ウィリアムのいたずらの、まちあるき、たべあるき

ウィリアムのいたずらが、街歩き、食べ物、音楽等の個人的見解を主に書くブログです(たま~にコンピューター関係も)

受託会社とソフトベンチャーでは、そもそもスタートラインが違う

2007-06-10 13:25:53 | Weblog

さいきん、
「中毒性」ある受託開発がソフトウェアベンチャーの躍進を阻む
http://blogs.itmedia.co.jp/repedant/2007/06/post_c660.html

というブログが話題のようだ

 この議論自体は、10年以上前だったとおもうけど(雑誌名が思い出せないし、資料が手元にないので、いった人ははっきり書かないけど)某会社社長が「受託開発は麻薬である」といったのと、ま、似ていると思う(ちなみに、コレは当時、受託とパッケージの両方をやっていた会社があり、当時の人は、どこの会社を批判したことか明確にわかる話だった)。

 で、上記のブログのお話は、
(以下斜体はブログからの引用)

1.受託開発では「技術」が蓄積しない
2.受託開発では「人材」が蓄積しない
3.受託開発では「資金」が蓄積しない

という点から書かれている。

 ウィリアムのいたずらは、受託開発とソフトウエアベンチャー、両方の会社にいたわけで、その立場から見ると、表面的には、上記のとおりなんだけど、実際には、

「受託会社で成功する会社」

「ソフトウエアベンチャーで成功する会社(っていうかやっていく必要条件)」

の間にもっと、根本的な違いがあると思う。

その違いは、会社を実質的に運営する人間に、

「もし仮に、今日が自分の人生最後の日だとしたら、何をしますか?」

と聞いたとき(これば、スティーブ・ジョブズの変形だけど・・)

 ・家族と過ごすとか、おいしいものを食べるとか、女の子と。。。
  って、コンピューター以外のことを答えるのが、受託会社

 ・あるコンピューターの技術を書き残すとか、新しいマシンを作れるところまで作るとか
  コンピューターのことを答えるのがベンチャーで、
  その分野の仕事をやれば、成功する。
  →この人は、ジョブズがいうように、そのために必要な優先順位を付けていき、
   仕事をこなせば、いつかは、その分野で成功する可能性がある。




 たぶん、人生最後の日でも

  スティーブ・ジョブズは、Coolなガジェットを考えていそうだし、
  ビルゲイツは、コンピューターでビジネスを考えていそうだし
  ウィリアムのいたずらは、ブログの連載を書いてるだろうし、
  平井堅は、歌うたっていそうだ。。

 そんなかんじ。。本人に聞いて違う答えをしても、少なくとも、まわりからみて、そういうイメージを受けることが大切。また、将来的には変わることもあるし、変わってもいい場合もある(変わったところで会社が終わる場合もある)。

 そーいう人は、それに対する情熱もあるし、技術というか、知識というかもたいていある。なので、周りがついてくる。なんとなく、夢のある話のようだから、金持ちがカネを出すし、人も夢についてくる。

 そういう会社が受託をやる場合、自分が技術を持っている分野を、無理しないでやるのが普通で、そのような会社の受託の場合、あまりプラスにはならないけど、そんなにマイナスにもならない。ただ、受託で資金をつくったり、技術を培うのは、無理。
 もともと、技術はもっていて、資金はどっかから来るのが、ふつう。
 面白いことをやってるみたいと、人もきて、チャネルも人づてで、出来てくる。




 一方、人生最後の日に「家族と一緒にいる」とか「旅行する」という場合、コンピューターは、お金稼ぎの手段に過ぎない。ということは、仕事を「だぼはぜ」のように何でもとってくる(この業界で、何でも仕事を取ってくるときには、よく「だぼはぜのように」と形容される)。

 そうすると、今流行りの技術をやることになるから、技術の蓄積はない。
 たとえば、今Javaのプログラマが売れるから、Javaをみんな勉強しているが、このJavaを技術と捕らえてしまうと、何年もつかわからない。COBOLも、20年前は廃れることはないと思っていた。今COBOLの技術は余り役立たないし、PL/Iにいたっては、まったくだし、RPGっていったら、ロールプレイングゲームだとおもわれる。全部、いま、それらの技術や知識を持っていても、無駄。

 っていうだけならいいんだけど、むかしの開発方法と今の開発方法に連続性がない(これについては、ずーっと先に昔から今までの話をやろうと思ってて、そこで書くけど)ので、むしろ、昔の知識を持っていると、混乱することがある。

 だから、今流行りの技術を追いかけているだけでは、技術は蓄積しないんだけど、受託で人気なのは、今流行りの技術(今Javaで、多分次はWebAPI)だ。




 そして、人材に関しては、上記のブログで書かれているとおり。上流工程の技術が実は確定していない今において、下の受託企業は振り回されて、まず、社員の多くは3年以内でやめる。
  1年目は、がんばる
  2年目は、だめだと悟る
  3年目で、求人誌をみて、他に行く
ので、人材も定着しない。定着する企業は、初めに述べたベンチャーみたいな会社だ。そこは、技術の中心があるので、ぶれない。だから、振り回されることがない(振り回されそうな仕事をはじめから受けない)
 上流工程のとくに機能要件に関しては、認知言語学などと組み合わせると、たしかにうまくいきそうなことは、このブログとかで示してきたわけだけど、そーいう研究を受注企業がすることはまず無理で、やるとしたら、、初めに述べたベンチャーみたいな会社か、ウィリアムのいたずらか、大企業だ。

 それが証拠に、BREWにおける開発は、昔から、受託で、大変な作業になっていたが、それがフレームワーク化できることは、このブログで示したあと、東芝ソリューションがやった、つまり、BREWの受託会社が、そーいうソリューションを出してくることはなかった。

 そもそも、そういう社長は、そーいうことには、興味はないのだ。




 なぜ、興味がないかというと、受託会社の社長にとっては、自分の生活が第一。

 で、受託の場合、自分の生活は守れる程度は儲かるので、文句はないが、パッケージをやるほど莫大なお金は儲からない。

 なぜなら、そんなに莫大な金が儲かるなら、受注金額を下げて、受注を多く獲得し、売上げを伸ばす会社が出るからだ。そーいう会社の社長にとって、会社を大きくすることは自分の名誉であり、楽しいことなのだ(むしろ、一番やりたいことかもしれない)その場合、売上げをあげることがうれしい。
 売上げを比較的安全にあげるには、受託先を増やす(集中すると、一時的にあがるが、リスクが大きくなる)。そのためには、単価を下げないと他社に勝てないのだ。そうすると、外注支払いや給与支払いのために、現金が必要になり、融資が必要になってくるので、利益率が下がる。

 一方、ベンチャーでやっているところは、受託をしたいわけではないので、ある一定の利益を出るところを狙う。そーすると、幅広くはできない。だから、大きくはならないけど、確実に利益は出るので、現金はたまってくる。




ってかんじで、表面的には、いろいろと違いがあるけど、根本的には、ジョブスの質問に、どう答えるか、これがすべてのような気がします。

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