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目には青葉・・・、和菓子にも

2017-05-24 06:23:38 | お菓子とお茶 季のモノコト
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」
聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
江戸前期の俳人、山口素堂(やまぐちそどう)の俳句で、
初夏皐月の季語ばかりから成り、「目」と「耳」と「口」で味わい尽くす面白さで知れ渡りました。


「目」で味わう初夏の「青葉」は、新緑の事。
まさに今頃、強くなった日差しに透けた葉の若々しく爽やかな緑が目に染みます。

この青葉をモチーフにした和菓子は沢山あります。
そのまま「青葉」や「新緑」と銘打たれた主菓子や羊羹など。
先日お茶サロンでお出しした、洗足太市さんhttp://www.wagashi-taichi.jp/の「青葉」はこなしでできていました。

羊羹では通年あるとらやさんの抹茶入り羊羹「新緑しんみどり」https://www.toraya-group.co.jp/toraya/products/petite/shimmidori/


その他には、
「落とし文」という銘の和菓子も。
こちらは末富さんhttp://www.kyoto-suetomi.com/seasonal/の練り切りです。

虫が卵を産み付けてくるくると巻き落とした葉の形が、

相手に気付くように落として拾わせた恋文の落とし文に似ていることから、この名がつきました。

クヌギ、クリ、ナラなどの葉で、「ほととぎすの落とし文」や「うぐいすの玉づさ」とも呼ばれていたそうです。
この玉づさとは、その昔は梓(あずさ)の木の枝に結びつけた文を使者が運んだことから、玉のように文をつけた梓がなまって玉づさになったそうです。
なんだか素敵ですね。
そういえば平安時代の絵巻などに、稚児が文のついた木の枝を持って走っている姿が描かれているのを見たことがある気がします。

話がそれましたが、
「落とし文」の菓銘の主菓子はこの時期よく見かけます、
洗足太市さんでは州浜で干菓子も作ってらっしゃいます。


さて、
「耳」で味わう杜鵑(ほととぎす)は、春の鶯(うぐいす)と並びその初音が賞される渡り鳥です。
「てっぺんかけたか キョキョキョ」と鳴きます。
このほととぎすの声が聞こえてくると、夏が始まるなと、季節の移ろいを敏感に感じられる日本人の感性の豊かさは誇るべきものですね。

先日の結愉でもお出ししたような、ほととぎすの形の焼き印を押したお菓子もよくあります。
お饅頭に押してあったり、味噌煎餅に押してあったり。
また、「一声」という菓銘で、月を横切るほととぎすを大徳寺納豆で表した主菓子もあります。
4/30の関東第一ブロック会員大会の東博・六窓庵での茶席でも洗足太市さんの「一声」を使わせていただきました。

「ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば ただ有明の月ぞ残れる」後徳大寺左大臣
この百人一首の歌でもあるように、夜でも鳴きながら飛ぶそうです。


最後は「口」で味わう初鰹。
江戸っ子は、「初物を食べると七五日長生きする」と初物をありがたがりましたが、
特に初鰹にかける思いは特別でした。
文化9年の記録によると、湘南で17本あがった鰹の内、6本は将軍家に献上され、
3本は今でもある高級料亭「八百善」http://www.yaozen.net/に1本2両1分で買い上げられました。
今のお金にすると1本10~30万円。
残りの8本は江戸中の魚屋が天秤棒で売りさばきました。
「女房を質に入れてでも」買った初鰹はどんな味わいだったのでしょうか。

さて、なんと初鰹の名を関したお菓子もあります。
美濃忠さんの「初かつを」http://www.minochu.jp/itemdetail.html?category=0は、葛入りの蒸羊羹で柔らかくもっちりとした食感のれっきとした甘い和菓子です。



いずれの和菓子も、趣深く、美味しく。
日本文化の豊かさを物語ってくれています。


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