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犬身 松浦 理英子 朝日新聞社 このアイテムの詳細を見る |
「親指Pの修行時代」の世界に驚いたのは何年前のことでしょうか。あまり多作ではない著者の新作の発表と聞くたびに、読みたいような、まあどうでもよいような、とりあえず興味はありましたが、あえてというか、なりゆきというべきかそれ以降は読まないで来てしまいました。
本作品に関しては、少し前にけっこう話題になっていたので、ちょっと気になっておりましたが、先日図書館で、たまたま見つけたので、これも縁と借りてきました。
ある犬好きの女性が、たまたま知り合った犬好きの女性に惹かれ、その人の犬になって心を通わせあうという話です。
ちょっと思いつかない設定ですが、犬好きの人なら共感できるのでしょうか・・・。
彼女を犬にしてくれた、朱尾という謎のバーテンダーとの約束は、彼女が犬としての一生を幸せに終えた暁には、彼女の魂を渡すというもの。
魂を渡すってどういうことかと、途中の”ありえない設定”の中の小説としては”ありふれたエピソード”を我慢して読んでいたら、最後に、目が点になるどんでん返し・・・。
これで終わり・・・?
これって連載だったのかしら。最後の落としどころを考えずに書き始め、期限までにうまい結末ができずに、仕方なく安易に落としたっていう感じがしてしまいます。
いや、やはり犬好きの人にはわかるんでしょうか?
この設定にリアリティを感じさせるまでの世界が展開できていないように私には思えましたが、読売文学賞受賞ってことだから、先生方には分かって、私には分からない文学の世界なのかもしれません・・・。