WinnyやUSBメモリのウィルスなどによる情報漏えいとかの原因のひとつとして、クライアント側に機密情報を持ってしまうせいで、基本的に、ファイルやDBデータを集中管理して、そこにセキュリティをかけ、そのサーバーには、それ以外のソフトは載せず、クライアント側からは、ブラウザなどでアクセス、クライアント側にファイルとしてデータを残さないようにすれば、いいんじゃないか?という案を、ウィリアムのいたずらは提唱している。
こうすれば、サーバーに自宅からアクセスできるようにすれば、場所を選ばないし、データの共有、管理(バックアップなど)も容易になる。
この考えは、世間で言う、ECMということになる。
さらに、データが集まってくれば、新たにプログラムを作らなくても、そのデータを簡単に処理加工できる、Excelみたいなやつがあれば、いいんじゃない?っていう考えが、BIツールといえる。
BIツールは、OLAP、データマイニングなどを組み合わせたものとなっているが、その基本は、アプリを造らなくても、すぐに解析できる、Excelよりちょっと進んだ、けど、Excelっぽい感じのものって言うことに尽きると思う。
これらの考えをまとめると、社内サーバーでまず、データを共有し(ECM)て管理し、場合によってはワークフローなんかをはっきりさせて(内部統制)、さらに、BIツールで処理加工する・・・という姿が見えてくる。
そうすれば、クライアント側にはデータはないので、サーバーのセキュリティをしっかりやれば、情報漏えいのリスクは減る。クライアントは柔軟に増やせるし、セキュリティさえ充実させれば、インターネット経由でどこからでもアクセスできる。
このうち、別に自社でサーバを持たなくても、何社か連合して・・・という形になるかもしれない。
そうすれば、SaaS、クラウドという方向になってくるだろう。
唐突に話は変わるが、SaaS,クラウドというのは、電気自動車みたいなもんである。
たしかに、将来的にはその方向に進むだろうが、現状としては、じゃあ、電気はどうするの?とか、本当に速度は出るの?大丈夫なの?とか、まだまだ一般的に不安がある。現時点で投入するとしたら、あまり構造的に変化のない、エタノール入り燃料でも走る自動車。これなら、今の環境意識の向上が追い風となり、導入も現実的だ。
コンピューター業界も、Googleに釣られて、SaaS、クラウドの方向に動いているが、これにはまだ、セキュリティの問題や、データを海外のサーバーにおいて大丈夫なの?とかいうふうに、まだまだ一般的に不安がある。
現時点では、まずは、みんな個人でファイルをもつんじゃなくって、ファイルサーバーにファイルを置いて、ちゃんと管理しましょうよ!っていう話にすべきだろう。そしてそれがECMであり、さらに、サービス(というかアプリまで)集中化すると、ウィリアムのいたずらが書いている、ローカルSaaSという話になる。
Microsoftは、この「サーバーにファイルを集めて集中管理」という製品を持っている。
Microsoft Share Point
しかし、マイクロソフトの問題は、
(1)これにより、情報の集中管理が出来るため、
クライアント側による情報漏えいがおきにくいとか、
派遣労働者が個人的に情報を握って、クビを切ると業務がとまる
・・・なんていう問題が(共有により)おきにくい
などというメリットを、十分に伝え切れていない。
(2)この情報の共有化がECMであり、
それでデータが集まってくると、BIツールの意味が出てきて、
そのうち、アプリ構築を大げさにしなくても、
情報の処理加工ができる
という、そーいったストーリーを
米国のShare PointのサイトはLearn Modeで明確に出しているのに、
日本の上記宣伝サイトでは、その点がはっきりしない。
使い馴れた Excel をサーバーで共有すれば、業務アプリに大変身!!って書いてある。それは、分かる人には、あ、BIね、ってわかるけど、わかんない人には、話飛びすぎだ(^^;)
事例も、ドキュメントを集中管理すると、いいんだよ・・・という部分からは、飛びすぎているような気がする。
(3)情報共有のECMから、クラウドにいく道筋がはっきりしない。
問題は、ブラウザでどこでも操作→そうなると、サーバー管理もアウトソーシングしたいよねという流れで、その一歩手前で、とりあえず、自社内で全部管理してみましょうよ、そーすれば、そのあとのアウトソーシングも見えてくるよね!というストーリーが見えない。
こんな感じで、とくに、Microsoft Share Pointのメリットが見えてこない。
もし、見えてくれば、「うーん、でもMicrosoft Share Pointは有料なので・・・」という人が、フリーのECMツールalfrescoに流れ、さらに、BIでは、JasperSoft(英語版はオープンソースもある)という感じで市場が立ち上がってくるんだろう。
やはり、マイクロソフト(わざとカタカナで書きました。日本の「マイクロソフト」という意味)と、大手SIerなどが、この辺のストーリーを描ききれていないのが、原因ではないだろうか。
情報共有をしないでリストラ(正社員切り)をすれば、作業がとまって、ビジネスに甚大な影響を及ぼし、それによって、景気回復が遅れることも、必至である。
さらに、クライアント側にデータが野放図にあるということは、派遣切りをやられた社員が腹いせに、機密データを暴露する危険ありありなのだ!
なので、今こそ求められるのが、情報共有なのに、そのへん、日本のそうそうたるSIerが、ストーリーを描ききれない。。。この辺に日本のコンピューター業界の問題があるよね。
(結局、アメリカから来たクラウドという夢物語を呪文のように唱えるしか、能がない ^^;)