やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【ひと】7  共生集団(1) ~家族・一族 2/2 日本の家族・一族の絆はしだいにおとろえているが…~

2015年03月12日 | 「ヒト・人」の世界って…

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前回まで  (1)「地球生態系のなかのヒトの位置と役割」・・・ヒトはついに食物連鎖の頂点に達し、巨大な力を得たが、いまだ利己的で未熟! (2)「 ヒトの天敵はヒト、ヒトの味方もヒト」・・・現代の生活集団=「共生集団」「カネ稼ぎ組織」。人はカネだけでは生きられない。(3)「共生集団」・・・人類最初の共生集団として、今でもつづく「家族」のきずな

■人類最初の共生集団として、今でもつづく「家族」のきずな


2.日本の家族・一族の衰退傾向

 この半世紀の間(※筆者が体験してきた期間)の日本の血縁集団:家族、親族(≒親戚)集団の《組織的衰え》は明らかです。

※ここでの定義
「家族」=①同居している血縁集団。②別居している者もいるが経済的にほぼ一体的に運営している血縁集団。

・例1 3世代家族が減って(分裂し)、核家族(=1・2世代家族)や単身世帯(=一人家族)が増えている。

・例2 離婚が増えている。 

例3 かつては《いろんなことでの親族の話しあい》があったが、今では、《集まるのは葬式と結婚式のときだけ》という親族が増えている。

「組織的衰え」=主に、その組織の構成員の減少や経済規模の縮小現象を指す。


3.組織的衰えの原因は?

(1) 日本の経済的繁栄

・都市部の就業機会の増加と、田舎から都会への若者(=家族の一部)の移動。※この2つの相互作用がまだ続いている。

・女性が経済的に自立(※離婚後の生活保護などの公的支援も含む)しやすくなった。

(2) 精神的・文化的影響

① まだ武力占領中にアメリカが強制した《日本弱体化などを意図した「日本国憲法」》には、「個人主義」や《家族や国家などの社会集団よりも個人の価値が大きいという考え》が柱の一つになっている。

 だから、大学教授や小中高の教諭の多くはその考えを尊重している(ようにみえる)。

② 中学や高校の「家庭科教科書」は、上記の「個人主義」の偏重が目立つ。

 これらの教科書の編集者や著者は、多くの日本人(マジョリティ)の伝統的価値観は意図的に無視しているとしか思えない。

  一方で、少数の日本人や在日外国人などのマイノリティに関しては、その「人権」などをとても尊重している。

③ テレビ放送や雑誌などの出版物では、例えば「お一人様」などを推奨しているかのような論調があふれている(ようにみえる)。


 このようにみていくと、日本における血縁集団の衰退は、《時代の流れに適応している人々による普通の営み》や《日本人の個人主義化を願っている人々の営み》などによってすすんでいると思われます。

 したがって、主に(1)の経済的原因により、この衰退傾向を反転させるのはかなり難しいようにも思われます。

 

4.「家族の価値」の重さ

 世界の国々や民族のなかでは、おおむね《家族は他のどんな集団よりも大事なものだ》という文化・価値観・認識が共通しているようです。

 あの弱肉強食・個人主義・実用主義のアメリカでさえ(だから)、「ファミリー」や「子育て」の重視や「児童に対する犯罪へのきわめて強烈な嫌悪感」がいたるところで見られます。

 日本でもようやく(特に東日本大震災を経て)「家族の大切さ」について見直そうという論調が強くなりつつあります(ようにみえます)。

 《人類の存続はおおむね一対の男女の生殖と、親の子育てに依存する》という状況がつづくかぎり(※その他の方法の可能性はあるが)、「家族」はなくならないでしょう。
 しかし、世界中くまなく経済的に繁栄するようなことがあれば、もしかすると、そこでの家族の形態はしだいに日本のように変わっていくのかもしれません。

 でも…

 わたしやあなたが死にそうなとき、だれが自分を犠牲にしてまでたすけてくれるのでしょうか。

 この世に別れをつげるとき、だれが涙を流してくれるのでしょうか。