ものずき烏の無味乾燥?文

ブログ発想 LP/LD/CD コレクション作業 進行中。ジャズばっかしじゃないかと言われたら身も蓋もない。

ドン・チェリー:エル・コラソン

2006-02-08 | 音楽 の 紹介

EL CORAZON: Don Cherry & Ed Blackwell

 オールド・アンド・ニュー・ドリームに続けて投稿記事にするのには、それなりの理由がありまして、顔ぶれとしたらデューイ・レッドマン(reed)とチャーリー・ヘイデン(b)の二人が抜けただけなんですね。デュエットとしたら、(嫌がらせを受けた)『ムー』以来となります。
"El Corazon" ECM(GRM)1230
Mutron / Bemsha Swing / Solidarity /
Arabian Nightingale / Roland Alphonso / Makondi
Street Dancing / Short Stuff / El Corazon /
Rhythm For Runner / Near-In / Voice Of The Silence
Don Cherry (pocket trumpet,p,melodica,doussn' gouni,organ)
Ed Blackwell (ds,wood drum,cowbell)
1982/02
 『ムー』の録音が’69年8月ですから、日本を含めたアジア圏で言うところの(十二支の)一回りと一年。またやってみようとなったのか、またやらされたのか...、前回とおなじ雰囲気から始まっています。セロニアス・モンクの「べムシャ・スイング」は、ドン・チェリーのピアノで弾いてくれます。他のドン・チェリーのアルバムでも演奏されている曲ですが、初期のモンクが弾いている味わいがあります。
 メロディカを演奏しているんですね。日本の芸人(ピアニカなんとか)でおりましたが、ジャズ演奏家では珍しい。メロディカって小学生が吹いている笛と鍵盤をミックスした、わたしのその頃には存在してなかった、あれですがね。( [追記] Wikipedia によれば、 鍵盤ハーモニカ といってメーカーごとに呼び名が違う。ヤマハ→ピアニカ、SUZUKI→メロディオン、ZENON→ピアニー、HOHNER→メロディカ・ピアノ )
 エド・ブラックウェルのパーカッションにドン・チェリーの手拍子だけを合わせる曲があったり、エド・ブラックウェルの軍楽隊的なドラム・ソロがあったりとしますが。ピアノとトランペットの多重録音もあるようですね。わたしは、あとでトランペットをかぶせたと思います。それ以降は、デュエットにしてはソロを聴かせるアルバムですね。
 『ムー』と比べたら完成度が高い分、即興という面白みが薄れているのがこの『エル・コラソン』というところでしょうか。


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2006/02/08 ものずき烏

(もうドン・チェリーで記事にすることもありませんので、いままでのを店ざらし)




オールド・アンド・ニュー・ドリーム(×3)

2006-02-07 | 音楽 の 紹介
 前回記事とのつながりを意図して投稿しています。チャーリー・ヘイデンを含むグループでオールド・アンド・ニュー・ドリームというアルバムを三枚。時系列では三枚目の前に、ドン・チェリーとエド・ブラックウェルのデュエット・アルバムがくるのですが、構成が違いますのでこれは次回に繰り延べます。

