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TSMC熊本工場は、わざと時代遅れのチップを作ってる。そのほうが「日本は」儲かるから!

2024-03-31 08:59:58 | 世間話
 馬淵さんの記事のところで書いたけど、経済評論家や大学教授っていうのは、株屋さんの予想みたいな思惑を書いてごまかしているように感じる。

 最近のごまかしの多くは「半導体」と「AI」。これには何種類もあって、儲かる構造が違うんだけど、それを一緒くたにして、思惑と極論と誤解で持論に有利なように話している。

でまあ、
くらいの話なら、害にも毒にもならないからいいんだけど、

最近の深田萌絵さんは、ファンも知名度も発言力も大きいから、さすがにこの発言は、まずいでしょ(^^;)

【深田萌絵】間もなく来る「国難」とは!/中国製「世界監視システム」の脅威!/ 熊本TSMCの闇/ 街頭演説 2024/ 2/ 28 銀座数寄屋橋 #参政党
 
 「サーベイランス」っていう、感染症で使われる「(調査)監視」という専門用語を、一般用語の監視にすり替えて、ソニーのイメージングセンサーを監視カメラ用と曲解してあおっているんだけど・・・
 さすがに、これ、ソニーから訴えられないのかな…

 監視できなくさせる(プライバシー保護する)のが、ソニーのイメージングセンサーで、それを作るために、時代遅れのチップ工場作ったんでしょ(^^;)。そのほうが、先端チップを作るより儲かるから。日本の場合。

 あんまりにもまずいと思うので、よいこのみんなは信じないように、一応解説しておきますね!



■TSMC熊本工場は、わざと時代遅れのチップを作ってる。

 その理由については、以下の記事が詳しい。


 この記事はImpress Watchなので、読み手はIT関係かなり詳しい人を想定していると思う。そこで、そうでない人のために、「半導体っていうのは、いろんな種類があって、マスコミや株屋さん、あおりの人が言うのは、そのうちの一部しかいっていない(AIも同じ)」って話を、まずしたいと思う。



■マスコミ、学者、株屋が言っているのは最先端チップだが、
 日本はこれを作っても儲からない

 わかりやすくするために、例えばスマート農場を例に話をしてみようか・・・スマート農場のシステムは、こんな感じになる。


つまり、大きく5種類のデバイス+クラウドから構成される。

・一つ目 各種センサー(イメージセンサー含む)
 農場の場合だと、気温、湿度、地面の湿り具合などなど、いろいろな情報を収集して中継用の端末まで送る。なんで中継用端末で、直接センサーからクラウドへデータを贈らないのかという話は、後でする。
 この中継用端末までは無線の場合、優先の場合どちらもあり得るけど、いずれにせよ、通信用トランシーバーは半導体チップを今は使う。また、センサーも、温度センサーなどは半導体チップ。
 いずれにしろ、低価格・低性能(低クロック周波数)のマイコンチップから構成される(PICとか)

 センサーと言えばカメラなんかのイメージセンサーもそうなんだけど、イメージセンサーの場合、データ量が多いので、中継地点に送ることもあるけど、直接クラウドに送ることもある。

・2つ目 中継用端末
 各種センサーからのデータを集めて、適当な時にサーバー(普通はクラウド上にある)にデータを送信、サーバからの指示を受信する装置。
 ラズベリーパイぐらいの能力のある組み込み用の端末装置(ラズベリーパイも最近はあるけど、Armとか)。そこで使われる半導体のプロセスルールは、40nm~22nm。
※プロセスルールとは↓のこと

・3つ目 クラウド上の仮想マシンたち
 中継用端末で集計したセンサーデータは、クラウド上に送信され、そこに保存される。通信プロトコルはHTTPとかMQTTとか。そして、保存したデータを基に、機械学習させたり、ルールに基づいて指示を出したりする。この機械学習や指示を出すタイミングとデータ送受信のタイミングは異なる(非同期処理)。で、機械学習や指示を出す処理を行うサーバーは、クラウド上にある仮想サーバー。よって、クライド提供会社がサーバーを用意する。
 ここでは、できるだけ早く処理したほうがいいから、処理スピードの速いCPUが求められる。そのため、プロセスルールも高精細のものにして、集積度を高める。いまここで、世界が目指してるのが2nm

