がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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円覚寺、2021春

2021年03月21日 | ・琉球歴史/文化風景

 

首里城そばの、円覚寺。

尚真王が第二尚氏の菩提寺として建てた、
琉球を代表するお寺でした。

 

 

沖縄戦で焼失し、
総門、石垣、右脇門、放生池などが復元。

 

 

放生橋を渡って階段を登った先の「山門」が
2018年には復元・完成予定と新聞報道…
されていたはずですが、ずっと音沙汰なく。

 

2021年になって
ようやく目に見える動きが出てきたらしい…
ということで、
先月、首里城に行った際に行ってきました。

 

 

楽しみですね。

 

 

なお、この放生橋は尚真時代のもので
国指定の重要文化財です。

 

総門は閉じられており、
中に入ってこの橋を渡ったり
近くに行くことはできないので、
石垣の外からカメラのズーム機能を使って
鑑賞するのがポイン
です。


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小説『百十踏揚』で読む、「発掘された倉庫跡」展

2021年03月16日 | ・『百十踏揚』を読ム

 

埋蔵文化財センターで開催されている
『首里城京の内跡出土品展-発掘された倉庫跡-』

会期が1週間をきりました!

 

京の内展は毎年恒例と言ってもいいくらいやっている
埋文ではおなじみの展示会トピックですが、
今回はチラシで「倉庫跡」というタイトルを見たとたん

 

 

ドキュン!!

 

 

ってなりました。

 

だって、京の内の倉庫跡って、

 

あの時の、

 

あの倉庫

 

ですもの!

 

 

 

 

「勝連が……」

踏揚は絶句して、炎を振り仰ぎ、それからにわかに狂ったように、

「思戸…あの人が…按司様が……」
と叫んだのだった。

踏揚の熱はまだ引かず、朦朧としていたであろうが、
思戸をふりほどいて飛び出していこうとする。

「うみないびの前……」
思戸は必死に抱き止めた。

「思戸。離して!あの人が…按司様が……」

 

 

『球陽』等、王府史記は、その来襲を次のように書いている。

<(踏揚が首里城に入って)王、阿摩和利の反逆を知り、
即ち急ぎ令を伝えて四境の軍士を招集す。
未だ幾時ならずして、阿摩和利、機事の密ならず、大城(賢雄)逃去し、
もし先に手を動かさざれば災禍免れ難きを以て
みずから軍兵を率いておい来たり、
火を放ちて城を攻むること甚だ密、殺戦極めて急なり。 …>

一方、『明史』に、事件の翌年―天順3年(1459)に、
尚泰久王が明国に使者を遣わし、
首里城に火災があり、「延焼」して王庫が焼け、
銅銭や、明国からの物品類も焼けてしまったと報告し、
銅銭や、苧糸、沙羅、絹布等を賜った記事がある。

この時の火災の原因が何であったのかは不明だが、
勝連の急襲によるそれだったなら、
勝連はまさに「一矢」報いたのだと言えよう。

小説『百十踏揚  P461-』(与並岳生/新星出版)

 

 

今回の展示会は
(明実録に記録のある)「1459年の火災」で焼失した
倉庫跡にスポットを当てています。

引用箇所にも書いてあるように
実際に前年(1458年)の勝連の攻撃で焼失したのかどうかは分かりませんが、
小説とはいえこのようなエピソードや
その元となった歴史的背景を知っておくと
想像が膨らんで展示物を見るのもより楽しくなりますよね♪

少なくとも、
この倉庫は尚泰久時代(以前も含む)のものなので、
出土したものの中には
百十踏揚や賢雄や、更に金丸や護佐丸や阿麻和利が
見たり触ったりしたものもあるかもしれない。

少なくとも京の内だから百十踏揚には関係ありそうよね!

とかね。

 

そういう視点でも楽しめますよ!

 

というわけで
倉庫跡展の様子をちょこっとご紹介。

 

 

入ったら床にどーん!と遺構の実物大写真。

 

実際に発掘されたときの様子や状況がわかります。

 

 

倉庫跡に入っちゃいましょう!

