自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

いつも見つめて

2009年03月26日 | 写真と文
 外は時折小雪さえ舞っているきょうの日、部屋の一隅から甘い香りが漂ってくる。
 白いスィートピーにまっ黄色のサンフラワー、大輪のラナンキュラス。
 クリーム色のリボンが付けられて、清楚に華やかなひと鉢の花は、Mさんからの優しい春のお便りだ。


 「ひと足早くさびしい春が過ぎ去った」
 センバツたけなわの今、緒戦敗退した太郎たちをメディアが表現した。
 小さいころは試合に負けて全員悔し涙にくれる中、明日があるさとけろり澄ましていた太郎だって、少し使い古されたこの一文に、きっと憂愁を掻き立てられることだろう。
 どこかで春の花々の香りを優しく感じてくれたらとふと思う。

 緒戦の相手は我慢と努力をモットーとする古武士然とした監督さん。
 「エンジョイベースボールなんて大嫌い」
 「髪の長い選手たちと戦うのは初めて」などかなり刺激的だった。
 「エンジョイ」と「求道」。 野球哲学の究極の対決。
そしてこの両者の違いが試合の機微に投影されるような展開になれば面白い、と新聞は書き立てた。

 はるか遠い昔「ほしがりません勝つまでは」を強いられた年代だから大いに興味をそそられた。
  エンジョイチームの明るい雰囲気の中にも、厳しくストイックな生活規範にも長所短所は同居する。
 欲張ってるけどどちらも好き。

 相手チームの際立ってミスを許さぬきびきびした動作は美しいとさえ感じられた。
 その後ろにあの古武士を思わせる監督の影が厳然と立つ。
 勝負の流れ、時の運もたしかにあるけれど、冷静に見て今回の軍配はあちらに。
 新チーム結成以来、公式戦で負け無しの彼らが晴れの舞台で初めて味わう敗北感だった。

 夏に向けてエンジョイは変貌するのだろうか?
 それより今を失わず新たな闘志をためるのだろうか。
 どちらにしても、今開き始めた桜が散るまで彼らの胸の痛みは消えないだろう、とのみ思いあぐねて花を眺める。
 ひまわりやスィートピーの花言葉にもあるように。
 
   素直な輝き、門出、やさしい思い出
   あなたをいつも見つめています。
 

「粧」

2009年03月12日 | 日本画「情景」

                               女の情景 「粧」

                         枝をたわめて 薔薇をつめば

                       うれしき人が 息ぞ香のする  

 

 きさらぎ弥生春のさかり 草と水との色はみどり 枝をたわめて薔薇をつめば うれしき人が息ぞ香のする  佐藤春夫

 

                       日本画「粧」   53.0×45.5 麻紙岩絵具