鎌倉を歩く 17
腰越の満福寺
(写真はクリックして見てください)
「オス、元気か」「懐かしい挨拶だなあ」「お前に会うと少年時代に戻る。今日はどこへ行
く?」「天気がよいので、見晴らしのよい腰越の満福寺に行こう」「いいなあ、行こう」
歩く:鎌倉駅 江ノ電で腰越駅下車
「昔懐かしい電車だ」「修学旅行で来たとき、乗った記憶がある」「電車は変わらないが
乗客の身なりは変わった」「あんなショートスカートの女はいなかった」「内を見ず、外の
景色を眺めよう」「自動車も走っていなかった」「もっと先の海を見よう」
「駅を降りて、線路を渡ればすぐだ」「これでは運動にならない」「もう境内だ。弁慶の
腰掛石に手玉石がある」「すごい力持ちだったんだなあ」「案内書に、本尊は薬師三尊、弁
慶筆といわれる腰越状の下書きがあるが、当時のものとは思えない。弁慶所要と伝える碗、
錫杖(しゃくじょう)などもある、と書かれている」
「なるほど」「何に感心してる?」「平和な江戸時代に、江ノ島は人気のある観光スポッ
トだった。客を楽しませるモノがいる」「そうだなあ」「昔の人はこういうお寺を参詣する
余裕があった」「修学旅行では江ノ島に泊まった」「翌日は日光へ向かった」「二泊三日で、
いそがしく移動した。宿で騒いで先生に叱られた記憶しかない」「お賽銭を入れて拝み、
向かいの江ノ島を眺めよう。絶景だ」
「義経は、ここまで来て腰越状を書いたたのだろうか?」「お前の珍説を聞こう」「兄・
頼朝の怒りにふれて、小田原の酒匂(さかわ)宿に足止めされた」「そうなの?」「吾妻鏡
に」「またかあ、まあ、聞きましょう」「左右なく鎌倉に参ずべからず、しばらくその辺り
に逗留(とうりゅう)しておれ、と命じられた」「なるほど」
「この間、義経は酒匂辺りに逗留して、頼朝に面会を許されず、京に戻ったとある」「身
軽な義経のことだから、ここ、満福寺まで来て腰越状を書き哀訴したのだよ」「頼朝があ
れほど禁じた朝廷からの任官を、義経はかってに受けた。頼朝はすっごく怒っていた」「そ
れは知っている」「京都から小田原まで急ぎ帰って来たが、そこで待てといわれた」「そう
か、さらに頼朝を怒らせる行動はしないなあ」
「腰越状は弁慶や義経に書けるような文章ではない」「そうなの?」「漢学者が後の世に書
きいれたのだよ。難しい漢字がいっぱい出てくる」「そうか、そうか。もっと、聞かせて
くれ」「えっ?いつものお前と違うなあ」「のどが乾いただろう、駅前に帰って、これ、や
るか」「そういうことか。でも、これでは歩き足りない」「そうだなあ」「小動(こゆるぎ)
神社に参って、海を見ながら歩いて鎌倉駅まで帰ろう」「それは…」「うまいビール、飲み
たいのだろう?」「歩く、あるく」
腰越の満福寺
(写真はクリックして見てください)
「オス、元気か」「懐かしい挨拶だなあ」「お前に会うと少年時代に戻る。今日はどこへ行
く?」「天気がよいので、見晴らしのよい腰越の満福寺に行こう」「いいなあ、行こう」
歩く:鎌倉駅 江ノ電で腰越駅下車
「昔懐かしい電車だ」「修学旅行で来たとき、乗った記憶がある」「電車は変わらないが
乗客の身なりは変わった」「あんなショートスカートの女はいなかった」「内を見ず、外の
景色を眺めよう」「自動車も走っていなかった」「もっと先の海を見よう」
「駅を降りて、線路を渡ればすぐだ」「これでは運動にならない」「もう境内だ。弁慶の
腰掛石に手玉石がある」「すごい力持ちだったんだなあ」「案内書に、本尊は薬師三尊、弁
慶筆といわれる腰越状の下書きがあるが、当時のものとは思えない。弁慶所要と伝える碗、
錫杖(しゃくじょう)などもある、と書かれている」
「なるほど」「何に感心してる?」「平和な江戸時代に、江ノ島は人気のある観光スポッ
トだった。客を楽しませるモノがいる」「そうだなあ」「昔の人はこういうお寺を参詣する
余裕があった」「修学旅行では江ノ島に泊まった」「翌日は日光へ向かった」「二泊三日で、
いそがしく移動した。宿で騒いで先生に叱られた記憶しかない」「お賽銭を入れて拝み、
向かいの江ノ島を眺めよう。絶景だ」
「義経は、ここまで来て腰越状を書いたたのだろうか?」「お前の珍説を聞こう」「兄・
頼朝の怒りにふれて、小田原の酒匂(さかわ)宿に足止めされた」「そうなの?」「吾妻鏡
に」「またかあ、まあ、聞きましょう」「左右なく鎌倉に参ずべからず、しばらくその辺り
に逗留(とうりゅう)しておれ、と命じられた」「なるほど」
「この間、義経は酒匂辺りに逗留して、頼朝に面会を許されず、京に戻ったとある」「身
軽な義経のことだから、ここ、満福寺まで来て腰越状を書き哀訴したのだよ」「頼朝があ
れほど禁じた朝廷からの任官を、義経はかってに受けた。頼朝はすっごく怒っていた」「そ
れは知っている」「京都から小田原まで急ぎ帰って来たが、そこで待てといわれた」「そう
か、さらに頼朝を怒らせる行動はしないなあ」
「腰越状は弁慶や義経に書けるような文章ではない」「そうなの?」「漢学者が後の世に書
きいれたのだよ。難しい漢字がいっぱい出てくる」「そうか、そうか。もっと、聞かせて
くれ」「えっ?いつものお前と違うなあ」「のどが乾いただろう、駅前に帰って、これ、や
るか」「そういうことか。でも、これでは歩き足りない」「そうだなあ」「小動(こゆるぎ)
神社に参って、海を見ながら歩いて鎌倉駅まで帰ろう」「それは…」「うまいビール、飲み
たいのだろう?」「歩く、あるく」