2010-1101-man0000
万葉短歌0000 開肇献詠
訪ぬれば いづれか見ゆる ことなれば
さまよひ入らむ よろづ葉の森 悠山人
0000 万葉短歌0000 ShuA000 2010-1101-man0000
□たづぬれば いづれかみゆる ことなれば
さまよひいらむ よろづはのもり
○悠山人(ゆうさんじん)。
=万葉短歌 開肇献詠=
【2010年11月01日開設から】3,***日(2019年05月31日)。
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2019-0530-man3188
万葉短歌3188 朝霞3000
朝霞 たなびく山を 越えて去なば
我れは恋ひむな 逢はむ日までに ○
3000 万葉短歌3188 ShuF769 2019-0530-man3188
□あさがすみ たなびくやまを こえていなば
あれはこひむな あはむひまでに
○=出典未詳。
【編者注】悲別歌(3180-3210、31首)の第9首。女。
【訓注】たなびく山(たなびくやま=蒙山)。我れは(あれは=吾波)。
2019-0529-man3187
万葉短歌3187 たたなづく2999
たたなづく 青垣山の へなりなば
しばしば君を 言とはじかも ○
2999 万葉短歌3187 ShuF769 2019-0529-man3187
□たたなづく あをかきやまの へなりなば
しばしばきみを こととはじかも
○=出典未詳。
【編者注】悲別歌(3180-3210、31首)の第8首。女。
【訓注】たたなづく(立名付)[下記注]。へなりなば(隔者)[17-4006(長歌)伊波祢布美 古要敝奈利奈婆(いはねふみ こえへなりなば)]。しばしば(数)。言とはじ(こととはじ=言不問)。
【編者注-たたなづく】02-0194(長歌)多田名付 柔膚尚乎(たたなづく にきはだすらを)、06-0923(長歌)立名付 青垣隠(たななづく あをかきこもり)。
2019-0528-man3186
万葉短歌3186 曇り夜の2998
曇り夜の たどきも知らぬ 山越えて
います君をば いつとか待たむ ○
2998 万葉短歌3186 ShuF769 2019-0528-man3186
□くもりよの たどきもしらぬ やまこえて
いますきみをば いつとかまたむ
○=出典未詳。
【編者注】悲別歌(3180-3210、31首)の第7首。女。
【訓注】曇り夜(くもりよ=陰夜)。たどき(田時)[「ここは見当、様子」。05-0904(長歌)世武須便乃 多杼伎乎之良尓(せむすべの たどきをしらに)、09-1792(長歌)思遣 田時乎白土(おもひやる たどきをしらに)、10-292(長歌)立座 多土伎乎不知(たちてゐて たどきをしらに)、ほか]。
2019-0527-man3185
万葉短歌3185 まそ鏡2997
まそ鏡 手に取り持ちて 見れど飽かぬ
君に後れて 生けりともなし ○
2997 万葉短歌3185 ShuF768 2019-0527-man3185
□まそかがみ てにとりもちて みれどあかぬ
きみにおくれて いけりともなし
○=出典未詳。
【編者注】悲別歌(3180-3210、31首)の第6首。女。
【訓注】まそ鏡(まそかがみ=白銅鏡)。生けりともなし(いけりともなし=生跡文無)。
2019-0526-man3184
万葉短歌3184 草枕2996
草枕 旅行く君を 人目多み
袖振らずして あまた悔しも ○
2996 万葉短歌3184 ShuF765 2019-0526-man3184
□くさまくら たびゆくきみを ひとめおほみ
そでふらずして あまたくやしも
○=出典未詳。
【編者注】悲別歌(3180-3210、31首)の第5首。女。
【訓注】旅行く君(たびゆくきみ=客去君)。あまた(安万田)。
