万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌3018 高湍にある2830

2018年11月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌3018 高湍にある2830

高湍にある 能登瀬の川の 後も逢はむ
妹には我れは 今にあらずとも  

2830     万葉短歌3018 ShuF612 2018-1130-man3018

たかせにある のとせのかはの のちもあはむ
 いもにはわれは いまにあらずとも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第55首。男。
【訓注】高湍(たかせ)[所在未詳の地名?]。能登瀬の川(のとせのかは=能登瀬乃川)[所在未詳。03-0314礒越道有 能登湍河(いそこしぢなる のとせがは)]。我れは(われは=吾者)。


万葉短歌3017 あしひきの2829

2018年11月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌3017 あしひきの2829

あしひきの 山川水の 音に出でず
人の子ゆゑに 恋ひわたるかも  

2829     万葉短歌3017 ShuF612 2018-1129-man3017

あしひきの やまがはみづの おとにいでず
 ひとのこゆゑに こひわたるかも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第54首。男?
【訓注】あしひきの(足桧木之)。山川水(やまがはみづ)。人の子ゆゑに(ひとのこゆゑに=人之子姤)。恋ひわたるかも(こひわたるかも=恋渡青頭鷄)。


万葉短歌3016 山川の2828

2018年11月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌3016 山川の2828

山川の 滝にまされる 恋すとぞ
人知りにける 間なくし思へば  

2828     万葉短歌3016 ShuF612 2018-1128-man3016

やまがはの たきにまされる こひすとぞ
 ひとしりにける まなくしおもへば
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第53首。女?
【訓注】山川(やまがは)。恋す(こひす=恋為)。


万葉短歌3015 雷のごと2827

2018年11月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌3015 雷のごと2827

雷のごと 聞こゆる滝の 白波の
面知る君が 見えぬこのころ  

2827     万葉短歌3015 ShuF612 2018-1127-man3015

かみのごと きこゆるたきの しらなみの
 おもしるきみが みえぬこのころ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第52首。女。
【訓注】雷のごと(かみのごと=如神)[「雷」の「かみ」訓は、集中ここだけ]。このころ(此日)。


万葉短歌3014 三輪山の2826

2018年11月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌3014 三輪山の2826

三輪山の 山下響み 行く水の
水脈し絶えずは 後も我が妻  

2826     万葉短歌3014 ShuF612 2018-1126-man3014

みわやまの やましたとよみ ゆくみづの
 みをしたえずは のちもわがつま
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第51首。男。
【訓注】三輪山(みわやま=神山)[奈良県桜井市所在。麓に大神(おおみわ)神社。02-0157神山之(みわやまの)]。響み(とよみ=響)。水脈し(みをし=水尾)。我が妻(わがつま=吾妻)。


万葉短歌3013 我妹子や2825

2018年11月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌3013 我妹子や2825

我妹子や 我を忘らすな 石上
袖布留川の 絶えむと思へや  

2825     万葉短歌3013 ShuF612 2018-1125-man3013

わぎもこや あをわすらすな いそのかみ
 そでふるかはの たえむとおもへや
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第50首。男。
【訓注】我妹子(わぎもこ=我妹児)。我(あ=安)。石上(いそのかみ)[03-0422以下10か所に出現、すべて「ふる」を起こす。石上神宮は、奈良県天理市所在]。袖布留川(そでふるかは=袖振川)。


万葉短歌3012 との曇り2824

2018年11月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌3012 との曇り2824

との曇り 雨布留川の さざれ波
間なくも君は 思ほゆるかも  

2824     万葉短歌3012 ShuF612 2018-1124-man3012

とのぐもり あめふるかわの さざれなみ
 まなくもきみは おもほゆるかも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第49首。女。
【訓注】との曇り(とのぐもり=登能雲入)[<「との」はすっかり、の意の接頭語。「たな」とも。> 下記注]。布留川(ふるかは=零川)[奈良県天理市石上神宮辺所在。07-1111、12-2997、-3013、ほか]。
【編者注-とのぐもり】ここ以外の出現は、次のとおり。03-0370雨不零 殿雲流夜之(あめふらず とのぐもるよの)、13-3268(長)登能陰 雨者落来奴(とのぐもり あめはふりきぬ)、17-4011等乃具母利 安米能布流日乎(とのぐもり あめのふるひを)、18-4122(長)等能具毛利安比弖 安米母多麻波祢(とのぐもりあひて あめもたまはね)、-4123等能具毛理 安米毛布良奴可(とのぐもり あめもふらぬか)。