・4つめ PC
 クラウドであつめたデータをグラフにしてみたり、仮想サーバーで処理した機械学習や指示の結果を見たり、中継器の状況を確認するための可視化ツール(監視用ソフト)が必要になる。この可視化ツールを動かして、画面上で確認するためにPCやワークステーションが使われる。PCで使われるCPUは、「インテル入ってる!」インテルを中心に世界は回っていて、今インテルの最新は4nm程度↓

・5つめ アクチュエーター
 クラウドからの指示を基に、実際に機械(スプリンクラーとかシャッターとか)を動かす。
 センサー同様、低価格のマイコンチップが使われることもあるし、PLD(シーケンサー)が使われることもある(CCLinlkなんかを使って、データを連携する)。まあ、動かす機械によっては、中継器と同じようなクラスのプロセッサ(Armとか)が使われることもある。

なので、ざっくり分けると、半導体、とくにCPUの役をする半導体は3種類に分かれる

・主にセンサーに使う低価格のマイコンチップと通信用トランシーバー
・主にイメージセンサー、中継用端末などに使うプロセスルール40nm~22nmくらいのプロセッサー
・PCやクラウドの仮想サーバーに使われるプロセッサー。できるだけ高性能が良い→ここが今2nmに上がろうとしている



■どうしてCPUは、同じ役割なのに3種類に分かれるのか

 自分でIoTシステムを設計してみればわかる。
 作れないから、1種類だと。

 例えばスマート農業などをやる場合、1ヘクタール(100m四方)の畑に、10メートルずつセンサーを置くと、横に10個、縦に10個、全部で10*10=100個いるよね。

 この100個のセンサーに、どうやって電気を配給するかっていうのが問題。

 低価格、低性能のPICのようなチップだと、3V以下で稼働するものもある。3Vだと、乾電池2個だし、場合によってはエナジーハーベスティングを使って、自家発電させることも可能。

 でも、ちょっとしたチップを使ってしまうと、電気がそこそこ必要で、その電気をとってこれない(長いケーブルを使って電気を供給しよううと思っても、電気抵抗のため電圧が下がってしまってできない)。だから、末端は、低価格低性能だけど電気を食わないチップを使う

 中継器は、集約するのと、クラウドと通信するのが主な仕事なので、そんなに高性能のCPUはいらない。で、軽くて加熱しないのが好ましい。中継器はどこに置くかわかんないし。。。そして、価格も安いほうがいい。
 そうなると、最先端チップはオーバースペックでコスパがわるい。
 一世代型落ちしたほうが、安くて使いやすいわけ。
 ってことで、ラズベリーパイのようなプロセスルール40nmのもの~22nmのものが、今は使いやすい。ただし、ここも高性能化して、そのうち12nmになるみたいだけど、いきなり7nmや4nmにはなりそうもない。

 クラウドの仮想サーバーはこういう電源制約がない。ひたすら処理スピードが速いのが正義。そのため、最先端チップの3nm、将来は2nmになっていく。
PCもこのような制約はないため、仮想サーバーに近い構成へと向かっていく



■3種類のCPUは、それぞれ買い手が違う
 3種類のCPUが必要なのは上記のとおりだけど、つまり、必要な場面が違うので、それを必要としている人も違う。言い換えると、買い手が違う。

 センサー部分は、センサーを作る会社やセンサーを使ってシステムを提供する会社が買い手となる。これは様々。

 センサーをまとめてサーバーと通信したり、イメージセンサーのためのCPUを必要としているのは、センサー部品をまとめる会社や、イメージセンサーを作る会社。つまり、ソニー、デンソー、TOYOTAなど。

 仮想サーバーのCPUが必要なのは、仮想サーバーを提供している会社。これは、GoogleとかAmazonとか、世界的に数社。そしてPCに使うCPUは書いては様々だけど、買い手のニーズは、「インテルを使いたい」



■日本にとって必要なチップ

 日本の場合、仮想サーバーのCPUを今から作っても、この市場はレッドオーシャンでTSMCが勝者なので、まず、参入しても儲からない。また、データセンターは日本に作るより、安くて広い土地があるアメリカ、中国に作ったほうがお得なので、日本に作るのも得策ではない。
 だから、仮想サーバーのハイエンドCPU市場は日本にとって妙味がない。

