万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌2808 眉根掻き2620

2018年04月30日 | 万葉短歌

***** 万葉集 巻11 問答の部(2808~2827、20首) 始 *****

万葉短歌2808 眉根掻き2620
2018-0430-man2808
万葉短歌2808 眉根掻き2620

眉根掻き 鼻ひ紐解け 待てりやも
いつかも見むと 恋ひ来し我れを  

2620     万葉短歌2808 ShuF422 2018-0430-man2808

まよねかき はなひひもとけ まてりやも
  いつかもみむと こひこしあれを
=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「問答」(2808~2827、20首)の第1首。男。左注(読下し)に、「右は、上に柿本朝臣人麻呂が歌の中に見ゆ。ただし、問答をもちてのゆゑに、ここに累(かさ)ね載(の)す。」
【訓注】問答(もんだふ)。眉根(まよね)。鼻ひ(はなひ=鼻火)[くしゃみ]。恋ひ来し我れを(こひこしあれを=恋来吾乎)。(左注)上に=11-2408、下記注。
【編者注-2017-0310-man2408】11-2408  眉根掻き 鼻ひ紐解け 待つらむか いつかも見むと 思へる我れを  柿本人麻呂歌集


万葉短歌2807 明けぬべく2619

2018年04月29日 | 万葉短歌

2018-0429-man2807
万葉短歌2807 明けぬべく2619

明けぬべく 千鳥しば鳴く 白栲の
君が手枕 いまだ飽かなくに  

2619     万葉短歌2807 ShuF419 2018-0429-man2807

あけぬべく ちどりしばなく しろたへの
  きみがたまくら いまだあかなくに
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第189首。女。
【原文】11-2807 可旭 千鳥数鳴 白細乃 君之手枕 未猒君  作者未詳

***** 万葉集 巻11 寄物陳思の部(2619~2807、189首) 終 *****


万葉短歌2806 我妹子に2618

2018年04月28日 | 万葉短歌

2018-0428-man2806
万葉短歌2806 我妹子に2618

我妹子に 恋ふれにかあらむ 沖に棲む
鴨の浮寝の 安けくもなき  

2618     万葉短歌2806 ShuF419 2018-0428-man2806

わぎもこに こふれにかあらむ おきにすむ
  かものうきねの やすけくもなき
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第188首。男。
【訓注】恋ふれにかあらむ(こふれにかあらむ=恋尓可有牟)[「<恋ふればにかあらむ>」]。沖に棲む(おきにすむ=奥尓住)。浮寝(うきね=浮宿)。


万葉短歌2805 伊勢の海ゆ2617

2018年04月27日 | 万葉短歌

2018-0427-man2805
万葉短歌2805 伊勢の海ゆ2617

伊勢の海ゆ 鳴き来る鶴の 音どろも
君が聞こさば 我れ恋ひめやも  

2617     万葉短歌2805 ShuF418 2018-0427-man2805

いせのうみゆ なきくるたづの おとどろも
  きみがきこさば あれこひめやも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第187首。女。
【訓注】伊勢の海(いせのうみ=伊勢能海)[伊勢湾]。鶴(たづ)。音どろ(おとどろ=音杼侶)[「未詳。音の響きで、音沙汰の意か。」] 我れ恋ひめやも(あれこひめやも=吾将恋八方)。


万葉短歌2804 高山に2616

2018年04月26日 | 万葉短歌

2018-0426-man2804
万葉短歌2804 高山に2616

高山に たかべさ渡り 高々に
我が待つ君を 待ち出でむかも  

2616     万葉短歌2804 ShuF418 2018-0426-man2804

たかやまに たかべさわたり たかたかに
  あがまつきみを まちいでむかも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第186首。女。
【訓注】たかべ(高部)[「鴨の類の中で最小の鳥。小鴨。」] 高々に(たかたかに=高々尓)。我が待つ君(あがまつきみ=余待公)。


万葉短歌2803 里中に2615

2018年04月25日 | 万葉短歌

2018-0425-man2803
万葉短歌2803 里中に2615

里中に 鳴くなる鶏の 呼び立てて
いたくは鳴かぬ 隠り妻はも  

2615     万葉短歌2803 ShuF418 2018-0425-man2803

さとなかに なくなるかけの よびたてて
  いたくはなかぬ こもりづまはも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第185首。男。 左注に、「一云 里動 鳴成鶏」(さととよめ[動=響] なくなるかけの)」。
【訓注】鶏(かけ)。いたくは(甚者)。隠り妻(こもりづま=隠妻)。


万葉短歌2802 思へども2614

2018年04月24日 | 万葉短歌

2018-0424-man2802
万葉短歌2802 思へども2614

思へども 思ひもかねつ あしひきの
山鳥の尾の 長きこの夜を  

2614     万葉短歌2802 ShuF414 2018-0424-man2802

おもへども おもひもかねつ あしひきの
  やまどりのをの ながきこのよを
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第184首。男? 左注に、「或本歌曰 足日木乃 山鳥之尾乃 四垂尾乃 永長夜乎 一鴨将宿」(あしひきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ)[下記注]。
【訓注】思へども(おもへども=念友)。あしひきの(足桧之)。山鳥(やまどり)[「雉に似てそれより大きい黄黒色の鳥。雄は尾羽の中の二枚が非常に長い。」] 
【編者注-百人一首歌】この或本歌は、『拾遺和歌集 恋三』(13-778)に柿本人麻呂作として採られ、さらに『小倉百人一首』第3歌に入る。


