小手先の手段で、市場をコントロールできるとも思えず。
株式投資がバクチと化し、それをあわてふためいて下支えする政府。ほとんど、まともに相手できません。
中国株乱高下 強引な市場介入が招いた混迷
読売新聞 / 2015年7月10日 1時6分
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景気減速に直面する中国経済のかじ取りの困難さを、改めて印象づけたと言えよう。
中国株の乱高下が続いている。
代表的な株価指数である上海総合指数は、昨年後半から急騰し、今年6月に1年前の2・5倍に跳ね上がった。ところが、ピークから一転して売り一色となり、ここ1か月で3割も急落した。
東京市場の平均株価が2万円を割り込むなど、中国株の波乱は世界の市場にも飛び火している。
9日の上海市場は、中国当局が打ち出した株価対策への期待を背景に上昇に転じたが、持続力には疑問がある。しばらくは、不安定な値動きに注意が必要だろう。
認識すべきなのは、株式市場の混乱が、当局の失政によってもたらされたことである。
不動産市況の悪化などで低迷した景気の下支えを狙い、株価をつり上げ、個人消費を刺激する政策に乗り出した。利下げを繰り返した上に、国営メディアを通じて株高はまだ続くとの観測を流し、投資家心理をあおった。
景気対策のために「官製バブル」を生成させた責任は重い。
株価が下げを強めると、当局は大手証券会社に総額約2・4兆円の上場投資信託の買い入れを求めるなど、なりふり構わない株価維持策に打って出た。
当局による場当たり的な市場介入が、中国の株式市場の特異性を際立たせた面は否めまい。
中国市場の未熟さも、混乱に拍車をかけた要因だ。
海外投資家の参加が制限されているため、国内の個人投資家が取引の8割を占めている。
昨年来の上昇相場で急増した個人投資家は、目先の値動きなどで売買を判断する傾向が強く、株価が一方的に振れる原因になっていると指摘される。
企業の判断で株式売買を停止できる制度も、中国市場に特有のものだ。企業の事情で自由な売買を阻害するのは問題が多い。
中国は、開発投資が中心の高成長から、消費主導の安定成長へ軟着陸させる「新常態」(ニューノーマル)を目指している。
だが、成長減速に歯止めがかからず、中国政府は、インフラ投資に使う6兆円の新基金設立を決めるなど、再び投資による景気テコ入れに動き始めた。
新たなバブルを起こしかねない政策への転換は、中長期的な成長を阻害しよう。世界第2の経済大国の迷走が、世界経済を揺るがす事態は避けねばならない。
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