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”トヨタ社員が郵便局長らをその場で「辞めろ! 首だ!」と非難”に、日本の将来を憂う

2006-11-06 10:30:48 | Weblog

今回は、経営情報システム論の話題ということで、以下のお話
郵政公社 効率改善へ導入したトヨタ方式で現場が混乱
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/839811.html

について書きたいんですけど、その前に、これに関する経営学の知識について、
意識あわせという意味で書きます。




上記のサイトに書いてある(以下斜体は上記サイトより引用)

指導役のトヨタ社員が、ストップウオッチで郵便物の仕分けの速さを0.1秒単位で計ったり、局員の歩数を数えたりし、作業の全工程を見直した。


 この方法をトヨタ方式として強調していますけど、このような作業の標準化を行い、その作業をストップウォッチで図って標準的な作業時間を導入したのは、テイラーですよね。科学的管理法として、経営学の授業を大学でとれば、必ず習うと思います。

 そして、そのあとに習うように、この科学的管理方法(標準の作業と作業時間)を導入し、さらに、それをベルトコンベヤを使って実現したのが、フォード生産システムで、ここで作られたT型フォードは、一時爆発的に売れたが、その後、衰退した。

 理由は、T型フォードに消費者があき、多品種のものを求めてきたから。
 このシステムは、大量生産には向いているが、多品種少量生産で、いろいろ作業が変わり、さらにその作業が熟練を要するようなものには向いていない。
 理由は、そういう作業は、標準作業が決められないから。。
 つまり、同じ動作をするものなら、その動作の時間とかを計れる。しかし、違う動作をする場合や、イレギュラーが多く判断が必要なものの場合には、標準時間はつくれないし、ベルトコンベヤはむいていない。

 さらに、現代では、労働者の環境、精神的な問題。同じ動作しかさせないことにより、工員の無能化を引き起こすことによる、イレギュラーへの対応や、全体最適がかならずしもできない問題(ジャストインタイムは、全体最適にも、ロハスにもつながらない)から、今はセル生産方式の方向に向かっていると思う。




 すなわち、トヨタ方式といわれる、科学的管理法の流派は、大量生産方式には向いているが、たとえば、小口少量生産(小口少量配送など)には、向いていない。

 そのために、商品企画がとる手法としては、小口生産による優位性(機動力の高さや設備投資の低さを利用する場合=自動車だと光岡自動車の「おろち」とか)を使った商品を開発するか、商品自体を標準化させ、標準化によるコストダウンを利用して、その商品に需要をむけさせて、需要をそちらに誘導していくという方法がとられる。

 たとえば、郵便で考えると、現在、定型郵便といっても、大きさなどに幅があるが、完璧に1つの大きさにし、その封筒の所定の箇所に切手をはり、住所はかならず郵便用のバーコードで出力してもらう、代わりに郵便料金を10円引くなどという商品(郵便物)を開発する。

 そうすれば、その商品を利用する人が増え、従来の郵便を出す人が減る。このとき、その10円引く、新しい郵便物を処理する機械を作れば、機械化される部分が多くなるので、劇的に作業量は減る。その上、安くなることにより、新たな需要も喚起される。




 てなことは、それほど、真新しい話でもない。

 とくに科学的管理法とフォード生産システム、セル生産方式は、大学の経営学で、まず、かならず習うことなので、他社にコンサルに行くような人では、まず、知らないでは許されないと思う(診断士の勉強でも、ウィリアムのいたずら、ちゃんと習いましたよ ^^;経営学検定の授業でも習いましたよ。ただし、経営学検定の試験は受けてないけど。。。診断士もMBAもとってないで、さらに経営学の知識もなくて、コンサルでござーいって言われてもねえ。。)




 ということで、以下の記事なのですよ。。


社員が視察した際、局長らをその場で「辞めろ! 首だ!」などと非難したことや


うん?これ、トヨタの社員が言ったから、許されるのであって、
たとえば、ウィリアムのいたずらが言ったら、コンサルとしての常識を知らないということで、逆に首になると思う。。

トヨタのこの方式は、基本的に大量生産のもので、
郵便局の配送は、小口配送、つまり、多品種少量生産
なので、まずは、郵便物の標準化をやらないかぎり、トヨタ方式は使えない。
逆に標準化するなら、上記のように、トヨタ方式使うより、そういう機械化できる商品を作るのが普通。

 つまり、トヨタ方式を郵便局に応用しようとする考え方のほうが間違えているのであって、それを、局長のせいにするのは。。。




 そのうえ

高橋俊裕・副総裁(元トヨタ常務)らにあてた報告書には「実効果に繋(つな)がる動き何ひとつやっていません」
「上辺だけの改善ごっこが氾濫(はんらん)」と、厳しい指摘が並ぶ。
仕事量と人員配置の適正化を「まじめにやっている」と評価されたのは8局。「やっていない」が30局、
「全くやっていない」が56局もあり、「(全体の)81%はデタラメ局」としている。


そりゃ、そうだろう。ふつう常識で考えて、多品種少量のシステムに、標準化を持ち込めば、対処できなくなり、システムは崩壊する。結果として、ローカルルールを導入するしかなくなる。
 システム分析するとき、ローカルルールが多数存在するケースは、無理やり標準化しようとしていないか?というのをチェックし、そのチェック方法として、商品自体が、標準化できないものではないか?という確認をとる。この確認は、商品の確認ということになるので、商品自体のERを作成すればいい。それには、佐藤流派のT字型ERでもってきても、DFDからもってきても、帳票分析などから正規化によって持ってきても、どーでもいい。つーか、総動員するけど(^^;)

 SEの場合は、もし、商品が、標準化できないシステムであれば、拡張性の高いシステムに切り替え、柔軟性があるフレームワークでシステム化する。

 商品企画の場合は、標準化できる部分とできない部分を切り出し、できない部分に対し、そちらに需要が行かないように、新たな標準化商品を打ち出し、価格などで、そっちに需要を誘導する。

 ってことぐらい、ある程度のレベルのSEやコンサルなら、わかるだろう。。。

 これすら、わからないくらい、トヨタのコンサルは傲慢なのか?
 (傲慢だから、勉強しない。自社の方法だけ知ってれば十分という宗教に向かう。
  成功体験を自己否定をしたうえで、新たな創造ができないコンサルは、
  コンサルとして、そこで終わるだろう)




 郵便局の皆様は、ご愁傷様です。
 願わくば、このことに、早く郵政公社の偉い人が気づいてもらうことだけど。。
 望み薄だよね。。(>_<!)
 まさか、このブログが、郵政公社の偉い人たちが見るとは思えないし。。。ねえ


 でも、こんなに、成功経験の呪縛にとらわれた傲慢な態度で、将来の日本は大丈夫なのだろうか?現在の自動車産業は、新車をみんなが買ってくれるから、この方法が成り立つ。

 今後、日本国民は、勝ち組と負け組みがはっきりし、勝ち組は新車を改造し、負け組みは中古車を買うというようになると、新車はあまり生産されず、整備や改造に重点が置かれるので大量生産方式をベースとした現在の自動車会社は(光岡自動車を除き)一気に不利になる。
 こういう社会が来ないとも限らない。

 そのときに、新車をどんどん作る生産システムでいる会社は(>_<!)

 トヨタは、それとは関係なしにこんなことや、あんなことも、今問題になってるしい。。。
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