自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

画集後日

2013年01月30日 | 絵と文


「もし七十さいまで生きのびられていたら・・・」
75歳を過ぎて芥川賞を受賞した黒田夏子さんの一言は、目に見えぬ大きな力を与えてくれました。

最強の寒波とかに襲われても部屋の中は暖かく、自由気まま好きなことにときを費やし
そこそこ病気もせず、冷蔵庫はいつも満杯、欲しいものは電話一つでいつでも手に入る。
この恵まれた環境にもあとたった一つ欠けてはならない要素がありました。

ふとしたことから体調を崩して以来、それまで念頭になかった自分の年齢が、
今度は一転頭から離れなくなって、何事にもすぐにブレーキがかかります。
個展の開催も体力気力に自信がなければいつしか実現の予定も遠のき
デスクワークで仕上がる画集の編集が面白くなって、最近はそれが目的だったように過ごしていました。
描きためたものの70%くらいを1冊にまとめて、
完成のあとの自分の姿がちょっと想像できないくらいでした。

ところが最終的にまったく無知だった「製本」の工程で行きつ戻りつ、画集はなかなか完成しません。
夢は宙ぶらりんで、それは悪循環しながらいやに寒さが身にしみる今年の冬となり、
何かが欠けているのでは?と無意識のうち暗中模索していたみたいです。

そのときでした
「もし七十さいまで生きのびられていたら」

その年をはるかに超えながら、当たり前のようにトシを忘れて生きてきたことに反省が生まれました。
同時に、これからも生き延びられたら、今まで同様作品を描き続けて、いつかまた「画集」を作ろう! 
そんな自分の姿が見えてきました。

現金なものです
朝の目覚めが明るく快適になりました。
滞っていた作品づくりの日々が楽しくなりました。

 
 次回、イメージに近づく本作りがしてみたい!

画集始末

2013年01月17日 | 絵と文


「製本は芸術である」 とある業者が言った。 なるほど。
知らなかった。もう少し早くに聞いていれば。
でもこれは仕様がないか。ふつう日常にはあまり関係ない言葉だもの。

画集など作ってみようかと、ふと思い立ったのが1年前。
だんだんと現実味を帯びてきて、実行に取り掛かったのが3か月前。
それからデータ作りの1ヶ月間は楽しかった。
朝も昼も誰からも文句の出ないマニアックな暮らし。やや色あせてるけど夢も見たし。

印刷に多少の文句も付けてさて製本に回し
出来上がる予定の吉日のあたりからきれいな虹が薄れてきた。
一定の時間が過ぎれば目の前に予想通りのものが現れる…はず。

…なんて今まで無関心でいたのだろう!  製本という技術。

四隅をそろえて。
カバーはぶかぶかさせないで。  などは序の口。
表紙が反り返り閉じてピタっと収まらず。
折り返しが滑って手に持てば中身がずり落ち。
天と地の開きが狂って矢の字型になり。
やがてパクッと糊が剥がれる。     
これで上製本?

出来上がった本の山を横目に見ながら何もできないうつろな2週間。
湿気のある寒い部屋で重しを乗せて1週間。
或る日急に猛然と闘志が湧いて起き上がり、いくつもの業者に当たりを付けた。
もう、満足できれば費用が増えようと(?)なんだろうと構わない!

......


もうそろそろ1カ月。
今更ながら動画を見ながらの勉強なども連日してみたけれど。
出来る範囲の努力はしたつもりだけれど、いずれも帯に短したすきに長し。
何度目かのやり取りで、遂にここらで妥協したらと最後通告。

本当に芸術って気難しい。


(本を作るときがあればいらっしゃい)