 次の中継器やイメージセンサーに使うCPU,これは買い手として日本が必要とするチップ。ただ、供給する側としては昔からあって、開発費は回収した市場なので、あとは低価格競争。新規参入しても利益は上げにくい。
 つまり、この市場は、日本にとって製品を出すうえで不可欠で、絶対必要なんだけど、市場に参入するメリットがない(というか、参入すればたぶん赤字)な市場。

 のこりの、センサーの半導体市場は、これは昔からある市場で、地味に必要で、地味に活動している市場。地味にいろいろ改善されてたりもする。そもそもニュース記事にならない市場。

表題に戻ると、日本に必要なチップは40nm~22nmのCPU市場。ただここに進出する人はいない(既存メーカーでしのぎをけずる市場)



■TSMCにとって、必要な市場とは

 TSMCは、この市場のリーディングカンパニーなので、最先端市場をいちはやくとりたい。いちはやく取れば、先行者利益で、十分な利益を確保できるので、2nmの最先端市場に注力したいわけ。
 一方、22nmのチップもやっているけど、こっちは金の成る木で、今利益回収中で行っているけど、2nmのように成長していく市場ではないので、力を入れたくない。

 つまり、TSMCにとって、今後必要な市場は2nm市場。ただ、いま、キャッシュを生み出しているという意味で必要な市場は22nm市場。ただ、2nm市場で軌道にのれば、そっちで利益はでてくるので、22nm市場はいらなくなる(=撤退する)かもしれない市場。



■TSMC熊本工場は、わざと時代遅れのチップを作ってる。そのほうが「日本は」儲かるから!

 なので、TSMCは、2nmチップが完成した場合、日本にとって必要な22nmチップ市場を撤退するかもしれない、そこまでいかなくても、供給不足になれば、利益率の高い2nmチップを優先し、22nmチップの製造を停止するかもしれない。

 それは、22nmチップを基に製品を作っている日本にとって致命的。
 なので、22nmチップを作る工場は必要だったんだけど、日本の1企業がまっさらから22nmチップを作るには、金も時間も割に合わない。

 なので、国から支援してTSMCのノウハウを使って工場を作らせ、22nmチップを使った製品を安定的に作れる体制を作る必要があった。そうしないと、日本が安定的に儲からないから。

 これが、熊本に時代遅れの工場ができた理由。



■日本の先端半導体チップ開発

 ただ、日本全体でみえると、先端の2nmチップは誰かが手掛けないと、日本独自のチップを作らなければいけない場面で、作れなくなるので、まずい。

 日本独自のチップが必要な場面は、スパコンを作るときと、国防。
 軍事に中国のチップは使えないよね。

 なので、日本でも2nmのチップ開発は必要で、これはラピダスが行っている。


で、その先だけど、TSMCはシリコンではないにしろ、電子を利用した半導体製品に投資している。これについては、深田さんがいろいろ言及している
しかし、電子を利用した技術は、どのみち、量子力学的問題や発熱の問題で行き詰まると書いた↓。そこで日本は光電融合に投資している。

この背景には、顧客の問題と技術優位性の問題がある。

アメリカや台湾TSMCは、クラウドなどの顧客を持っている。クラウドなどの顧客は、できるだけ何もしないでデータ演算処理が上がればよいわけで、この場合、既存技術の延長の(シリコンをカーボンに置き換えるだけの)技術改善を行いたがる。なので、カーボンに投資する。

 一方、日本の場合、ここでアメリカや台湾TSMCと同じ開発をしても、もう先行している企業があるわけだから、ハナから自分たちのビジネスは不利になり、妙味がない。その上顧客は、グローバルの顧客はTSMCなどに取られている。なのでこの市場で戦おうとは思わない。
 結果、主戦場は、日本のデータセンターになる。日本のデータセンターの場合、中継器からの集約が主な作業になるため、通信処理を早くしたい。そのため、IOWNなど、光電融合のほうが向いている。
また、日本はファイバ技術、レーザー技術に技術優位性があるので、これら技術をもとにしたIOWNに投資したほうが向いている。
なので、日本はシリコンの後はカーボンよりも光電融合のほうの投資が進んでいる形になっている。



ってことで、長くなったのでこの辺で切って、いつか、同じようにAIの話をしたいと思う(AIをいくつかに分けて論じる)。その中で、ソニーのイメージセンサーの話とかは・・・するかな?

監視カメラの話はさらにその先かなあ・・・??

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