OLD AND NEW DREAM / PLAYING /
TRIBUTE TO BLACKWELL: Old And New Dream

"Old And New Dream" ECM(GRM)1154
Lonely Woman / Togo / Guinea
Open Or Close / Orbit Of La-Ba / 
Song For The Whales
Don Cherry (tp,p) Dewey Redman (ts,musette)
Charlie Haden (b) Ed Blackwell (ds)
1979/08
 オーネット・コールマンにゆかりのあるグループであることが一目瞭然。マイルス・デイヴィスのサイドメンで編成したV.S.O.P.(Very Special Onetime Performance)の発想とおなじで、オーネット・コールマンのVSOPと言える。どちらも、Onetimeではなかった。看板を偽ったVSOPの方が罪が重かろう。
 オーネット・コールマンの「ロンリー・ウーマン」。曲だけとれば、フリー・ジャズではありません。過去にはMJQ(Modern Jazz Quartet)も手がけていました。発表されてから、スタンダート化しているチューンですから、別段新しい解釈はありませんが、この曲の決定版といえると思います。
 このグループで、リーダーは決めてないと思いますが、ドン・チェリーがソロ楽器であることから、リーダー的役目を持っていると考えて、わたしの分類としてはドン・チェリーにしています。ミュゼットをデューイ・レッドマンが演奏していますが、ドン・チェリーが吹いていると思っていました。( 「ムー」における、通りすがりの嫌がらせコメント以来、ドン・チェリーが鬼門になってしまった。くそぉ ) 音楽を聴くのは右脳だけでなく、わたしの場合は過去の記憶が大きな作用をしているのです。
 チャーリー・ヘイデンがラストの「鯨の歌」で、捕獲禁止を主張しています。(アメリカのペリー提督は捕鯨のために江戸幕府に開国を迫ったんですよ。外に向けて主張するまえに、自分達のご先祖さまの贖罪を行うのが筋じゃないですかね。)

"Old And New Dream: Playing" ECM(GRM)1205
Happy House / Mopit / New Dream
Rushour / Broken Shadows / Playing
Don Cherry (tp,p) Dewey Redman (ts,musette)
Charlie Haden (b) Ed Blackwell (ds)
1980/06 Live, Austria
 これも、オーネット・コールマンを意識してしまいます。V.S.O.P.もマイルスの匂いが濃厚で、マイルス・デイヴィスが近寄り難い人物であるように、オールド・アンド・ニュー・ドリームもオーネット・コールマンの影響を残しながら、独裁者を外して民主的にやろうというバンドかも。
 ドン・チェリーのヴォイスとエド・ブラックウェルのパーカッションが、いつものように民俗音楽風。どこの民族とも言えないところが、ドン・チェリー。
 わたしのコレクションで、オーネット・コールマンのバンドにはピアニストが見当たらない。この大きな楽器を使わないところに、ジャズの原型を感じるのかも知れません。このオールド・アンド・ニュー・ドリームでは、ドン・チェリーがピアノを弾いています。わたしは好きですね、このピアノ。でもステージによってはピアノが使えなケースもあるようで、それが次掲アルバムです。
 このアルバムはライブ収録ですが、観客の拍手が自然発生的で好感がもてますね。子供の頃、小学校の校庭で催されたNHKの「素人のど自慢」の公開録音を見物したことがあるのですが、観客の拍手まで指揮されていたが驚きでしたね。


"Old And New Dream: Tribute To Blackwell"
                               Black_Saint(ITA)120_113-1
Happy House / Law Years / Togo
Dewey's Tune / Street Woman
Don Cherry (tp) Dewey Redman (ts)
Charlie Haden (b) Ed Blackwell (ds)
1987/11/07 Live. Georgia
 これも神出鬼没のイタリアのゲリラ・レーベル。CDではどうなっているか知らないのですが、イタリアでプレスしたLPにはA面のレーベルに直径15ミリくらいのハンコ(スタンプ)が押してあるんです。だから、わたしには Soul Note も Black Saint も出所が同じで社名を変えているインチキ臭さがあるんですね。
 エド・ブラックウェルのトリビュートとなっていますが、ラスト・レコーディングではありません。まぁ、亡くなってからこのアルバムを出していますから、適題と思ってつけたんでしょうね。
 ブラックウェルを意識して聴くこともありませんね。「デューイズ・チューン」という曲が入ってますので、デューイ・レッドマンに着目しましょう。
 さて、チャーリー・ヘイデンの名前が鯨以来、出てきてませんが、地味な楽器ですから致し方ありませんね。グループの大黒柱の存在でしょう。ちゃんとしてないと、震度5強でグループは倒壊するではありませんか。
 オールド・アンド・ニュー・ドリームの最初のアルバムから八年も経っていますから流石にオーネット・コールマンの匂いは希薄になってました。


