僕の感性

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いしゃ先生

2017-02-14 18:37:51 | 映画
山形県西村山郡西川町大井沢は11月から5月まで多くの雪に覆われる豪雪地帯である。


その大井沢でかつて僻地医療に従事し奔走したスーパースターがいたのは案外知られていない。

志田周子(ちかこ)、彼女は明治43年左沢に生まれ、父の仕事の関係で大井沢に移住する。


成績優秀だった周子は山形第一女学校に進学し、のちに東京女子医専に進む。

昭和10年、医者になりたての周子は父の希望で無医村だった大井沢村に大井沢診療所医として帰郷する。

最初、大井沢村の人たちは、周子をよそ者として拒絶し心を開くことがなかった。

お金がないことや周子が女性であることなどの偏見から、家族に重病患者がいても家の中に入れず
門前払いをするのであった。まして悲しいかな、祈とう師のほうを優先する無学がまかり通っていた。

そして当時の大井沢は道路網が整備されておらず、冬、手術が必要な患者を左沢の病院まで運ぶ手段が箱ぞりだった。
村人の男衆が大勢でその箱にロープをつけて数十キロ長い道のりをひっぱって山をおりるのだ。

周子は打ちひしがれそうな心を奮い立たせてたくさんの試練に立ち向かっていく。

東京に残した恋人とも別れ、大井沢で医療の道に生涯を捧げようと決心するのだった。


あまり説明するとDVDを見てもつまらなくなるのでこの辺で終了するが
周子が昭和34年、保険分野の最高賞、保険文化賞を受賞した時の挨拶がとても素晴らしかった。

是非皆さんも一生涯独身で弟妹の世話をしながら医療の道に邁進した周子の姿を
「いしゃ先生」という映画の中に見つけてほしい。