歩く

歴史探索を楽しむ

鶴岡八幡宮の大銀杏

2010-05-27 06:59:26 | Weblog
鎌倉を歩く 7
          鶴岡八幡宮の大銀杏

                      (写真はクリックして見てください)

「よほど運動不足だね、歩こうと電話してきた」「テレビを見て、飲んで寝るの毎日だからなあ」「鶴岡八幡宮の大銀杏が倒れたのを知っているだろう」「テレビで見て驚いた」「銀杏がどうなったか見て、そのあと歩こう」「そうしよう」「公暁伝説の隠(かくれ)銀杏が倒れた年に遭遇した」「長生きすると、こういうこともあるんだ」

歩く:鎌倉駅 鶴岡八幡

「この際、銀杏を調べてみた。読むよ。銀杏は氷河時代生き残りの一科一属一種という貴重な植物。化石植物などとも呼ばれる。中国原産。いつごろ渡来したか不明」「銀杏の寿命は?」「最古は對馬の大銀杏で推定1500年、幹周り12.5m。十和田湖町の銀杏は推定1100年、幹周り14m、藤沢市遊行寺の銀杏は推定600年」「隠銀杏は?」「推定800年以上とある」「もっと立っていてほしかった」「ほんと、惜しまれる」

「変ったなあ、寂しい景色になった」「近寄ってみよう。根から新芽が出ている」「幹が横に移されている。芽が出るのかな?」「枝を挿し木すると根が生えるといわれる」「そうらしいね」「数百万年も厳しい地球気候の変動をくぐり抜けてきたから、たくましい生命力をもっているはず」「隠銀杏は復活するさ」「そう願って、お祈りしよう」「そうだね、後で海まで歩こう」

「どうして、ここに大きな源平池があるんだろう」「滑(なめり)川の水を引いた田圃があったといわれる」「湿地帯だったの?」「鶴岡八幡の名は鶴がここに飛来したことに由来するのだろうから、街全体が湿地だった」「そう?」「感じでいえば、街が隆起した」「えっ?隆起?」「太平洋プレートが列島下に潜りこんでいる」「そうか」「2メートルほど街を圧し下げれば、海がせまって湿地になる」「2メートル?」「鎌倉時代から8百年たつ。1年に2ミリ強の隆起、という想定だ」「なるほど。おまえの珍説はおもしろい」

「それにしても、広い境内だ」「八幡宮寺といって、設立当初から神仏混合だった」「そうなの」「この案内書に、仁王門、護摩堂、鐘楼、薬師堂、経堂、多宝塔などがあったが、明治3年に神仏分離令で、わずか十数日のうちにすべて破却された、とある」「国宝級の建物や仏像、史書もあっただろうね」「みんな燃やしたとか」「明治維新は革命だった」「陸軍が演習して、明治天皇が後ろの大臣山の上から観戦された、ともある」「たしかに広い。国宝館、美術館と巡るとけっこう歩くなあ」

「段葛は湿地帯だから、参詣しやすいように両側に石を積み、土を運んで道を高くした」「なるほど」「二の鳥居のここに鎌倉町青年会の石碑がある」「気がつかなかった」「吾妻鏡寿永元年(1182)3月に、頼朝の夫人・政子の平産を祈願して、北条時政をはじめ諸将が土石を運んだとある」「なるほど、そのときの段葛か」「案内書に、今眼前にある段葛が鎌倉時代に造られたという説は否定的である、公共下水道工事で掘ったら古い道路が発見された、後日の調査が待たれる、とある」「そうか」

「鎌倉には海がある、いいなあ」「久しぶりに歩いたら足が痛い」「段葛は海岸まで4百メートルも造られた」「たいへんな工事だ。どのくらい日数がかかったのだろう」「そのことは書いてない」「由比ガ浜まで歩いて来ただけでもくたびれた」「ほんと」「のどが渇いた、駅まで歩いて帰り飲みに行こう。いや、待て、その段葛の葛・かずらが気になる」「案内書に、葛石、かずらいしとあり、置石や縁石のことで後世になって段葛と称するようになった、とある」「わかった。あとは飲みながらにしてくれ」