万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

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2021年08月31日 | 万葉短歌

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万葉短歌0000 開肇献詠

訪ぬれば いづれか見ゆる ことなれば
さまよひ入らむ よろづ葉の森  悠山人
 
0000     万葉短歌0000 ShuA000 2010-1101-man0000
 
□たづぬれば いづれかみゆる ことなれば
  さまよひいらむ よろづはのもり
○悠山人(ゆうさんじん)。
 
    =万葉短歌 開肇献詠=

【2021年09月01日】2010年11月01開設から 38**日
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万葉短歌4080 常人の3790

2021年08月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌4080 常人の3790

常人の 恋ふといふよりは あまりにて
我れは死ぬべく なりにたらずや  大伴坂上郎女

3790     万葉短歌4080 ShuI457 2021-0830-man4080

□つねひとの こふといふよりは あまりにて
  われはしぬべく なりにたらずや
○大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=04-0563歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第49首。題詞に、「姑(をば)大伴氏坂上郎女来贈(おこする)越中守大伴宿祢家持歌二首」。
【訓注】常人(つねひと=都祢比等)[「通常の人。平均的な一般人」。集中3か所に]。恋ふ(こふ=故布)。あまりにて(安麻里尓弖)[「<に>は完了の助動詞<ぬ>の連用形」]。死ぬ(しぬ=之奴)。なりにたらずや(奈里尓多良受也)[「ナリニテアラズヤ」の約]。


万葉短歌4079 三島野に3789

2021年08月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌4079 三島野に3789

三島野に 霞たなびき しかすがに
昨日も今日も 雪は降りつつ  大伴家持

3789     万葉短歌4079 ShuI451 2021-0829-man4079

□みしまのに かすみたなびき しかすがに
  きのふもけふも ゆきはふりつつ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第48首。小題に、「一 更矚目(しょくもく)」。左注に、「三月十六日」。
【訓注】三島野[「越中国府の東南、高岡市から射水郡にかけての野」]。
【原文】18-4079  美之麻野尓 可須美多奈妣伎 之可須我尓 伎乃敷毛家布毛 由伎波敷里都追  大伴家持


万葉短歌4078 恋ふといふは3788

2021年08月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌4078 恋ふといふは3788

恋ふといふは えも名付けたり 言ふすべの
たづきもなきは 我が身なりけり  大伴家持

3788     万葉短歌4078 ShuI451 2021-0828-man4078

□こふといふは えもなづけたり いふすべの
  たづきもなきは あがみなりけり
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第47首。小題に、「一 答所心即以古人之跡(こじんの あとを)代今日之意(けふのいに かふる)」。
【訓注】えも[<副詞「え」+係助詞「も」。(2)よくも・・・ことよ>。用例にこの一首(『詳説古語辞典』参照)]。

【原文】18-4078  故敷等伊布波 衣毛名豆気多理 伊布須敝能 多豆伎母奈吉波 安賀未奈里家利  大伴家持


万葉短歌4077 我が背子が3787

2021年08月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌4077 我が背子が3787

我が背子が 古き垣内の 桜花
いまだふふめり 一目見に来ね  大伴家持

3787     万葉短歌4077 ShuI451 2021-0827-man4077

□わがせこが ふるきかきつの さくらばな
  いまだふふめり ひとめみにこね
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第45首。小題に、「一 答属目発思兼詠云遷任(せんにんしたる)旧宅(もとついへの)西北(いぬゐの)隅桜樹(あうじゅを)」。
【訓注】我が背子(わがせこ=和我勢故)。垣内(かきつ=伎可吉)[「カキウチの転。垣で囲まれた土地の内側」]。桜花(さくらばな=佐久良婆奈)。