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2006/02/07 ものずき烏

チャーリー・ヘイデン:カルテット・ウェスト

2006-02-06 | 音楽 の 紹介
 政治的主張を含む『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』、そして過度の緊張を強いられるデュオ・アルバム。やっと、わたしのような俗人に受けるBGMにも使える肩の凝らないジャズを演奏してくれました。それが『カルテット・ウェスト』。始めはアルバムのタイトルだったのですが、二枚目が出てチャーリー・ヘイデン(b)、アーニー・ワッツ(sax)+p+ds が カルテット・ウェストというグループ名になったようです。

QUARTET WEST / IN ANGEL CITY:
Charlie Haden

"Quartet West" Verve(USA)831_673-1
Hermitage / Body And Soul / 
The Good Life / In The Moment
Bay City / My Foolish Heart /
Passport / Taney County
Quartet West
Ernie Watts (ts,as,ss) Alan Broadbent (p)
Charlie Haden (b) Billy Higgins (ds)
1986/12/22 23
"In Angel City" Verve(USA)837_031-1
Sunday At The Hillcrest / First Song /
The Red Wind * / Blue In Green
Alpha / Live Your Dreams /
Child's Play / Fortune's Fame
Quartet West
Charlie Haden (b) Ernie Watts (ts,shaker,syn)
Alan Broadbent (p) Larance Marable (ds) 
Alex Cline (ds) *
1988/05/30-06/01
 アーニー・ワッツというサックス・プレーヤーそんなに個性は強くないけど、グループに溶け込んでいていいですね。ヘイデンの器のなかで伸び伸びと、アルトやらソプラノやら吹いています。
 時代はCDだったのでしょう。一枚目が51分20秒、二枚目が50分07秒とLPの時代から比べると10分ほど盛りが良くなったようです。このあと、カルテット・ウェストはどうなったかは知りません。でも、チャーリー・ヘイデンの音楽は、主張があったり、緊張を強いられるのが持ち味なんでしょうね。


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2006/02/06 ものずき烏

(投稿済みのチャーリー・ヘイデン)
2005-07-29 ジェリ・アレン:ヘイデン+モチアン・トリオ
2006-02-04 チャーリー・ヘイデン:リベレーション・ミュージック・オーケストラ
2006-02-05 チャーリー・ヘイデン:デュエット・アルバム

チャーリー・ヘイデン:デュエット・アルバム

2006-02-05 | 音楽 の 紹介
 チャーリー・ヘイデンがリリースしたデュエット・アルバムを三枚集めてみました。軸がチャーリー・ヘイデンのベースで、相方がそれぞれというアルバムですが、すべて1976年にレコーディングしているのに気がつきました。とりあえず、いつもの流儀で時系列で並べておきます。
[01/25] Charlie Haden (b) : Hampton Hawes (p)
[01/26]                   : Alice Coltrane (harp)
[03/18]                   : Keith Jarrett (p)
[03/21]                   : Ornette Coleman (as)
[03/21]                   : Paul Motian (ds)
[06/07]                   : Don Cherry (tp,fl)
[08/21]                   : Hampton Hawes (p)
[12/19]                   : Ornette Coleman (tp)
[12/20]                   : Archie Shepp (ts)

CLOSENESS / AS LONG AS THERE'S MUSIC /
THE GOLDEN NUMBER: Charlie Haden

"Closeness" Horizon(JPN)GP-3510
Ellen David / 
Charlie Haden (b) Keith Jarrett (p)
1976/03/18
O.C.
Charlie Haden (b) Ornette Coleman (as)
1976/03/21
For Turia /
Charlie Haden (b) Alice Coltrane (harp)
1976/01/26
For A Free Portugal
Charlie Haden (b) Paul Motian (perc)
1976/03/21
 この時点では、若手のキース・ジャレット(p)を引き出しているのでしょう。キース・ジャレットはソロ、トリオの他に、このベースとのデュエットも有りかなと思いましたが、このトラックだけではないでしょうか。わたし的には、ビル・エバンス(p)とジム・ホール(g)のアンダーカーレントを想起しました。( 忘れてました、キース・ジャレット(p)、チャーリー・ヘイデン(b)、ポール・モチアン(ds)は、スタンダーズを結成する前のレギュラー・トリオでした。 )
 フリー・イデオムのオーネット・コールマン(as)はデビュー時の仲間ですから気心は知れているのでしょう、ここではヘイデンの意向に沿った演奏。
 アリス・コルトレーン(harp)とのデュオが弦楽器と弦楽器との組み合わせということもあるのだろうが、なんか物悲しい。
 ポール・モチアン(perc)とは、テープレコーダーの使用もあります。ドラムでなくパーカッションですから役になりそうなものは何でも使います。

