○五感俳句052・聴覚012・飛鳥田孋無公
○「風すぎて蝉のこゑととのひけるよ」(『湖におどろく』1933)(飛鳥田孋無公01)
○季語(蝉・夏)
【鑑賞】:蝉の鳴く樹に風がゆきすぎました。その直後、蝉の声が襟を正して整ったような気がしました。蝉も風を待っていたのかも知れません。※2013年11月、飛鳥田孋無公先生のお孫さんの→遠藤美彦様からご指摘をいただきまして、内容の訂正、追加をさせていただきました。ご丁寧にありがとうございました。
さらに2022年2月、遠藤美彦様から句集『湖におどろく』の序文についての貴重な書き込みをいただきました。ここに掲載させていただきます。ありがとうございました。
飛鳥田孋無公句集『湖におどろく』序文「みづからへ」:「貧しいながらも、私はこの句のどれかゞ、たとへ一つでも世の人に吸収愛撫され、その人のものになつて行くならば、生みの親として、まつたくこの上ない、よろこびであり、よしんばそれが、私に對し痛いつらい鞭撻であつたとしても、そこに私として一層の反省鼓舞が加へられ、私自らはますますよくなつてゆくであらう。すべては生きて居てのことである。」
○飛鳥田孋無公(あすかたれいむこう)(1896~1933)
○好きな一句「さびしさは星をのこせるしぐれかな」(『湖におどろく』1933)02
○季語(しぐれ・冬)
【Profile】:神奈川県厚木市金田出身。組合立農学校(校名不明、現存せず)修了後、1911年神奈川県立蚕業取締所(厚木)に勤務、その前年より俳句に親しむ。1917年「石楠」に入会→臼田亜浪に師事、1918年同人となる。「好きな一句」は横浜市磯子区杉田の妙法寺に句碑がある。
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飛鳥田孋無公掲載句
03霧はれて湖におどろく寒さかな(寒さ・冬)〈五感・視覚〉2013/12/2