で、まえに電波オークションはニュービジネスを阻害し、地方格差を広げるということを書いたときに、「ホワイトスペースで、もっと顕著な話があるんだけど」って書いておきながら、それについて書かなかった。
予備知識は書いたので、じゃあ、今度はこのホワイトスペースの話。
■ホワイトスペースとは・・・
・・・空白のこと??
じゃなくって、ここでいうホワイトスペースは、
・テレビの割り当て周波数帯なんだけど
・テレビが映って無い周波数。
関東アナログVHFだと、1,3,4,6,8,10,12が映っているので、
あいているチャンネルは
2,5,7,9,11になる。このあいてるチャンネルがホワイトスペース。
実際には、3チャンと4チャンの間はすごく離れてる(だからFMでテレビが聞けるラジカセは、3チャンまでが多い)。そのため、実質交互になっているわけだけど、このように、交互にして、きっちり使わないことにより、混信が避けられる。
とはいえ、VHFはそうだけど、UHF(Uチャン)は、かなりあいているわけで・・・
地デジになっても、開いている周波数はたぶん、多いだろう。
なお、このチャンネルは、地域によって違う。UHF、VHF帯は、あまり遠方へはめったなことでは電波は届かない(スポラディックEs(イースポ)というのがあると、確かに届くことは届くけど、めったに起こらない)。そこで、届かない地域同士では、同じチャンネルで違う局が放送しても、混信が起きない。そこで、地域によって、混信が起きないように、チャンネルを変えて放送しているが、遠方では、同じチャンネルで放送していることもあり得る。
■で、このホワイトスペースを・・・
ホワイトスペースは、混信を避けるためとはいえ、基本的には、ここには、番組が映らない。そこで、この周波数帯を利用しようという考えもあり得るわけだ。
で、その空き周波数についてなのだが・・・
ホワイトスペース:電波の90%以上は空いている
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/7fea36450315ddd8c2992556b99f1352
に書かれているように、このホワイトスペースをケータイなどの通信に使おうという考えがある。
たしかに、アメリカでは、通信(WiFiとか)にも、使うことを考えているようだ
でも、この考え方で、ケータイなどの通信に使ってしまうのは、ニュービジネスをつぶし、せっかくの放送インフラをどぶに捨てる行為だと思う。筋が悪すぎる。
■ホワイトスペースを通信に使うと、放送のニュービジネスをつぶす
話を単純化しよう。
ホワイトスペース、すべてをケータイに使ったとする。
その後、新たな放送局をそこに作ろうとしたら、どうなるか?
ケータイが使っているホワイトスペースを一部削り、その放送局に割り当てることになる。ところが、ケータイをつなぐには、基地局への大きな投資がかかる。その投資をどぶに捨て、そのあとに、放送局を作ってもらうことになる。
これは無駄だ。それなら、初めからケータイは、ずっと動かないで、安定した周波数帯で、全国一律で、サービスを提供したほうが、投資・研究の安定化につながる。
電波は周波数によって、入り方などが違い、ベストな基地局の場所(2基地局間の距離)も違ってくる。だから、できるだけ周波数は動かない方がいいだろう。
LTEも含め、その後も1.5G~2G、2.5Gあたりで安定させるのが無難じゃないかな・・・
さらに、無駄という話でいうなら、ホワイトスペースは基本的に、テレビを受信するように受信機が出わまっちゃっているという問題がある。ここを通信に使うと、果たしてそれらのテレビに影響が出ないか?って問題がある。
たしかに、電波の形式が違うし、ケータイは基本的に盗聴できない仕組みなので、通話がばれるということはない。しかし、ケータイを話してテレビを見ているとき、本当に近接している周波数だったら、まったくテレビは影響をうけないのか(=テレビにホワイトノイズが出ないか)、テレビをスキャンして調べる方式の受信機に、影響が出ないか(まちがって、番組と思って止まっちゃわないか?)などは、やってみないとわからない。
■で、地方にとって、メリットがあるのか?
で、ホワイトスペースが多いのは、たぶん、地方だろう。
そこで問題なのだが、この案、地方にとってメリットはあるのだろうか?
ホワイトスペースも多いかもしれないけど、ケータイを使う人も(都会よりは)少なくないか?そーすると、ホワイトスペースを使ってまでやる意義は。。。
地方から見たら、既存の通信ビジネスではなく、これから起ころうとしている放送ビジネス(デジタルサイネージと放送の融合など。詳しくは次回書くけど)のほうが、お金になる。つまり、ニュービジネスを起こしたほうが、地方にとってはメリットがある。
■じゃ、どーするのがいいの?
ってことで、ホワイトスペースを通信に使うアメリカのような方式では、
日本のメリットより
放送ニュービジネスをつぶし、地方は恩恵を受けらないというデメリット
のほうが、大きく思える。
もし、ホワイトスペースを利用するなら、
新しい放送ビジネスに利用すべきである。
そのビジネスは、もう起きているし、
総務省も、考えているわけだが、
それについては、次回、書いてみたいと思う。