2019-0525-man3183
万葉短歌3183 都辺に2995
都辺に 君は去にしを 誰が解けか
我が紐の緒の 結ふ手たゆきも ○
2995 万葉短歌3183 ShuF765 2019-0525-man3183
□みやこへに きみはいにしを たがとけか
わがひものをの ゆふてたゆきも
○=出典未詳。
【編者注】悲別歌(3180-3210、31首)の第4首。女。
【訓注】都(みやこ=京師)。誰が解けか(たがとけか=孰解可)[下記注]。我が紐の緒(わがひものを=言紐緒)[12-2973、-3115など参照]。たゆき(懈)[この訓はここだけ。11-2409我裏紐 結手徒(わがしたびもの ゆふてたゆきか)]
【依拠本注-誰が解けか】「誰が解けばか」の意で・・・「か」は疑問の係助詞で、結句の「たゆき」(連体形)で結んでいる。
【類想歌(読下し)】11-2409 君に恋ひ うらぶれ居れば 悔しくも 我が下紐(したびも)の 結ふ手いたづらに 作者未詳
2019-0524-man3182
万葉短歌3182 白栲の2994
白栲の 袖の別れは 惜しけども
思ひ乱れて 許しつるかも ○
2994 万葉短歌3182 ShuF765 2019-0524-man3182
□しろたへの そでのわかれは をしけども
おもひみだれて ゆるしつるかも
○=出典未詳。
【編者注】悲別歌(3180-3210、31首)の第3首。女。
【訓注】白栲(しろたへ=白妙)。袖の別れ(そでのわかれ=袖之別)[下記注]。惜しけども(をしけども=雖惜)[語法保留]。
【依拠本注-白栲の袖の別れ】男女の別れを簡潔に具象化した、注目すべき表現。当時の男女は、共寝にあたって互いの着物を重ね合わせて床に敷いたらしい。
2019-0523-man3181
万葉短歌3181 白栲の2993
白栲の 君が下紐 我れさへに
今日結びてな 逢はむ日のため ○
2993 万葉短歌3181 ShuF765 2019-0523-man3181
□しろたへの きみがしたびも われさへに
けふむすびてな あはむひのため
○=出典未詳。
【編者注】悲別歌(3180-3210、31首)の第2首。女。
【訓注】白栲(しろたへ=白細)。我れさへに(われさへに=吾左倍尓)[「私も添えものとしての意で、相手一人ではなくて自分も手を添えて結ぶことをいう。」 下記注]。結びてな(むすびてな=結而名)[「<な>は意志・勧誘を表わす終助詞。」]
【編者注-さへ】副助詞。基本は「添加」の意。平安末期以後は類推・最小限の意になった。「現代語訳との対応関係がまぎらわしいので、くれぐれも注意」。『詳説古語辞典』から抜粋。
*** 万葉集 巻12 悲別歌の部(3180-3210、31首) 始 ***
2019-0522-man3180
万葉短歌3180 うらもなく2992
うらもなく 去にし君ゆゑ 朝な朝な
もとなぞ恋ふる 逢ふとはなけど ○
2992 万葉短歌3180 ShuF763 2019-0522-man3180
□うらもなく いにしきみゆゑ あさなさな
もとなぞこふる あふとはなけど
○=出典未詳。
【編者注】悲別歌(3180-3210、31首)の第1首。女。
【訓注】うらもなく(浦毛無)[「ここは、あとに残る自分を思うそぶりを見せなかったこと・・・」。下記注]。朝な朝な(あさなさな=朝旦)。もとなぞ恋ふる(もとなぞこふる=本名焉恋)。
【編者注-うらなし】うら無し。「うら」は心の意。(2)(自分について)思うこともない。無心である。(以上は『詳説古語辞典』抜粋) 12-2968裏毛無(うらもなく)、13-3336(長歌)浦裳無(うらもなく)、14-3443宇良毛奈久(うらもなく)。
2019-0521-man3179
万葉短歌3179 留まりにし2991
