◎2021年2月26日は 賢崇寺の法要には参列しなかった。と同時に「江翠サンは如何したのだろうか」と思ったりもした。
※江翠サンは「末松事務所」の訪問客で 2月と7月には欠かさず賢崇寺を訪れ(法要には参列せずに)墓参を続けておられる方である。
※「昨日昼下り、所用で出かけた先が大江戸線の駅に近かった。一日早いなあ、と思ったけれども、つい麻布に足が向いた・・・」「いつものように賢崇寺の階段を上る。明日という日を控えて、未だ人気もなくひっそりとしている墓前で冥福を祈る・・・」
以上はブログ「歴女同盟」からの引用で 筆者=江翠サン。「曇天の空」と題された名文は 直接「歴女同盟」でお読みいただきたい。
※数日後 江翠サンから届いたメールで《堀真清著「二・二六事件を読み直す」みすず書房刊》の存在を知った。
「丸の内オアゾの丸善の新刊本コーナーに平積みされている中で 二・二六シーズンということもあると思いますが 売れておりました。4000円近いというのに」「持って帰るのは重い故、取り寄せにします(笑)」
※更に数日後 江翠サンから(未だ半分ぐらいしか読めていないという前提で)報告メールが届いた。
「伏線となる 天剣党から三月事件、十月事件、桜会、11月事件、を時系列に書いていくのは、末松太平氏の『私の昭和史』同様で分りやすいです」「著者のいう『忠誠と反逆』という全くの矛盾に引き裂かれる蹶起将校たちの行動ですが、基底にあるのは、あくまでも農村を救わねば、というところだったと何度も表明しているところが、膝ポンです」「著者の堀先生という方は、学生時代から関係者の方々に も会っていた由、ひょっとしたら末松様もご存じの方かも知れませんね」「何ですか『真っ直ぐな人が好き』なんだそうです。そうだろう、土方もそうだよね、と妙な納得をしました」
※江翠サンには《「土方歳三を歩く」1988年・新人物往来社刊》という著作(友人と共著)がある。
現在では入手困難な名著だが 内容紹介には「われらが青春の土方歳三、2人の乙女がその足跡を追って京都から雪の箱館まで歩きに歩いたノンフィクション」と記されている。私は(長距離ウオークの途中に)さいたま市の図書館に立ち寄って 一気に読了している。
※新人物往来社には《二・二六事件関連》の出版物も多く 末松太平も(それ以前の「人物往来社」時代から)何度か執筆していた。
編集部の大出俊幸氏から届いた年賀状も多々残されている。そして今 大出氏と江翠サンとは交流が続いているという。
大出氏を媒介にして 末松太平と江翠サンを結ぶ《不思議な連鎖》がそこにある。
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註★「二・二六事件を読み直す」については《菱海》サンから懇切丁寧な解説を戴いています。コメント欄を是非お読みください。
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※外出自粛で都心の大型書店には足が向かないから 当分は「二・二六事件を読み直す」との対面は叶いそうもない。
ということで「みすず書房」のHPを開いて 本書の紹介をチェックしてみる。
※「クーデター未遂」統制派と皇道派の抗争」政治腐敗と農村の窮状を見かねての義挙」真崎甚三郎黒幕説」。事件についてはいくつかの総括があったが、実相は理解されているだろうか。本書は、資料を虚心に読み直すことで事件のありようをとらえる試みである。首謀者が「皇道派青年将校」だという巷説は正しいのか。真崎陰謀説に便乗することで、皇道派と青年将校をまとめて退治したい幕僚・統制派の作為ではないか。・・・いくつかの論点について考察する・・・。
※続けて「紀伊國屋書店」のHPを開いて 本書の紹介をチェックする。
「・・・二・二六事件が語られる際、蹶起した将校たちは「皇道派青年将校」と呼び習われてきた。しかし、それは皇道派と青年将校らをひと まとめに排撃するための作為だったのではないだろうか。困窮する家庭が存在し、政治は貧困で、ジャーナリズムにも批判精神が乏しい社会状況から生まれたあの事件は、85年後の私達に何を投げかけているのだろうか。いくつかの疑問点を巡って、二・二六事件に新しい光をあてる・・・」
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◎「《みすず書房刊》/二・二六事件を読み直す」から連想した事柄。
※《末松太平著「私の昭和史」1963年2月初版・みすず書房刊》のこと。。
※巻末に「2段組5頁」というボリュームで「刊行者のあとがき」が記されている。この高揚気味な《刊行表明》は 編集者・高橋正衛氏によるものである。
※この「私の昭和史」は1974年5月に《新版》が発行されたが やがて絶版状態になる。高橋正衛氏も退社し「みすず書房」は事件関係書籍と無縁になっていたと思う。そういうこともあって 今回の《「二・二六事件を読み直す」みすず書房刊》は 私にとって快哉&快哉の出来事であった。
※末松太平は「皇道派青年将校」という誤認(あるいは意図的な曲説)と出会う度に立腹反論していた。その思いは「末松太平事務所」が継承したつもりである。快哉&快哉を覚えた理由は そういう辺りにある。
※半世紀以上の時を隔てて登場した「みすず書房刊」の事件関係書籍。当然 堀真清氏は「私の昭和史」も読み直したと思うが みすず書房版と中公文庫版(校閲部の凄さを実感!)と どちらで読み直したのか 少々気になるところではある。(末松)
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