"As Long As There's Music" Artists_House(USA)AH-4
Irene / Rain Forest / Hello/Goodbye
As Long As There's Music / This Is Called Love
Charlie Haden (b) Hampton Hawes (p)
1976/01/25 08/21
 背中がむずがゆくなるほどドラムが欲しい感覚になるのは、風邪を引いたことによるのか、ピアノ・トリオを聴きすぎていることなのか、...
 おなじピアノでも、キース・ジャレットのときは、ビル・エバンスを想起するくらいに、誰かのやり方を踏破していると感じたのですが、これは違います。ピアノが歌っていますもんね。ハンプトン・ホーズ(p)が六割で残りがヘイデンというアルバムだと思います。なぜか一曲だけこぼれ落ちたのが、次掲のアルバムに拾われました。

"The Golden Number" Horizon(USA)SP-727
Out Of Focus /
Charlie Haden (b) Don Cherry (tp,fl)
1976/06/07
Shepp's Way
Charlie Haden (b) Archie Shepp (ts)
1976/12/20
Turnaround /
Charlie Haden (b) Hampton Hawes (p)
1976/08/21
The Golden Number
Charlie Haden (b) Ornette Coleman (tp)
1976/12/19
 ドン・チェリーのフルート(パン・フルート?)が知らない他国へ誘うという。いつものドン・チェリーの音楽ですね。フルートからトランペットへの持ち替えがやたらと速い、二重録音かと思ってしまうが、違う。知らない他国の地域を確定してみよう。モンゴル平原に近いし、中近東の雰囲気もあるので、西トルキスタンにしておこう。
 アーチー・シェップ(ts)がなかなか出てこない、こうなるとヘイデンのベースが不気味。40%ほど(4分30秒)経過して、ようやく出てくる。ベトベトとまとわりつくような、いつものテナーです。デュエットとなると、シェップなりの戦略があるのかも知れない。
 ハンプトン・ホーズ(p)また出てきましたが、前掲アルバムからなんかの理由で含まれなかったものですね。このアルバムだけ聴くのならなんか書けそうですが、前のアルバムを聴いた直後ですので、パス。
 オーネット・コールマン(tp)とのデュオです。わたしは今までちゃんと聴いていませんでした。オーネット・コールマンだからアルト・サックスだというのは固定観念で、ここではトランペットのみです。珍しいのではありませんかね、オーネット・コールマンが持ち替えも、ヴァイオリンもなく、トランペットのみで12分28秒。さすがにアルトとちがって吹きっぱなしとはいかず、ろうろうと牧歌的です。


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2006/02/05 ものずき烏

(投稿済みのチャーリー・ヘイデン)
2005-07-29 ジェリ・アレン:ヘイデン+モチアン・トリオ
2006-02-04 チャーリー・ヘイデン:リベレーション・ミュージック・オーケストラ

チャーリー・ヘイデン:リベレーション・ミュージック・オーケストラ

2006-02-04 | 音楽 の 紹介
 初期オーネット・コールマンのベーシストであったチャーリー・ヘイデンです。チャールス・ミンガスやマックス・ローチの場合は人種の問題で主張したのですが、この人は鯨の問題で主張しています。わたしは、この点だけが気に入らない。