留まりにし 人を思ふに 秋津野に
居る白雲の やむ時もなし ○
2991 万葉短歌3179 ShuF760 2019-0521-man3179
□とまりにし ひとをおもふに あきづのに
ゐるしらくもの やむときもなし
○=出典未詳。
【編者注】羈旅発思(3127-3179、53首)の第53首。男。
【訓注】秋津野に(あきづのに=蜒野)[吉野とも紀伊田辺とも考えられるが、この歌では前者か(依拠本注要旨)。01-0036(長歌)秋津乃野(あきづのの)、04-0693秋津野、06-0911秋津乃川(あきづののかは)、など]。
*** 万葉集 巻12 羈旅発思の部(3127-3179、53首) 終 ***
2019-0520-man3178
万葉短歌3178 国遠み2990
国遠み 思ひなわびそ 風の共
雲の行くごと 言は通はむ ○
2990 万葉短歌3178 ShuF760 2019-0520-man3178
□くにとほみ おもひなわびそ かぜのむた
くものゆくごと ことはかよはむ
○=出典未詳。
【編者注】羈旅発思(3127-3179、53首)の第52首。女。
【訓注】思ひなわびそ(おもひなわびそ=念勿和備曽)。風の共(かぜのむた=風之共)[02-0131(長歌)浪之共(なみのむた)、-0138(長歌)浪之共、-0199風之共、など]。
2019-0519-man3177
万葉短歌3177 志賀の海人の2989
志賀の海人の 磯に刈り干す なのりその
名は告りてしを 何か逢ひかたき ○
2989 万葉短歌3177 ShuF758 2019-0519-man3177
□しかのあまの いそにかりほす なのりその
なはのりてしを なにかあひかたき
○=出典未詳。
【編者注】羈旅発思(3127-3179、53首)の第51首。女。
【訓注】志賀の海人(しかのあまの=然海部)[12-3170参照]。磯(いそ=礒)。なのりそ(名告藻)[下記注]。
【編者注-なのりそ】03-0362名乗藻、-0363名乗藻、04-0509(長歌)莫告、06-0946(長歌)名告藻、莫告藻、07-1167莫告藻、など。
2019-0518-man3176
万葉短歌3176 草枕2988
草枕 旅にし居れば 刈薦の
乱れて妹に 恋ひぬ日はなし ○
2988 万葉短歌3176 ShuF758 2019-0518-man3176
□くさまくら たびにしをれば かりこもの
みだれていもに こひぬひはなし
○=出典未詳。
【編者注】羈旅発思(3127-3179、53首)の第50首。男。
【訓注】旅(たび=羈)。乱れて(みだれて=擾)。恋ひぬ日はなし(こひぬひはなし=不恋日者無)。
【参考歌】草枕旅にしあればかりごもの 思ひ乱れて寐(い)こそ寝られめ 源実朝(依拠本所引)
2019-0517-man3175
万葉短歌3175 若の浦に2987
若の浦に 袖さへ濡れて 忘れ貝
拾へど妹は 忘らえなくに ○
2987 万葉短歌3175 ShuF757 2019-0517-man3175
□わかのうらに そでさへぬれて わすれがひ
ひりへどいもは わすらえなくに
○=出典未詳。
【編者注】羈旅発思(3127-3179、53首)の第49首。男。左注(読下し)に、「或本の歌の末句には<忘れかねつも>といふ」。
【訓注】若の浦(わかのうら=若乃浦)[和歌山県和歌山市の和歌浦(わかのうら。地域住民は多く「わかうら」)。06-0919若浦尓 塩満来者(わかのうらに しほみちくれば)、07-1219若浦尓 白浪立而(~ しらなみたちて)]。忘れ貝(わすれがひ=忘貝)[11-2795注参照]。拾へど(ひりへど=拾杼)[06-1062玉拾 浜辺乎近見(たまひりふ はまへをちかみ)、07-1145為妹 貝乎拾等(いもがため かひをひりふと)、など]。