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歴史探索を楽しむ

鎌倉を歩く16.銭洗い弁財天と佐助稲荷

2012-07-06 07:04:22 | Weblog
鎌倉を歩く 16
         銭洗弁財天と佐助稲荷


                       (写真はクリックして見てください)

 「今日は銭洗い弁天へ行こう」「弁財天だろう?」「どちらでもいい。さあ、行こう」
「いやに、元気がいいなあ」「銭の話となると、元気がでる」

歩く:鎌倉駅西口 鎌倉市役所前 トンネルを抜ける 次ぎの道を右(北)へ 約30分

 「案外、早く着いた。思ったより近いなあ」「そう、軽い気持で、るんるんだ。あそ
こだ、銭洗い場は」「本殿を拝んでからにしよう」「そうか」「地下水が豊富なんだね。
水音が聞こえる」「さあ、神様を拝んだ。洗い場に行こう」「そうだね」

「水が冷たくて気持いい」「この十円玉が五百円玉になりますように」「50倍か、それ
でどうするの?」「生ビールの中盃が五百円だ」「そういうことか」「そうなったら、お
前にもおごってやるよ」「あちらで待ってる。心ゆくまで洗いなさい。信じて洗えば、
ご利益(りやく)があるかも」「そうだね」

「お待ちどうさん」「なるほど、そういうことか」「え?どういうこと?」「子どものこ
ろ、疎開先で、よく水汲みさせられた」「え~と、60年以上前の大戦中のことだね」「そ
う。洗濯や風呂は小川の水、飲み水は山の麓の湧き水を汲みに行かされた」「そういう
こともあったなあ」「木樽に入れて蓋をしておくと、夏でも冷たい水が飲めた」「親父
どのが汗を流して帰ってきて、うまいと飲んだ」「氷がなくても、冷たく感じた」「そ
う。ほめられると、また、翌日、湧き水を汲みにいった」「そうか、鎌倉時代、この水
を木樽に入れて、水売りしていたのか」「きっと、そういうことだよ」

「案内書に、源頼朝の夢に宇賀福神が現れ、この水を汲んで神仏に供えると世の中は
平穏で人々は富み栄えると告げた、とある。北条時頼は、貨幣をこの水で洗い清めれ
ば福銭となって、使っても無くならないといったという」「水売りが銭洗いとなったん
だね」「そういうことらしい」

「歩き足りないから、近くの佐助稲荷神社を参詣して帰ろう」「いいだろう」「案内書
に、蛭カ小島に流されていた頼朝に、夜、翁が現れ、鎌倉に鎮座する稲荷の神だと告
げ、兵を起こして平氏を討滅するようにはげました、とある」「なぜ、佐助なの?」「頼
朝は佐介殿と呼ばれていた」「なるほど。それにしても、人影はほとんど無く、静かだ
なあ」「そうだね。これでは、お賽銭の入りが少ない」「さっき洗った十円玉でお賽銭」
「たった十円?」「一夜あければ、五百円玉だ。もう、十円入れるよ」

「駅前に帰った」「歩いた。さあ、ビールだ」「今日は、お前のおごりだ」「どうして」
「十円玉が明日には五百円玉になってる」「そうか」「そう。信じる者は報われる」「さ
っき、おかしなことをいったなあ」「何か言った?」「洗った貨幣は使っても無くなら
ない」「案内書にそう書いてあった」「洗った十円が使っても無くならないということ
になる」「そういうことになるなあ」「おごるのはや~めた」「どうして?」「十円玉ば
かりで支払うわけにはいかない」「1万円札は洗わなかったの?」「鎌倉時代に紙幣は
なかった」「そうだなあ」「ワリカンで飲もう」「な~んだ」