス少年から受け継いだものだった。



「パパ、

 ママ、

 ありがとう」

 ―「sincerely(心から) あいしてる」





時代は留まることなく移り変わってゆく。

でも、我々の中にも彼女の思いが生きているはず。



彼女の名前は―――

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」








――――― ご熟読、ありがとうございました。


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この物語で重要なコンセプトがある。
「命と思いのリレー」だ。

多くの方がご存知の通り、京都アニメーションでは凄惨な放火殺人事件で36名の尊い命が奪われた。
そこに確かに存在した大切な人と、彼らの功績。
それを今を生きる我々から、次の時代の人々に繋いでゆくリレーの尊さ。
それを語っている。

“何かの足しにもなれずに生きて
何にもなれずに消えて行く
僕がいることを喜ぶ人が
どこかにいてほしい”   
    中島みゆき「命の別名」1998

…………ほんとうに、切実に、そう思っています。(涙)




それでは、本編紹介の最後に、この歌でお別れいたしましょう。

未来のひとへ ~Orchestra ver.~


 歌:TRUE
 作詞:唐沢美帆
 作曲:川崎里実
 編曲:Evan Call

歌詞:J-Lyric.net
https://j-lyric.net/artist/a0588b0/l045937.html




  あなたのそばにいる。
  きみのとなりにいる。
  この手は二度と離さない。
   Illustrated by Yuki さん(Twitterより転載いたしました)
   poem by 京子さん (Twitterより転載いたしました)
  →時代が少し進化ようで、ヴァイオレットの義手の素材が冷たい鉄から人肌に近い樹脂に替わったような気も……


「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」公式ホームページは、
 http://violet-evergarden.jp/




次回以降は、イラストサイト「pixiv」から
お気に入りのイラストをご紹介したいと思います。

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2020年12月8日付訪問者数:240名様
2021年11月6日付訪問者数:164名様
2021年11月7日付訪問者数:178名様
2021年11月8日付訪問者数:152名様
2022年11月26日付訪問者数:245名様
2022年11月27日付訪問者数:157名様
(2022年11月25日は日テレ「金曜ロードショー」での地上波初放送日でした。改めて怖い数字・・・)
2023年10月22日付訪問者数:260名様(・・・え⁇ なんで今頃・・・)
お付き合いいただき、ありがとうございました。

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