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鎌倉を歩く17 腰越の満福寺

2013-04-01 07:02:14 | Weblog
鎌倉を歩く 17
            腰越の満福寺

                      (写真はクリックして見てください)

「オス、元気か」「懐かしい挨拶だなあ」「お前に会うと少年時代に戻る。今日はどこへ行
く?」「天気がよいので、見晴らしのよい腰越の満福寺に行こう」「いいなあ、行こう」

歩く:鎌倉駅 江ノ電で腰越駅下車

 「昔懐かしい電車だ」「修学旅行で来たとき、乗った記憶がある」「電車は変わらないが
乗客の身なりは変わった」「あんなショートスカートの女はいなかった」「内を見ず、外の
景色を眺めよう」「自動車も走っていなかった」「もっと先の海を見よう」

 「駅を降りて、線路を渡ればすぐだ」「これでは運動にならない」「もう境内だ。弁慶の
腰掛石に手玉石がある」「すごい力持ちだったんだなあ」「案内書に、本尊は薬師三尊、弁
慶筆といわれる腰越状の下書きがあるが、当時のものとは思えない。弁慶所要と伝える碗、
錫杖(しゃくじょう)などもある、と書かれている」

 
 「なるほど」「何に感心してる?」「平和な江戸時代に、江ノ島は人気のある観光スポッ
トだった。客を楽しませるモノがいる」「そうだなあ」「昔の人はこういうお寺を参詣する
余裕があった」「修学旅行では江ノ島に泊まった」「翌日は日光へ向かった」「二泊三日で、
いそがしく移動した。宿で騒いで先生に叱られた記憶しかない」「お賽銭を入れて拝み、
向かいの江ノ島を眺めよう。絶景だ」

 「義経は、ここまで来て腰越状を書いたたのだろうか?」「お前の珍説を聞こう」「兄・
頼朝の怒りにふれて、小田原の酒匂(さかわ)宿に足止めされた」「そうなの?」「吾妻鏡
に」「またかあ、まあ、聞きましょう」「左右なく鎌倉に参ずべからず、しばらくその辺り
に逗留(とうりゅう)しておれ、と命じられた」「なるほど」

「この間、義経は酒匂辺りに逗留して、頼朝に面会を許されず、京に戻ったとある」「身
軽な義経のことだから、ここ、満福寺まで来て腰越状を書き哀訴したのだよ」「頼朝があ
れほど禁じた朝廷からの任官を、義経はかってに受けた。頼朝はすっごく怒っていた」「そ
れは知っている」「京都から小田原まで急ぎ帰って来たが、そこで待てといわれた」「そう
か、さらに頼朝を怒らせる行動はしないなあ」

「腰越状は弁慶や義経に書けるような文章ではない」「そうなの?」「漢学者が後の世に書
きいれたのだよ。難しい漢字がいっぱい出てくる」「そうか、そうか。もっと、聞かせて
くれ」「えっ?いつものお前と違うなあ」「のどが乾いただろう、駅前に帰って、これ、や
るか」「そういうことか。でも、これでは歩き足りない」「そうだなあ」「小動(こゆるぎ)
神社に参って、海を見ながら歩いて鎌倉駅まで帰ろう」「それは…」「うまいビール、飲み
たいのだろう?」「歩く、あるく」