shining's ブログ 「音楽と旅と珈琲と」

音楽大好き男の徒然なる日記

追悼・服部克久 先生 (4)/驛舎(えき)(1981・さだまさし)

2021-09-23 | 音楽
ほんとうに突然で恐縮なんですが、
久々に服部先生の功労作品をご紹介したいと思います。

先生が他界されて、すでに1年4か月経ってしまったのですね。

今はすでに絶版となっているが、今も好んで読んでいる文庫本の中に
「さだまさし 旅のさなかに」(新潮文庫、1982 発行)がある。
当時のさださんの楽曲の歌詞・エッセイ・写真から選ばれ編集されている。
(いやぁ~、文学青年だったなあ~笑)。


その中に、服部先生の編曲が光った歌も収まっている。
今回ご紹介する「驛舎(えき)」だ。

さださんが小学生で上京してから、東京芸大進学に挫折した高校時代、
はっきりした意志を持たず大学進学したものの中退、
アルバイトを掛け持ちした挙げ句急性肝炎でそれさえも辞めて帰郷した時の心境のエッセイが載っている。

それを読み終えたあとにこの歌を聴くと、
涙腺にくるくらい染み入ります。


この作品制作時、さださんの大半のアレンジを手掛ける渡辺俊幸氏はまだ音楽留学中で、
服部先生が手掛けました。

イントロで「あ、これ」と思われる方もいるでしょう。
何故なら、服部先生のライフワークだった『音楽畑』シリーズにも収められている某楽曲の出だしに 
似ているからです。
それだけ、服部先生にも思い入れが強い楽曲だった筈です。

目的を失って単身生きてきた東京の身辺を整理して、
心身ともに傷だらけで故郷にたどり着いた人間を迎えてくれる「春の温もり」が伝わります。

…いいお仕事をされました。

”帰る場所” がある人間は幸いです。


「名曲ですよね。
 イントロと最後のフェイドアウトする伴奏も良い。
 さだまさしの曲の中で一番好きかも。」
   タマちゃんねる さんのコメント


「借金抱えて一番しんどい時期なのに。
 いや、だからこそ故郷に帰りたい曲を紡いだのだろうか。
 相棒の渡辺俊幸留学中に見事支えてくれた服部先生の尽力も見逃せない。」
   masahide nisio さんのコメント


「今からかれこれ40年前、大学受験で京都の予備校に在籍していました。
 この曲を聞きながら、今更ながらある事を思い出していました。
 「都会での事は誰も知らないよ、話す事も要らない」のフレーズで
 第一志望のみならず、絶対合格すると信じて疑わなかった大学まで不合格になり、
 失意のどん底で夜の列車に乗り、闇夜の中の車窓を眺めながら
 地元の町まで帰って来たことを思い出しました。
 「改札口を出たなら もう故郷は春だから」には、
 「遂に春は来なかった」と呆然とした毎日を過ごしていました。
 実際、その年は桜の咲くのが遅く、
 4月下旬頃になってやっと桜が満開🌸になったのを覚えています。
 1984年(昭和59)年3月の出来事です。」
  @user-gj4vn6yd5b さんのコメント。


「30年前にしきりに聴いていた。
 30年ぶりに、ふと検索した。
 30年間聴いていなかったのに、歌詞を間違えずに唱えた。
 タイムスリップしたみたいに、スゲー懐かしくて、実家の駅の改札を思いだした。
 まだ有人だった改札口に帰省したシーンに浸ってしまった。」
   プリプリ さんのコメント


「鉄道がどんどん高速化していく。
 そして、アナウンスも改札も次々と自動化していく。
 ふるさとらしさがなくなっていく。
 これって、何か大切な物を気がつかないうちに失っているような気する。」
 @user-bk8lk9zz1g さんのコメント。
 ⇒新幹線最優先は正直悲しいです。
  国鉄時代の京都駅も金沢駅・長野駅・軽井沢駅も地域独特の味がありました。
  インバウンド客が増えるなど時代が変わってるのは分かりますが、
  ”何か勘違いしているんじゃないのか?”とも感じずにいられません。
  ヨーロッパの鉄道駅を観ているとつくづく思います。

「最後のストリングスは、包みこんでくれるような慈悲に満ちていて、
 心にあたたかさが流れ込んできて、救われるような気持ちになる...」
  @pedoroism さんのコメント。

「なんという、温かい曲なのかと思います
 さださんの人の心を静かに揺さぶる類まれな才能に感謝します。」 
   明智耕助 さんのコメント



最後の部分だけちょっと載せましょう。
”故郷に恥ずかしくて恥ずかしくて、何度、途中で降りようかと思い、
つまり、その勇気さえ無かった。
この時点での俺が、真実、俺なんだ。
今迄も将来もくそもない、これが本当の姿なんだ。

背骨がぎしぎしと痛んだ。
汽車は相変わらず何時もの様に走った。
ほんの少しまどろむと、懐かしい風景が飛び込んで来た。

迎えは無かった。”


駅舎(1981) # さだまさし


歌詞:J-Lyric.net
https://j-lyric.net/artist/a0004ab/l01031c.html


  ↑
この歌が初めてアルバムに収録された1977~1981年のベスト曲集『昨日達(イエスタデイズ)』が
リマスタリングされて、2021年10月13日に限定復刻されます。
おもな収録曲:
天までとどけ・道化師のソネット・案山子・
防人の詩(うた)・不良少女白書(榊原まさとし氏へ提供曲のセルフカバー)・
関白宣言・生生流転。
買って損なしです。 ご希望の方は売り切れにご注意ください。

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