 


ポイントポイントで解説もあって
考古学の知識なくてもばっちりサポートしてくれます。

 

 

周りには出土品。

 

 

世界でも希少で貴重な品の数々。

 

個人的には真ん中の紅釉水注が特におすすめです。

これ、世界で4点しか確認されていないという
めっっっっちゃ希少品

 

 

今回は「陶磁器の見方」についてのパネルやクイズなんかもあって
(床貼りの実物大遺構写真も含めて)教育普及プログラムとしても
よい展示演出だなと感じました!

(゚д゚)(。_。)ウンウン!

考古学分野は知らない人にとっては
どうしても難しいし味気ないからね。

こういうアピールはどんどんやっていこ!

 

 

小さい展示で入場無料なので
ふらっと気軽に立ち寄ってみては?

 

今週日曜日まで。


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キラキラ琉球史☆ゆんたくマンガ(58)『尚徳王の秘密』

2021年03月12日 | ・キラキラ琉球史☆ゆんたくマンガ

 

前回の続き。

 

こういうネタで終わるのもなんですが、
「キラキラ琉球史☆ゆんたくマンガ」は
これにていったん終了です。


『琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑』
スピンオフ四コママンガとして生まれた全58話、
読んでくださりありがとうございました。

(実際に描いたのはもう2年前になります)


本当は、尚真・オギヤカ編のSEASON5まで
ある予定だったのですが(ネタも頭にあるまま)、
描けぬまま2年余り経過してしまっているので……

またいつか、
お披露目できれる機会があればいいなぁ…と思いつつ。

 

 


「キラキラ琉球史☆ゆんたくマンガ」
シリーズ初見の方はこちらもご覧下さい。


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「仲座久雄展」、一緒に読みたい2冊

2021年03月09日 | ・和心な本、琉球な本

前回の続き)

 

ここからは『仲座久雄展』番外編。

展示会で直接紹介されているわけではないけど、
展示会に関連して、ぜひオススメしたい2冊の本をご紹介します!

 

 

 

 

実は、私が仲座久雄の名前を知ったのは
『太陽を染める城』
(国梓としひで著/沖縄建設新聞)
を読んだ時。

仲座の影響とススメを受けて
同じ建築の道に進んだ甥(新垣良考氏)が
あの平成の首里城復元に携わることになるのです。

 

「首里城…」
良考は社長の話を聞きながらも震えがとまらなかった。
(このような機会はめったにあるわけではない。
自分に声がかかるなんて、名誉なことだ)
良考の心は焔で熱くなった。
亡き叔父の仲座久雄の顔が脳裏に浮かんだ。
その顔は満面に笑みをたたえていた。 

(久雄おじさんの夢を引き継ぐことができる……
これが自分の最後の仕事になるかもしれない)

『太陽を染める城』(P41)

 

仲座久雄→新垣良考、
このつながりに、ドラマを感じずにはいられません。

 

 

 

 

もう一冊がこちら。

『沖縄島建築 建物と暮らしの記憶と記録』
(普久原充朝監修/岡本尚文写真)


タイトルの通り、沖縄の様々な建築を紹介している一冊。
名建築と評価されているものから、無名の古民家、商店まで。
仲座久雄や花ブロックについても、
もちろん取り上げられています。

この本を読むと、
観光地ではない、普通のマチナカ散歩をしたくなるはず!
そんな当たり前の沖縄の生活風景の中に
「気づき」を与えてくれる一冊。

こちらから本の内容の一部を見れます♪

 

 

 

 

仲座久雄展会場は図書館が併設されている
護佐丸歴史資料図書館なので、
展示会後に図書館に寄ってみるのも良いですね(*'ω'*)
(沖縄本関係は2階フロア)


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沖縄の建築と文化を守った男、仲座久雄展

2021年03月07日 | ・琉球史散策/神話・近代

 

中城村・護佐丸歴史資料図書館で開催中の
「仲座久雄」展に行ってきました!

