韓国経済、狂乱ウォン高で輸出産業総崩れ 3度目の深刻な経済危機へ- 夕刊フジ(2014年6月24日17時12分)
韓国を狂乱ウォン高が襲っている。主力産業である自動車の輸出にブレーキがかかるなど、人為的な通貨安を武器にした“韓流”ビジネスモデルは崩壊寸前だ。過去2回の急速な円安ウォン高局面で、深刻な経済危機に見舞われた韓国だが、今回も“法則”は発動するのか。
対円で一時1円=9ウォン台、対ドルで一時1ドル=1010ウォン台をつけるなど、約6年ぶりのウォン高基調の悪影響は具体的に出始めた。
輸出依存度の高い韓国にとって自動車産業は稼ぎ頭だが、5月の自動車輸出は前年同期比5・1%減と4カ月ぶりに減少に転じた。米国市場の5月の販売実績でも日産自動車が18%増、トヨタ自動車が17%増と日本勢が絶好調だったのに対し、現代自動車はわずか3%増。グループの起亜自動車を含めても8%増にとどまった。
韓国銀行(中央銀行)が発表した5月の輸出物価指数(2010年=100)は前年同月比8・1%下落の86・80と約6年5カ月ぶりの低水準だった。同じ商品を売ってもウォンで手にする金額が約8%減ることを意味しており、採算性が著しく悪化している。
円安ウォン高が始動したきっかけは、アベノミクスの第1の矢である昨年4月の日銀金融緩和だが、その影響について韓国内では楽観ムードすら漂っていた。
元東洋経済新報社編集局長の勝又壽良氏は「当初は恐れていたほど悪影響が出なかったことで“韓国経済の強さの証明”という論調が出た。しかし、為替の変動が実際の輸出入に影響が出るまで1~2年のタイムラグ(時間のずれ)があることを忘れた笑止千万な見解だった」と語る。
そして日銀の金融緩和が2年目に突入し、韓国の輸出にボディーブローのように効き始めたことで、韓国国内は動揺を隠しきれない。
朝鮮日報は「韓国経済は円安が訪れるたびに試練を味わった」と報じている。プラザ合意後の円高進行が止まった1989年、経常黒字が前年の3分の1、成長率も前年までの2ケタから6%台まで鈍化した。
90年代後半には1円=7ウォン台までウォン高が進んで輸出競争力を失い、97年には過去最大の経常赤字を記録、そして98年に通貨危機を迎えて韓国は事実上破綻、国際通貨基金(IMF)の管理下に入った。
そして今回、3度目のウォン高局面で「同様の危機を迎える可能性がある」と同紙は危惧する。
ウォン高を回避するには、日本のような金融緩和が王道だ。韓国では現在、インフレ目標を下回っているため、緩和の余地もあるのだが、韓銀は利下げを見送っている。
その代わりに行っているのが為替介入だ。ウォンを実勢より安く維持しているとして米財務省が名指しで韓国を批判したが、最近も介入を疑わせる不自然な為替相場の動きが見受けられる。
元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は「金利を引き下げた場合、韓国から資本が流出する恐れがあるので為替介入という手段を選んでいるのだろう。だが、その効果は一時的なものでしかない」と指摘する。実際の相場でも、ウォン安に振れるのは短期間で、再びウォン高に逆戻りする展開が続いている。
前出の勝又氏はこう締めくくった。
「日本が経済政策を転換して動き出すと、韓国は翻弄される宿命だ。これまで韓国経済は、日本の超円高の陰でぬくぬくとやり過ごしてきた報いが現れたともいえる」
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韓国経済に「内憂外患」…ウォン高、自粛ムード- 読売新聞(2014年6月23日07時28分)
これまで堅調だった韓国経済が内憂外患とも言える状況に陥っている。旅客船「セウォル号」の沈没事故で自粛ムードが広がり、消費は振るわない。輸出競争力の低下につながる韓国通貨のウォン高も逆風になっている。
◆客足まばら
4月中旬に多くの高校生が亡くなった旅客船「セウォル号」の沈没事故。2か月たった6月半ば、ソウルを訪れると、外食や映画、旅行などの娯楽消費を控える傾向が続いていた。韓国風きしめんの人気店を営む男性は、「4月下旬から、急に客が来なくなった。地元の常連客で成り立っているのに、これでは商売にならない」とため息をついた。
ソウルで最大規模を誇るロッテ百貨店の本店でも、主力の衣料品を扱うフロアは客足もまばらだ。既存店売上高が前年比5%増で推移していたが、事故後は2~3%減となっている。
◆外需頼み
韓国の実質国内総生産(GDP)成長率は、2013年実績は3・0%だったが、欧米市場などへの輸出が拡大し、今年は4%近くに高まるとの見方が多い。だが、リーマン・ショック以来6年ぶりの水準にあるウォン高・ドル安が気がかりだ。
韓国のGDPは製造業を中心とした輸出が約5割を占め、ウォン高により輸出競争力が落ちて売れなくなると、経済全体に打撃となる。
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