ぜじろぐ

SAMBATOWN・ゼジの書くブラジル音楽やその他あれこれ

日本かよ

2017-07-02 08:31:46 | 訳詞

輪になって踊ろう(Quadras de Roda)


小鳥が歌った
鳥かごの中で
外にいたなら
もっと上手に歌えたろうに

船乗りは目が覚めて
死ぬほど仰天する他なかった
何者かが誰より早く起きて
空と海を盗んでいったのだ

僕の恋人は何も知らなかった
だって
朝が訪れることは決してなかったから
来る日も来る日も戸口には
見張りの人が張り付いていたってわけですよ


多くの人が私の金髪のことを
ハゲタカと称したけれど
どうも見たところ もうしばらくは
そう呼んでもらうことになりそうですかな

大洪水で人々はてんやわんやになったが
まあこのぶんだと 相も変わらず
てんやわんやのままでいてくれるでしょうな



Passarinho cantou de dentro de uma gaiola
Cantaria melhor se fosse do lado de fora
Passarinho cantou de dentro de uma gaiola
Cantaria melhor se fosse do lado de fora

O marinheiro acordou e tinha que se espantar
Alguém levantou mais cedo e roubou o céu e o mar
O marinheiro acordou e tinha que se espantar
Alguém levantou mais cedo e roubou o céu e o mar

Meu amor não sabia por que nunca amanhecia
É que existia um vigia na porta de cada dia
Existia um vigia na porta de cada dia


Muita gente chamou urubu de meu louro
Pelo que vejo agora lê lê vai chamar de novo

Muita água rolou dos olhos do povo
Pelo que vejo agora lê lê vai rolar de novo



【作詞/作曲 Vitor Martins/Ivan Lins】




(プチ解説)
1977年に発表されたブラジル稀代のシンガーソングライター、イヴァン・リンスの大々々傑作アルバム(確か6枚目)の冒頭を飾る、めくるめくメロディ&コード進行、そしてコーラスワークが魅力の名曲。ワタシはイヴァンの書いた数あまたの作品中この曲が一番好きです。
というのも、こんなにも歓喜が湧き上がってくるような美しい曲でありながら、歌ってる内容が当時の軍事政権に対する痛烈極まりない皮肉で彩られた歌詞だからなんですね。圧政に怯える市井の人々と権力者の視点との対比表現が凄まじいほどに鮮やか。アーティストかくあるべし。これぞ芸術です。
タイトルのQuadras de Rodaは邦題だと「輪になって踊ろう」となっています。Quadraは英語でいうところのCourtに当たる言葉で、人が輪になって集まる場所といった感じの表現になるんですが、これ実は「裁判所」っていう意味もあるんですよね。ホーダ裁判所。井戸端会議っぽい光景が実は当局への密告の現場だった、みたいな想像もできて、なんかコワいです。
あと中盤のMeu amor não sabia(僕の恋人は何も知らなかった)・・・が繰り返しで歌われているあたり、「知らない、知ろうともしない、知らなかったことにする」みたいな大衆心理というか行動原理というか、まあどこぞの国の昔と今にそっくりそのまま当てはめることができそうなくらいですよね。イヴァン・リンスもさることながら、歌詞書いたヴィトール・マルチンスほんまにスゴい。スゴすぎ。

余談ですが、ワタシがもし歌とギターが達者であれば、このイヴァン・リンスにジョアン・ボスコ、シコ・ブアルキそれにゴンザギーニャといった偉大なアーティストらが残した美しいMPB楽曲、その裏に込められた体制批判の魂宿るレパートリーばかりを選んでライブして回り、反骨系MPB伝道師っぽく人生を終えたいもんだと最近つくづく思うようになりました。今やどうしようもなくデタラメな国に堕ちてしまった日本にあって、彼らが産み落とした名曲の数々を、ギターの練習と併せてその歌詞の真意を吟味しながら残りの人生を送ろうかな、などと考えたりする今日この頃であります。

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2 コメント

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お久しぶりです (ヒロ)
2017-08-25 00:11:54
メマーリさんライブなど過去に2回ほど、コメントいたしましたヒロです。
ゼジさんの健在に乾杯。
僕もなんだかんだと名古屋に行くチャンスを逃し、サンバタウンに行けずじまいなまま、今や52歳で一歳半の息子のパパ。横浜で自縄自縛な日々を送っております。
それでもポンコツ、いや反骨の心と音楽への情熱はいまださめやらず。愛の訴えかたは十人十色ですが、それがポジティブだろうとネガティブだろうと、愛は愛。
それではまた!お元気で。
Unknown (かるがも)
2017-09-24 09:20:20
ゼジさん、お知らせしたいことがあったので、
@sambatownのアドレスへメールをお送りしました。
届いてなかったら、うーんどうしましょう。
ここで大声で叫ぶとするか。。。。。
お~~~い!

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