LIBERATION MUSIC ORCHESTRA /
THE BALLAD OF THE FALLEN /
DREAM KEEPER: Charlie Haden

"Liberation Music Orchestra" Impulse(USA)MCA-39125
The Introduction / Song Of The United Front /
El Quinto Regimiento / Los Cuatro Generales /
Viva La Quince Brigada / 
The Ending To The First Side
Song For Che / War Orphans /
The Interlude / Circus '68 '69 /
We Shall Overcome
Perry Robinson (cl) Gato Barbieri (ts,cl) 
Dewey Redman (as,ts) 
Don Cherry (cornet,indian wood & bamboo fl) 
Mike Mantler (tp) Roswell Rudd (tb) 
Bob Northern (frh,hand wood blocks,crow call,
bells,military whisle) Howard Johnson (tuba) 
Paul Motian (perc) Andrew Cyrille (perc) 
Sam Brown (g,tanganyikan guitar,thumb piano) 
Carla Bley (p,tamboutine) Charlie Haden (b,violin)
1970/04/27 28 29
 カーラ・ブレイに発表の場を提供するということではゲーリー・バートンが先駆けだったのです。『葬送』の場合は一つの作品として完結していたのですが、『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』は政治的主張を含みますので、いまだに継続していることになるのでしょう。その第一作は’68のシカゴ民主党大会に触発されたと解釈します。このシカゴ民主党大会で何があったか、残念ながらわたしは未詳です。でもこの事件に触発された若者は、音楽で主張を始めたのです、ロック・グループのシカゴしかり、そしてこの『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』です。ラストで演奏される「ウイ・シャル・オーバーカム」。これは闘うフォーク・ソングですよ。ベトナム戦争を忌避し始めた時代だったんです。日本も学生運動がいたるところで巻き起こっていた時代です。結果は赤軍派事件が象徴するように、行動しても敗れる、そして政治に対してはシラケという風潮ですね。政治家には悪い奴がなりたがるのが常ですので致し方なし。
 堅いことはおいて置いて、この作品はカーラ・ブレイの特徴がよく出た作品だと思います。この時代のピンク・フロイドの『原子空母』も引っ張りだして聴いたのですが、ブラスのアンサンブルがよう似ている。ピンク・フロイドも、カーラ・ブレイも時代を反映した音楽を作っていたんだ。

"The Ballad Of The Fallen" ECM(GRM)1248
Els Segadors / The ballad Of The Fallen /
If You Want To Write Me / Grandola Vila Morena /
Introduction To People / 
The People United Will Never Be Defeated / Silence
Too Late / La Pasionaria / La Santa Espina
Charlie Haden (b) Carla Bley (p,glockenspiel)
Don Cherry (pocket trumpet) Sharon Freeman (frh)
Mick Goodrick (g) Jack Jeffers (tuba) Michael Mantler (tp)
Paul Motian (ds,perc) Jim Pepper (ts,ss,fl) 
Dewey Redman (ts) Steve Slagle (as,ss,cl,fl) 
Gary Valente (tb)
1982/11
 『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』の二作目。タイトルに、『リベレーション~』と打ってないが、チャーリー・ヘイデンとカーラ・ブレイのブラス・バンドは『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』。
前作から十二年も経過しているのには、サウンドが変わり映えしていません。この編成はプロジェクト(一時的なもの)ですから、制服着用の給与が保障された恒久的軍楽隊(警察、消防、自衛隊)とちがってコンダクターが絶対権力を持ちづらい、民主的な音色です。下手に聴き間違えると、ジンタ(『天然の美』)を演奏すサーカスの伴奏。でもこの『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』はこのジンタ風なサウンドが持ち味です。ブラス・バンドで哀愁が漂うのも不思議ですが、その哀愁からソリストの表現が展開されます。
 さて、政治的テーマですが、輸入盤で日本語解説がついていません。曲のタイトルから類推する方法もあるのでしょうが...、わたしはスペインを想起しました。フランコ政権末期のこの時代で、フランコと、民衆の苦悩そして闘い。違うかな...違ってもいいもんです。聴いた人の持つ記憶で、筋立てを組み立てればいいんです。

