淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

「パーフェクト! 青山通り」

2006年04月12日 | Weblog
 東京に行くと、必ず散歩するのが青山通りだ。
 昔、住んでいた時も、よく青山や赤坂近辺を歩いたものだ。勿論、何の目的もない。ジョギングしたこともある。出張した際に、渋谷や六本木近辺に宿を取り、早朝の街を走るのである。
 いつかは住んでみたいと思う。多分、無理だろうけれど・・・。

 一年の約半分近くを雪に閉ざされた街に長い間暮らしていると、「東京」という都会が、自分の中で肥大化し、そして暴走してゆくのである。
 例えば、寺山修司が次のように言っている。

 「オレが東北のことを書くと、必ずどんよりと曇った空になる。だけど、実際に青森に旅行してきた人は、いい天気だったよって言うのね。空は青いし、なんであれがどんよりなのかって言う人がいるわけだけど、オレの心の中には、やっぱり曇った空の風景があって、家には柱時計があって、刑事でアル中だった父親がいて、捨て子だった母親がいる・・・」(墓場まで何マイル?)より。

 以前も書いた記憶があるけれど、東京という都会に対して言いようの無い衝撃を受け、恋しいほどの憧れを抱く切っ掛けになったのは、幼い時に映画館で観た「エレキの若大将」だった。
 そうか、これが東京なんだと思った。そしてその衝撃は、何もまだ刷り込まれていない純情無垢な真っ白いキャンバスに、消せないほどの強さで描き込まれてしまった。青い空。賑やかな繁華街。麻布十番の洒落た街並み。爽やかな大学生活。恋。友情。スポーツ。
 早く大きくなりたいっ! 早く大きくなって東京の街に行きたいっ! こんな暗くて寒々とした街から一日でも早く抜け出したいっ!
 東京には全てがある。望むべきあらゆるものが、そこにある。

 んなもん、あるわけないのに!
 現実の生活なんて、惨めで残酷で、死ぬほど平凡なのに。恋だなんて、裏切りや打算の裏返しでしかないのに・・・。

 エスクワィア5月号の特集は、「パーフェクト! 青山通り」。
 オッシャレーなクリエーターたちが、日記形式で「夜の活動報告」を行っている。素敵なナイト・クラビングね。

 「・・・ヴォーグのスタッフたちと、表参道の『キッチン・フィリア』で会食。超人気のイタリアン」だの「ニューヨークから帰ってきた○○氏と、骨董通りの和食『ぼこい』で食事」だの。ふーん。

 それから「知られざる青山」という、青山在住の写真家たちによるフォト特集も。青葉公園や乃木坂トンネルや表参道ヒルズや。ふーん。

 乳離れ出来ない淋しい男が独り、エスクワィアの最新号を眺めている。
 東京を愛し、東京を憎んだ、自立の出来ないいい大人が独り、外苑西通りから青山一丁目のマップを眺めている。

 全くもって、どうしようもない。

 

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