万葉短歌4076 あしひきの3786

2021年08月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌4076 あしひきの3786

あしひきの 山はなくもが 月見れば
同じき里を 心隔てつ  大伴家持

3786     万葉短歌4076 ShuI451 2021-0826-man4076

□あしひきの やまはなくもが つきみれば
  おなじきさとを こころへだてつ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第45首。題詞に、「越中(こしのみちの なかの)国守大伴家持報(こたへ)贈歌四首」。続けて小題に、「一 答古人云」。
【訓注】あしひきの(安之比奇能)。山はなくもが(やまはなくもが=夜麻波奈久毛我)[「山なんかなければよいのに」]。月見れば(つきみれば=都奇見礼婆)。


万葉短歌4075 相思はず3785

2021年08月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌4075 相思はず3785

相思はず あるらむ君を あやしくも
嘆きわたるか 人の問ふまで  大伴池主

3785     万葉短歌4075 ShuI443 2021-0825-man4075

□あひおもはず あるらむきみを あやしくも
  なげきわたるか ひとのとふまで
○大伴池主(おほともの いけぬし)=08-1590歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第44首。小題に、「一 所心歌(しょしんか)」。
【訓注】あやしくも(安夜思苦毛)[「奇妙なことに。・・・万葉集に多い語法」。07-1314恠(あやしくも)、など4か所]。人の問ふまで(ひとのとふまで=比登能等布麻泥)。


万葉短歌4074 桜花3784

2021年08月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌4074 桜花3784

桜花 今ぞ盛りと 人は言へど
我れはさぶしも 君としあらねば  大伴池主

3784     万葉短歌4074 ShuI443 2021-0824-man4074

□さくらばな いまぞさかりと ひとはいへど
  われはさぶしも きみとしあらねば
○大伴池主(おほともの いけぬし)=08-1590歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第43首。小題に、「一 属物発思(しょくぶつはっし)」。
【訓注】君とし[「ほかならぬ君と」。他2か所に出現]。属物発思[「見聞きする物に触れて思いを起こす歌」。07-1267(題詞)就所発思、-1270(題詞)寄物発思、など<発思>は集中に7か所]。
【原文】18-4074  桜花 今曽盛等 雖人云 我佐不之毛 支美止之不在者  大伴池主


万葉短歌4073 月見れば3783

2021年08月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌4073 月見れば3783

月見れば 同じ国なり 山こそば
君があたりを 隔てたりけり  大伴池主

3783     万葉短歌4073 ShuI443 2021-0823-man4073

□つきみれば おなじくになり やまこそば
  きみがあたりを へだてたりけり
○大伴池主(おほともの いけぬし)=08-1590歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第42首。題詞に、「越前(こしのみちのくちの)国掾(じょう)大伴宿祢池主来贈(おこする)歌三首」。続けて前文(要旨)に、今月(天平21年(749))14日、(隣国越中国の近くの)深見村に来て、あなた(家持)のことがしきりに思われて、と。さらに小題に、「一 古人云」。
【訓注】月見れば(つきみれば=都奇見礼婆)。同じ国なり(おなじくになり=於奈自久尓奈里)。君(きみ=伎美)。


万葉短歌4072 ぬばたまの3782

2021年08月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌4072 ぬばたまの3782

ぬばたまの 夜渡る月を 幾夜経と
数みつつ妹は 我れ待つらむぞ  大伴家持

3782     万葉短歌4072 ShuI436 2021-0822-man4072

□ぬばたまの よわたるつきを いくよふと
  よみつついもは われまつらむぞ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第41首。原文に署名はない。左注(読下し)に、「右は、この夕(ゆふへ)、月光おもぶるに流れ、和風やくやくに扇(あふ)ぐ。すなはち属目(しょくもく)によりて、いささかにこの歌を作る。」
【原文】18-4072  奴婆多麻能 欲和多流都奇乎 伊久欲布等 余美都追伊毛波 和礼麻都良牟曽  大伴家持