"Dream Keeper" DIW(JPN)8045
Dream Keeper / Rabo De Nube
Nkosi Sikelel'I Afrika / Sandino / Spritual
Carla Bley (cond) Charlie Haden (b) Dewey Redman (ts)
Joe Lovano (ts,fl) Branford Marsalis (ts) 
Ken McIntyre (as) Tom Harrell (tp,flh) 
Earl Gardner (tp) Sharon Freeman (frh)
Ray Anderson (tb) Joe Daley (tuba) 
Amina Claudine Myers (p) Mick Goodrick (g) 
Paul Motian (ds) Don Alias (perc)
Juan Lazzaro Mendolasd (pan pipes,wood flutes)
The Oakland Youth Chorus  Elizabeth Min (dir)
1990/04/04 05
 『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』の三作目。コーラス・グループが参加しています。続けて聴くと、初期のメンバーで欠けてしまった人が目立ってきましたね。でもジンタ風のサウンド構成は維持しています。
 この作品のテーマは何でしょう。夢を視つづける(Dream Keeper )。その夢が、いまいちわたしには、わかりません。クリスマス・コーラル風のメロディーも入っているし、息が続く限りのアルト・ソロも入っている。終わり近くで、アコースティック・ギターとベースのピチカットでのデュエットで、またしてもスペインを連想してしまうアホなわたし。(解説、読んでみっか...。)今のところ、コーラスが重要な働きをしていると感じました。
 ディスク・ユニオン配下のマイナー・レーベルでの発売です。この手の音楽は売り難くくなったのが、時代の風潮ですかね。第一作はSJジャズ・ディスク大賞(金賞)だったと思います。根強い人気があるので、もう少しマーケットが広いといいですね。別にDIWが悪いというのではありませんが、国内盤だから割高で、売り場で手を出し難い。

 この三枚、参加人数が多い分、収録時間も、51分54秒、51分51秒、48分38秒と長めになっています。

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2006/02/04 ものずき烏

(投稿済みのチャーリー・ヘイデン)



オーネット・コールマン:アット・ザ・ゴールデン・サークルVol.1&2

2006-02-03 | 音楽 の 紹介



 トレンチ・コートを着込んだオーネット・コールマンが雪国にいる。肌が黒い人トレンチ・コート、それにシルクハット? それだけでも違和感があるのにぃ~、なおかつ、雪の白さが加わって アンマッチ。場所は、スウェーデン、それも12月だって。寒そう~

AT THE GOLDEN CIRCLE: Ornette Coleman

"The Golden Circle Vol.1" Blue_Note(JPN)BNJ-71045
Faces And Places / European Echoes
Dee Dee / Dawn

"The Golden Circle Vol.2" Blue_Note(JPN)BNJ-71046
Snowflakes And Sunshine / Morning Song
The Riddle / Antiques

Ornette Coleman (as,violin,tp) 
David Izenzon (b) Charles Moffet (ds)
1965/12/04
 ふところ手で、よーく もみほぐしながら血行をよくして、ステージに立ったのでしょう。ジャケットと録音時期からの先入観があるせいか、ふところ手でも効果の得られないドラマー(チャールス・モフェット)の ノリが気にかかります。ここまで聴いて38分59秒。わたしの手も冷たいのか、もう一枚目が終わり。
 二枚目の開始はヴァイオリン、そしてトランペット。この二つを演奏するときは、アルト・サックスを吹かないようだね。ベースのアルコ弾きとヴァイオリンの弦楽二重奏でクラシックを意識した演奏をしています。そろそろ、ドラムもアイドリング完了。デヴィッド・イゼンゾンのベースが現代音楽風で、ジャズ(ブルース)をルーツにオーネット・コールマンが浪々と吹きまくる。二枚目、所要44分22秒。
 もちろん、このトリオは ピアノ・レスで いやが上にも緊張感はピリピリ。前二回の弦楽四重奏とか管楽五重奏を含んだセッションと違いオーネット・コールマンに遊びはありません。
 このアルバム(『アット・ザ・ゴールデン・サークル』)は、SJ誌のジャズ・ディスク大賞(金賞)受賞作のブルー・ノート・レーベル作品ということで、途切れなく店頭に供給されていると思います。

