やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【中学歴史教科書8社を比べる】387  26 日露関係Ⅱ(第1次世界大戦~1945) 18 <ⅲ 第2次世界大戦:まとめと考察2/3の2>

2017年12月27日 | 中学歴史教科書8社を比べる(h28-令和2年度使用)

26 日露関係Ⅱ(第1次世界大戦~1945) -18-

ⅲ 第2次世界大戦 -7-

■まとめと考察 2/3の2 ~まとめ表再掲~



 

1 「ソ連による日ソ中立条約の一方的破棄と侵略」の描き方

●「ヤルタ会談(密約)にもとづき」という表現は、中学生に、《ソ連の意図についての誤解》をまねく可能性が高い。 → △ 6社:自由社、東京書籍、帝国書院、教育出版、清水書院、学び舎。

※初めて日本史を学んでいる中学生が、「ソ連軍は、①ヤルタ会談(密約)にもとづき、②満州などに侵攻した。」という文を読んだら、どう理解(解釈)するか? おそらく、《ソ連軍の行動の理由は、①だ。》とおもうだろう。

 しかし、①は派生的理由であって、もともと、ヤルタ会談以前から、ソ連が「樺太南部や千島列島の領有を主張」していたのは史実。したがって、侵攻の理由を書くのならば、「以前から狙っていた南樺太と千島列島を手に入れるために、日ソ中立条約を一方的に破棄し…」とすべきだ。

 したがって、上記6社の書き方は、ソ連の主張をそのまま書いたものだと言える。

 

「朝鮮、南樺太」または「朝鮮、南樺太、千島列島」を書いていない。 → × 東京書籍、学び舎。

※なぜだろう? ”他にもっと大事なことがあるから”という言い訳はできないだろうに。
 これでは、《ソ連(共産・社会主義)に関する「不都合な真実」はできるだけ知られたくない》という、(隠れた)編集方針があるからではないか、としか推理できないが…?

 

 

2 「終戦直後の満州・朝鮮の状況」の描き方

● ”多くの” 日本人が殺されたことを書いていない。 → × 6社:東京書籍、帝国書院、教育出版、日本文教、清水書院、学び舎。 

※1 当時の記録を読んだら、6社が、もっとも重要なことを書いていないことはすぐわかる。それは、(敵対的な)外国人による「多数の日本人殺害」の事実。

(※やむをえず学問的には禁句の「多数」を使っているのは、《引揚者(目撃者)などの個々の証言により、多数であることは十分に推測できるが、”全体の推測数”が計算できない状況にある》らしいから。殺人者(この場合は「朝鮮人、ソ連人、中国人、アメリカ人、台湾人、フィリピン人」などと推測できる)は通常はわざわざ証言しないし、日本政府をはじめとしてどの国の政府も”正式調査”はしていないようだし…)

 それがなぜ「重要」か・・・日本人は(も)、世界史的には、①《戦時のような状況では、”敵(性)国人”の殺害はありふれたこと、②《外国人に対する略奪・暴行や殺害についてははさほど心理的抵抗がない国がある(民族がいる)》、などという歴史の教訓を知っておくべきだから。

 さらに、③《状況によって日本人だからという理由で暴行したり殺したりする人間が、中華圏にはかなり(一部)いた(いる)》という教訓も。

 ①②③について、すっかり国際化した世界に棲むようになった日本人は、個人や集団・国の ”安全保障に関する常識” として、国民の ”危機管理の知識” として、義務教育で教えなければいけないのではないだろうか。

 (※《日本人(民族)も、人類の一員として、①②のような行動傾向をもつ》と思うし、過去、日本軍(人)が全員完全に規律を守ったとも思えない。しかし、《水田稲作+慈悲の仏教の文化伝統をもつ民族》に共通していると思われる ”温厚な人格” 》などによってかなり緩和されているようだ。それは、《近現代の各国軍隊の規律遵守の状況》を調べればわかる。 ~オーソライズされているとは思いませんが、関連したサイトを見つけたので紹介します…<賢者の説得力:「日本の軍隊」>~ )

 

※2 「発育途上の中学生には残酷な表現だから」という言い訳も通用しない。子供が(過度に!)入り浸っている”映像バーチャル世界(⊂「ゲーム」、映画、テレビなど)には死があふれている。

 

~次回、シベリア抑留~

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《著者:松永正紀 教育評論家 /h22年度 唐津市・玄海町:小中学校校長会長》