シリーズ <1・2・3・4・5・>
・前回まで (1)「地球生態系のなかのヒトの位置と役割」・・・ヒトはついに食物連鎖の頂点に達し、巨大な力を得たが、いまだ利己的で未熟! (2)「 ヒトの天敵はヒト、ヒトの味方もヒト」・・・現代の生活集団=「共生集団」「カネ稼ぎ組織」。人はカネだけでは生きられない。
■人類最初の共生集団として、今でもつづく「家族」のきずな
1.一夫一妻が人類の最良の選択だった(のかも)
若いころの記憶をひもといてみると、《原始時代の家族や一族などの集団は、母系や父系などの「集団婚」だった。》という説がかかなり流行っていたようだ。しかし、これらの説は、もしかすると、当時世界中で流行っていた「共産主義思想」による影響でずいぶんと偏向していたのかも…
日経サイエンス(SCIENTIFIC AMERICAN 日本版)2014.12月号の「一夫一妻になったわけ」という記事の要約を引用紹介する。
人類を繁栄に導いた一夫一妻(要約)
たとえ一夫多妻などの複婚が認められている社会でも、一夫一妻の方が配偶システムとしてはるかに一般的だ。ただ哺乳類全体として見ると、一夫一妻を採る種は10%にも満たず、私たち人類は珍しい部類に属する。
人類がどうして一夫一妻を採るようになったかについて何十年にもわたって議論されてきたものの、いまだに答えは出ていない。しかし、新しい研究によって問題は解決に向かっている。
700万年以上前に登場した最初の人類が一夫一妻を採っていた可能性があることがわかってきた。人類は一夫一妻をおおむね維持し続けてきたが、それにはもっともな理由がある。一夫一妻によって私たちは現生人類、つまり大きな頭をもつ万物の長へと進化できたのだ。
ただし、一夫一妻だけが人類繁栄の理由だと誤解してはいけないので、記事の最終段落を引用する。
化石人類や近縁種が絶滅していく中で私たち人類が首尾よく生き残ることができたのは、一夫一妻のカップル、あるいは核家族、一族が協力したおかげだった。実際、協力は人類が過去200万年間に手に入れたスキルの中で最も優れたものかもしれない。協力によって人類は環境変化や苛酷な時代を生き延びることができた。そして、協力こそが、地質学的な時間スケールで見ればまだ新興の種である私たちの未来を決定するだろう。
では、数百万年におよぶ人類の繁栄の歴史のなかで極めて重要な役割を果たしてきた《協力する血縁集団(=家族、親族・一族)》は、貨幣経済が完成した現代(日本)ではどうなっているだろう。
~「2.日本の家族・一族の衰退傾向」につづく~
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