 わたしのコレクションでオーネット・コールマンのコレクションはこのトリオが4セット。(他にパット・メセニーとのものが1枚。)
 ピアノ・レスのサックス・トリオの原型は、ソニー・ロリンズかと、考えているのです。


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2006/02/03 ものずき烏

(オーネット・コールマンの参考記事)
2005-06-12 オーネット・コールマン:チャパクア
2006-02-01 オーネット・コールマン:タウン・ホール 1962
2006-02-02 オーネット・コールマン:クロイドン・コンサート

オーネット・コールマン:クロイドン・コンサート

2006-02-02 | 音楽 の 紹介

 ’68頃、日本グラモフォンかポリドールで出ていたと思うのですが、長いこと入手できませんでした。これは80年代末か90年代初頭、徳間ジャパンでプレスした、たぶん最後のLPでしょう。このあとは当然の如くCD。

CROYDON CONCERT: Ornette Coleman

"An Evening With Ornette Coleman"
( Croydon Concert )           Freedom(JPN)25BLL-3008/3009
Sounds And Forms For Wind Quintet (Movement 1~10) *
Sadness / Clergy man's Dream
Falling Stars / Silence
Happy Fool / Ballad / Doughnuts
Ornette Coleman (as,violin,tp)
David Izenzon (b) Charles Moffet (ds)
* Virtuoso Ensemble
Edward Walker (fl) Derek Wickens (oboe) Sidney Fell (cl)
Cecil James (bassoon) John Burden (horn)
1965/08/29
 徳間といえば『オハイオ・ユニオン』という幻の名盤を復刻したので、わたしには有名です。この『クロイドン・コンサート』の盤は、シングル・ジャケットに内袋にいれたレコードが二枚重ね。お手軽ではと思いますが、そのうち投稿予定のアンソニー・ブラックストンの『フォー・アルト』の英国盤がこの形態でしたので、オリジナルを尊重したものでしょう。ということは’68に出た国内盤は、ジャケットでモディファイがあったことになりますが、当時その盤は、SJ誌のジャズ・ディスク大賞の銀賞だか金賞だったんですよ。まぁ、ジャケットを気にするのは、それだけわたしの浸透が浅いということなんですがね。SPレコードを御覧なさい、内袋だけでジャケットなんかありません。それで録音がダイレクト・カッティングという優れものでLPよりいい音で再生できるんです。
 『タウン・ホール 1962』には弦楽四重奏という、ジャズという庶民的な音楽とはかけ離れた、高級そうなものが入っていました。このアルバムには管楽五重奏(音学ではなんとよぶ?→これでいいみたい。Wind Quintets)が、のっけから入っています。オーネット・コールマンが入っていない演奏を短いけど10曲も続けられます。このクラシック指向の現代音楽風の不気味ともいえる音楽をイントロダクションにして、なにが始まる。怪談映画のドロ・ドロみたいだね。
 前座の管楽五重奏を引き継ぐように、ベースのアルコ弾きが、またもや不気味な前奏。オーネット・コールマンのアルトが出てきて、ほっと一安心。やっぱし、リズムを強く打ち出して貰わんことには、楽しめない。
 Falling Stars ではオーネット・コールマンがヴァイオリンを弾きます。弦楽四重奏でなくて管楽五重奏を前座にしたのは、この都合もありそうです。尚且つトランペットも吹きますが、かつてのメンバーのドン・チェリー(tp)に似ています。このトラックだけでも面白い。
 このアルバム。トータルで1時間18分02秒、時間が許せるときに、管楽五重奏をふくめて通しで聴くべし。(言っておくけど、ラジオ放送にリクエストしたって、かかりっこないよ。)

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2006/02/02 ものずき烏

(参考記事)
2005-06-12 オーネット・コールマン:チャパクア
2006-02-01 オーネット・コールマン:タウン・ホール 1962

 ネット・サーフィンしていましたら徳間ジャパンがフレッシュ・サウンド(スペイン)から著作権で訴えられているのを見つけました。この『クロイドン・コンサート』も復刻のシリーズのようです。裁判の内容はチンプンカンプンですが、創作活動をした演奏家は蚊帳の外じゃないかな...。そしてジャズ・ファンにも係わり合いがなさそ~。アブストラクトを転載し、URLをつけておきましたが、リンクはさせておりません。「甲が乙を...」という文体で、読む気も起きない。