仲座久雄(1904~1962)は
戦前・戦後を通して沖縄の建築や文化財の保護に尽力した
中城村出身の人です。

建築界では知らない人はいない!
っていうくらいの有名人。

 

でも建築だけではなく彼の業績は様々で、
この展示会では幅広く紹介されています。

 

大きく分けるとこの3つ。

 

① 戦後の沖縄建築(設計)

② 花ブロック

③ 文化財

 


唯一の写真OKな「キカクヤーの模型」

 

特に知られているのが「キカクヤー」(規格住宅)


パーツごとに加工され、
現場で組み立てれば家になるという
プレハブ式の簡易住宅。

戦後、家を失い収容所でテント暮らしをしていた
多くの人に無償提供され
戦後復興の大きな役割を果たしました。

 

他にもいろいろな公的施設や教会などの設計をしており、
年配の方なら覚えのある建物もあるかもしれません。
(残念ながらそれらの建物は、今はほぼ残っていません)

 

 

 

そして花ブロック!(好き!)

沖縄といえば花ブロック!

もともと穴の開いた装飾性のあるブロックは
世界各地にあるのだそう。

おそらく米軍とのやり取りの中で
そのようなものを見聞きしていたのかもしれない仲座は
いわゆる「花ブロック」を考案・普及させました。

今でも沖縄の至る所で見かける花ブロックは
100種類ほどもあると言われています。

本土にも多少花ブロックはありますが
そのバリエーションや使用量は沖縄の比ではありません。
花ブロックはもはや沖縄の立派な文化なのです。

 

ただ、仲座デザインの花ブロックは、
今はあまり見かけなかったりします。

集落の古い建物や塀などに残っているのを
探すしかなさそう。

「花ブロック」にちょっとアンテナを張って地域を見てみると
もしかしたら仲座デザインの花ブロックを発見できるかもしれません!

(実際の仲座デザインの花ブロックについては是非展示会場で☆)

 

 

 

そして、文化財保護。

戦後、守礼門や園比屋武御嶽石門など、
多くの文化財を修復・復元などに尽力しました。

 

 

 

また、修復・復元以外にも
文化財指定に向けての調査も行っています。

 

 

石垣島の
桃林寺仁王像

 

 

権現堂

 

 

久米島
上江洲家住宅

 

 

仲里間切蔵元石穡

などなど。
(まだまだいっぱい)

 

 

それから、

 

 

伊波普猷の墓や

 

 

円覚寺放生池とは
どんな関連が!?

 

答えは展示会場にて!

 

 

 

今回は運よく濱口館長が受付にいて
つきっきりで案内をしてもらいました!
(ありがとうございました!)

定期的に待機しているようなので(※毎日ではないです)
もしタイミングが合えば声をかけてみることをおすすめいたします!
展示内容も分かりやすく把握できる上に、
裏話などもたくさん聞けたりして!?

可能な方は比較的すいている平日が狙いめかも!

 

濱口館長は護佐丸歴史資料図書館ブログでも
仲座久雄展についての熱い紹介記事を書いていますので
是非ご覧ください。

私のこの下手な紹介記事なんかいらないかも?(^^;)

 

 

仲座久雄展~沖縄の建築と文化を守った中城出身の建築家~

護佐丸歴史資料図書館 3階企画展示室
~3月29日(月)まで
10:00~17:00
入場無料

※毎週火曜日と3月18日(木)は休館日

 



 

もう少し書きたいことがあるのですが、
長くなったので次記事で。

 

(つづく)


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キラキラ琉球史☆ゆんたくマンガ(57)『オウム』

2021年03月06日 | ・キラキラ琉球史☆ゆんたくマンガ

 

 

「トックン」については55話参照。

声色はもちろん、姉・百十踏揚。

 

 

そして、
「弟が心配で、家(越来)に戻る前に
自分の声をオウムに覚えさせる姉」の図。

 

尚徳は朝鮮王朝との外交で
何番貿易で手に入れたオウムや孔雀をプレゼントしています。
派手で華やかなこれらの鳥は
尚徳そのもののイメージと重なり
実に「尚徳らしいな」と思ってしまいます。

キラキラ本でも尚徳はオウムとセットで描きました。

 

 


「キラキラ琉球史☆ゆんたくマンガ」
シリーズ初見の方はこちらもご覧下さい。


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