万葉短歌4071 しなざかる3781

2021年08月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌4071 しなざかる3781

しなざかる 越の君らと かくしこそ
柳かづらき 楽しく遊ばめ  大伴家持

3781     万葉短歌4071 ShuI436 2021-0821-man4071

□しなざかる こしのきみらと かくしこそ
  やなぎかづらき たのしくあそばめ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第40首。左注(要旨)に、郡司以下大勢が集まったので、と。
【訓注】しなざかる(之奈射可流)[「級放(シナザカ)ルで、階段状に山や野が重畳(ちょうじょう)して遠い意・・・」。17-3969(長歌)之奈射加流 故之乎袁佐米尓(しなざかる こしををさめに)、など、集中5か所のすべてが<こし>(越)に掛かる]。かくしこそ(可久之許曽)[「このように」]。柳かづらき(やなぎかづらき=楊奈疑可豆良枳)[「<かづらく>は縵〔(かづら)〕から派生した動詞」]。


万葉短歌4070 一本の3780

2021年08月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌4070 一本の3780

一本の なでしこ植ゑし その心
誰れに見せむと 思ひそめけむ  大伴家持

3780     万葉短歌4070 ShuI436 2021-0820-man4070

□ひともとの なでしこうゑし そのこころ
  たれにみせむと おもひそめけむ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第39首。題詞に、「詠庭中牛麦花(なでしこが はな)歌一首」。下記注。左注(要旨)に、前任国師の従僧(じゅうそう)清見への送酒に、と。
【原文】18-4070  比登母等能 奈泥之故宇恵之 曽能許己呂 多礼尓見世牟等 於母比曽米家牟  大伴家持
【編者注-牛麦】日本固有種、かわらなでしこ。用字<牛麦>はこの1例だけ、理由は不明(以上、依拠本要旨)。<なでしこ>訓は26首28か所。『百度(Baidu)』にはない。


万葉短歌4069 明日よりは3779

2021年08月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌4069 明日よりは3779

明日よりは 継ぎて聞こえむ ほととぎす
一夜のからに 恋ひわたるかも  能登乙美

3779     万葉短歌4069 ShuI429 2021-0819-man4069

□あすよりは つぎてきこえむ ほととぎす
  ひとよのからに こひわたるかも
○能登乙美(のとの おとみ)=「伝未詳。・・・能登一帯に住んでいた豪族らしい」。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第38首。左注に、「右一首羽咋郡擬主帳(ぎしゅちゃう)能登臣乙美作」。
【訓注】明日よりは(あすよりは=安須欲里波)。ほととぎす(保登等芸須)。一夜のからに(ひとよのからに=比登欲能可良尓)[「<からに>は、小さなことが原因で、大きなことが生じる場合にいう。<から>は<柄>で事由・原因」]。


万葉短歌4068 居り明かしも3778

2021年08月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌4068 居り明かしも3778

居り明かしも 今夜は飲まむ ほととぎす
明けむ朝は 鳴き渡らむぞ  大伴家持

3778     万葉短歌4068 ShuI429 2021-0818-man4068

□をりあかしも こよひはのまむ ほととぎす
  あけむあしたは なきわたらむぞ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第37首。左注に、「右一首守大伴宿祢家持作之」。
【訓注】今夜は飲まむ(こよひはのまむ=許余比波能麻牟)。ほととぎす(保等登芸須)。


万葉短歌4067 二上の3777

2021年08月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌4067 二上の3777

二上の 山に隠れる ほととぎす
今も鳴かぬか 君に聞かせむ  土師

3777     万葉短歌4067 ShuI429 2021-0817-man4067

□ふたがみの やまにこもれる ほととぎす
  いまもなかぬか きみにきかせむ
○土師(はにし)=18-4047歌注参照。
【編者注】巻18(4032~4138、百七首)の第36首。左注に、「右一首遊行女婦土師(うかれめ はにし)作之」。
【訓注】二上(ふたがみ=敷多我美)。ほととぎす(保等登芸須)。