万葉短歌2801 大海の2613

2018年04月23日 | 万葉短歌

2018-0423-man2801
万葉短歌2801 大海の2613

大海の 荒磯の州鳥 朝な朝な
見まく欲しきを 見えぬ君かも  

2613     万葉短歌2801 ShuF414 2018-0423-man2801

おほうみの ありそのすどり あさなさな
  みまくほしきを みえぬきみかも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第183首。女。
【訓注】荒磯の州鳥(ありそのすどり=荒礒之渚鳥)[洲鳥。下記注]。朝な朝な(あさなさな=朝名旦名)。
【依拠本注-荒磯の州鳥】海浜に多いシギ科やチドリ科の渉禽(しょうきん)をいうかとされている。


万葉短歌2800 暁と2612

2018年04月22日 | 万葉短歌

2018-0422-man2800
万葉短歌2800 暁と2612

暁と 鶏は鳴くなり よしゑやし
ひとり寝る夜は 明けば明けぬとも  

2612     万葉短歌2800 ShuF414 2018-0422-man2800

あかときと かけはなくなり よしゑやし
  ひとりぬるよは あけばあけぬとも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第182首。女。
【訓注】暁(あかとき=旭時)。鶏(かけ)。よしゑやし(縦恵也思)。ひとり寝る夜(ひとりぬるよ=独宿夜)。


万葉短歌2799 人言を2611

2018年04月21日 | 万葉短歌

2018-0421-man2799
万葉短歌2799 人言を2611

人言を 繁みと君を 鶉鳴く
人の古家に 語らひて遣りつ  

2611     万葉短歌2799 ShuF414 2018-0421-man2799

ひとごとを しげみときみを うづらなく
  ひとのふるへに かたらひてやりつ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第181首。女。
【訓注】人言(ひとごと=人事)。古家(ふるへ)。語らひて(かたらひて=相語而)。


万葉短歌2798 伊勢の海女の2610

2018年04月20日 | 万葉短歌

2018-0420-man2798
万葉短歌2798 伊勢の海女の2610

伊勢の海女の 朝な夕なに 潜くといふ
鰒の貝の 片思にして  

2610     万葉短歌2798 ShuF412 2018-0420-man2798

いせのあまの あさなゆふなに かづくといふ
  あはびのかひの かたもひにして
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第180首。男?女?
【訓注】海女(あま=白水郎)。朝な夕な(あさなゆふな=朝魚夕菜)。潜く(かづく=潜)。鰒の貝(あはびのかひ=鰒貝)。片思(かたもひ=独念)。


万葉短歌2797 住吉の2609

2018年04月19日 | 万葉短歌

2018-0419-man2797
万葉短歌2797 住吉の2609

住吉の 浜に寄るといふ うつせ貝
実なき言もち 我れ恋ひめやも  

2609     万葉短歌2797 ShuF412 2018-0419-man2797

すみのえの はまによるといふ うつせがひ
  みなきこともち あれこひめやも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第179首。男?女?
【訓注】住吉(すみのえ)[直近既出歌は 11-2765]。うつせ貝(うつせがひ=打背貝)。我れ恋ひめやも(あれこひめやも=余将恋八方)。


万葉短歌2796 水くくる2608

2018年04月18日 | 万葉短歌

2018-0418-man2796
万葉短歌2796 水くくる2608

水くくる 玉に交れる 磯貝の
片恋のみに 年は経につつ  

2608     万葉短歌2796 ShuF411 2018-0418-man2796

みづくくる たまにまじれる いそかひの
  かたこひのみに としはへにつつ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第178首。男?女?
【訓注】くくる(泳)。磯貝(いそかひ=礒貝)。片恋(かたこひ=独恋)。


万葉短歌2795 紀伊の国の2607

2018年04月17日 | 万葉短歌

2018-0417-man2795
万葉短歌2795 紀伊の国の2607

紀伊の国の 飽等の浜の 忘れ貝
我れは忘れじ 年は経ぬとも  

2607     万葉短歌2795 ShuF411 2018-0417-man2795

きのくにの あくらのはまの わすれがひ
  われはわすれじ としはへぬとも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第177首。男?女?
【訓注】紀伊の国の飽等の浜(きのくにのあくらのはま=木国之飽等浜)[和歌山県和歌山市加太の田倉浜?]。忘れ貝(わすれがひ=忘貝)[既出歌では01-0068、06-0964、07-1147、-1149、-1192。下記注]。
【依拠本注-忘れ貝など】「忘れ貝」(2795)は、二枚貝の片方だけになったもの。形態の類似から鰒貝をいうこともある。憂いを忘れるたもの具とされた。「磯貝」(2796)は、磯辺の岩に付着している貝のことで、鰒のような一枚貝をいう。/「うつせ貝」は中身の空ろな具、つまり貝殻である。


万葉短歌2794 隠りづの2606

2018年04月16日 | 万葉短歌

2018-0416-man2794
万葉短歌2794 隠りづの2606

隠りづの 沢たつみにある 岩根ゆも
通してぞ思ふ 君に逢はまくは  

2606     万葉短歌2794 ShuF410 2018-0416-man2794

こもりづの さはたつみにある いはねゆも
  とほしてぞおもふ きみにあはまくは
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2619~2807、189首)の第176首。女。
【訓注】隠りづ(こもりづ=隠津)。沢たつみ(さはたつみ=沢立見)[「<たつみ>は<立水>と思われる」]。