万葉短歌3011 我妹子に2823

2018年11月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌3011 我妹子に2823

我妹子に 衣春日の 宜寸川
よしもあらぬか 妹が目を見む  

2823     万葉短歌3011 ShuF612 2018-1123-man3011

わぎもこに ころもかすがの よしきがは
 よしもあらぬか いもがめをみむ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第48首。男。
【訓注】衣春日(ころもかすが=衣借香)。宜寸川(よしきがは)[「吉城川。奈良市の春日山北方から西流して佐保川に注ぐ小川」]。よしも(因毛)。


万葉短歌3010 佐保川の2822

2018年11月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌3010 佐保川の2822

佐保川の 川波立たず 静けくも
君にたぐひて 明日さへもがも  

2822     万葉短歌3010 ShuF612 2018-1122-man3010

さほがはの かはなみたたず しづけくも
 きみにたぐひて あすさへもがも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第47首。女。
【訓注】佐保川(さほがは)[平城京東郊の川。01-0079(長歌)に初出、以後用字を変えて多出]。君にたぐひて(きみにたぐひて=君二副而)[ほかに、04-0520於君副而、12-3149君尓副而]。


万葉短歌3009 橡の2821

2018年11月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌3009 橡の2821

橡の 衣解き洗ひ 真土山
本つ人には なほ及かずけり  

2821     万葉短歌3009 ShuF611 2018-1121-man3009

つるはみの きぬときあらひ まつちやま
 もとつひとには なほしかずけり
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第46首。男。
【訓注】橡(つるはみ)[2018-1007-man2965注]。真土山(まつちやま=又打山)[大和・紀伊国境、紀ノ川沿いに所在。下記注]。本つ人(もとつひと=古人)。
【依拠本注-まつちやま】(要旨)「マツチ=(解いて洗って)マタウチ(打ち直し)」「マツチ=(元の、古馴染の)モトツ(妻)」。


万葉短歌3008 あしひきの2820

2018年11月20日 | 万葉短歌

2018-1120-man3008
万葉短歌3008 あしひきの2820

あしひきの 山を木高み 夕月を
いつかと君を 待つが苦しさ  

2820     万葉短歌3008 ShuF606 2018-1120-man3008

あしひきの やまをこだかみ ゆふづきを
 いつかときみを まつがくるしさ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第45首。女。
【訓注】あしひきの(足引之)。夕月(暮月)。いつかと(何時)。


万葉短歌3007 ぬばたまの2819

2018年11月19日 | 万葉短歌

2018-1119-man3007
万葉短歌3007 ぬばたまの2819

ぬばたまの 夜渡る月の さやけくは
よく見てましを 君が姿を  

2819     万葉短歌3007 ShuF606 2018-1119-man3007

ぬばたまの よわたるつきの さやけくは
 よくみてましを きみがすがたを
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第44首。女。
【訓注】ぬばたまの(野干玉)。さやけくは(清者)。君が姿(きみがすがた=君之光儀)。
【類歌】むばたまの闇の現(うつつ)はさだかなる 夢にいくらもまさらざりけり  古今集巻十三(恋歌三)13-00647


万葉短歌3006 月夜よみ2818

2018年11月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌3006 月夜よみ2818

月夜よみ 門に出で立ち 足占して
行く時さへや 妹に逢はずあらむ  

2818     万葉短歌3006 ShuF606 2018-1118-man3006

つくよよみ かどにいでたち あしうらして
 ゆくときさへや いもにあはずあらむ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第43首。男。
【訓注】月夜よみ(つくよよみ=月夜好)。足占(あしうら)[下記注]。行く時さへや(ゆくときさへや=徃時禁八)。
【編者注-足占】04-0734月夜尓波 門尓出立 夕占問 足卜乎曽為之 行乎欲焉(つくよには かどにいでたち ゆふけとひ あしうらをぞせし ゆかまくをほり)。


万葉短歌3005 十五日に2817

2018年11月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌3005 十五日に2817

十五日に 出でにし月の 高々に
君をいませて 何をか思はむ  

2817     万葉短歌3005 ShuF606 2018-1117-man3005

もちのひに いでにしつきの たかたかに
 きみをいませて なにをかおもはむ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第42首。女。
【訓注】十五日に(もちのひに=十五日)[03-0320六月 十五日消者(みなづきの もちにけぬれば)、など]。


万葉短歌3004 ひさかたの2816

2018年11月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌3004 ひさかたの2816

ひさかたの 天つみ空に 照る月の
失せなむ日こそ 我が恋止まめ  

2816     万葉短歌3004 ShuF606 2018-1116-man3004

ひさかたの あまつみそらに てるつきの
 うせなむひこそ あがこひやまめ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第41首。男?
【訓注】ひさかたの(久堅之)。天つみ空(あまつみそら=天水虚)。我が恋(あがこひ=吾恋)。