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博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大軍師司馬懿之軍師聯盟』その2

2017年07月07日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之軍師聯盟』第7~12話まで見ました。

袁紹の息子たちの勢力を掃討し、河北平定を達成して許都へと戻った曹操。司馬懿も諦めて歩けないふりをやめて曹操への出仕を決意します。任命されたのは孫悟空の弼馬温を思わせる馬の飼育係ですが、嫌そうな顔を見せずに職務に励んでおります。

ここで河北の名門、清河の崔氏の娘を曹植に娶せ、曹丕には河北平定時に捕らえた袁熙の側室・甄宓を与えています。二人の母親の卞氏が、弟の曹植の妻の方が身分高く、これでは曹植が後継者争いに妙な欲を持ってしまうと不満を漏らしますが、曹操は「それこそが目的なのだ。曹植にも野心を持たせ、二人を引くに引けない所まで追い込んで競わせるのだ!」とドヤ顔で真意を漏らします。


曹丕を演じるのは、『武媚娘伝奇』でヒロインの元恋人役の李牧を演じた李晨。

そうこうしているうちに曹操の愛児・曹冲が急死してしまい、その教育係を務めていた徐庶が母とともに帰郷したいと願い出ます。一旦は帰郷を承諾した曹操ですが、「あやつ、荊州に戻って劉備に仕えるつもりだな?」と、それならいっそ殺してしまおうと心変わり。それを察知した曹丕がこっそり徐庶親子を逃がしますが、追っ手として刺客の汲布が曹操より放たれます。しかしその汲布も老母を抱える身で徐庶の気持ちはよくわかると、二人を見逃したうえ、自分は旧知の司馬懿の家へと逃亡。

その汲布の上司は曹丕ということで、これを口実に曹丕から校事府の役職を取り上げてしまおうと目論み、汲布を捕らえられなければ処罰をすると難癖を付ける曹操ですが、司馬懿が市中の衆人環視のもとで「仁義」ののぼりを揚げて汲布の自首を待ち、民の声で汲布の免罪を勝ち取れと知恵を付けます。司馬懿の計略はまんまと功を奏し、曹操は汲布を赦免せざるを得なくなります。ここで素直に曹丕を褒めず、「これで民衆がお前の味方についたな?」と嫌味を耳打ちするのが今作の曹操らしいです……

この件により文学掾として曹丕に仕えることになった司馬懿ですが、その歓迎会で差し入れを持ってきた甄氏の顔を直視したということで、曹操の怒りに触れて曹丕の一党であった劉楨と呉質が左遷に。「お前が密告したのだろう!お前のせいで二人が!!」と妻を詰る曹丕が微妙にクズっぽくて辛い場面です……


「薄幸」「健気」という言葉がよく似合う甄氏。何となく『ジャクギ』の若蘭とイメージがかぶります。

密告したのは甄氏のだったのですが、周囲に信頼できる人間が必要ということで、司馬懿は前から曹丕を慕っていた張春華の義妹・郭照を側室として迎え入れることを提案。曹丕はその郭照も司馬懿の監視役として利用しようとして、彼女にドン引きされています……

さて、曹操は後継者争いを更に進めようと、曹丕と曹植にそれぞれ許都の東門と西門から出発して曹洪に伝令せよと、同じ使者の任務を与えます。しかしそれぞれの門番は別途曹操より開門を禁じられており、その反応を見ようというわけです。曹植の補佐役楊修は「邪魔するやつはこうだ!」と門番を斬り捨て、曹植に使者の任務を果たさせます。


今作では司馬懿のライバル的なポジションの楊修。配役は『蘭陵王』で高緯を演じた翟天臨。

一方、司馬懿は勝ち負けではなく、行為が正しいか誤っているかで競えとアドバイスし、父親の命で門を守っているのだからと使者の任務を果たさず引き返します。で、軍令に背いたということで二人は仲良く同じ牢に投獄され、君臣の絆を深めあいます。しかしその間に司馬懿の計算通り、群臣や甄氏・郭照と生母の卞氏、そして曹丕に命を助けられた形の東門の門番までもが赦免を願い出て、曹操も二人を釈放せざるを得なくなり……という所で次回へ。

今のところ戦争の場面らしい場面は出てませんが、ちゃんと面白いですね。中国ドラマでもそれだけリアルな戦争の場面を挿入するのが難しくなっているということでしょうか。日本の大河ドラマでも戦争の場面がまったくない、あるいは少ないという批判を目にしますが、それはどうも無い物ねだりに近い要求なのではないかと思います。そして今は人前では君子然としている曹丕ですが、これからどう変わっていくのか……
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