1999年9月9日 ジャズレコード事件
大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 スペインの音楽レコード会社とレコードの輸出入販売会社は、徳間ジャパンコミュニケーションズ他が、アメリカのジャズ・レコード製作会社からライセンスを得て製作販売しているレコードが、著作隣接権を侵害し、かつそのジャケットが著作権を侵害するだけでなく、不正競争防止法に触れるとして、レコードの販売差し止めと謝罪広告を求めた。裁判所は、著作隣接権については平成8年改正法施行前に製作されたものには及ばないとした。ただ、4枚のレコードのうち、1枚のジャケットのみ原告の著作物と認め、その販売を禁じたが、他は原盤ジャケットの複製として請求を却下、また謝罪広告も認めなかった。
http://www.translan.com/jucc/precedent-1999-09-09a.html

2000年7月28日 ジャズレコード事件(2)
大阪高裁/判決・控訴棄却
 レコードの輸出入販売会社は、徳間ジャパンコミュニケーションズ他が、アメリカのジャズ・レコード製作会社からライセンスを得て製作販売しているレコードが、著作隣接権を侵害し、かつそのジャケットが著作権を侵害するだけでなく、不正競争防止法に触れるとして、レコードの販売差し止めと謝罪広告を求めた。裁判所は、著作隣接権については平成8年改正法施行前に製作されたものには及ばないとした。ただ、4枚のレコードのうち、1枚のジャケットのみ原告の著作物と認め、その販売を禁じたが、他は原盤ジャケットの複製として請求を却下、また謝罪広告も認めなかった。この事件は平成8年法改正によって、著作隣接権の新法以前に遡及することとの関係もあり、原告は差止めを求めて控訴したが、裁判所は、被告は平成9年2月13日以降、商品の販売を中止していて、新たに複製して販売するおそれがないとし、また他の請求もみな棄却した。
http://www.translan.com/jucc/precedent-2000-07-28.html

オーネット・コールマン:タウン・ホール 1962

2006-02-01 | 音楽 の 紹介

 ジャズのイノベーターであるオーネット・コールマンを三連投するつもりです。わたしのコレクションでは、オーネット・コールマンはこのアルバムからとなっています。事実上は、オーネット・コールマン登場時のメンバーがそれぞれで活躍していますので、系統だった研究をするならデビューのときから遡って聴くべきでしょう。わたしは単なるジャズ・ファンで堅苦しい要求をされても対応不可能。フリー・ジャズで理屈をごねたい人は、はた迷惑にならぬように、わたしの目に入らぬ所で勝手にほざいて下さい。フリー・ジャズを有難がって聴く変質的自己チューがいまだに目に付く。わたしは迷惑だし、演奏しているオーネット・コールマンも、はた迷惑な自己チューの罪を転嫁されてしまい気の毒だ。他人の罪を背負わされるのはイエスにだけまかせておけ。

TOWN HALL,1962: Ornette Coleman

"Town Hall,1962" ESP(JPN)BT-5001
Doughnut / Sadness / 
Dedication To Poets And Writers *
The Ark
Ornette Coleman (as) David Izenzon (b) Charles Moffet (ds)
*)
Selwart Clark, Nathan Goldstein (violin) 
Julian Barber (viola) Kermit Moore (cello)
1962/12/21
 それまでのジャズとは違うスタイルで演奏している、ただそれだけ。有難がって聴く必要なんかない。のっけからアルト・サックスを吹きまくる。それが単なる聴衆のキャッチだけではなく、ずっと続くというスタイル。今まで聴いたこともないような異民族の音楽とか、獣たちの叫びが思い浮かぶが、ただそれだけ。思想も哲学も語ってはいない。
 オーネット・コールマンからブルースのルーツを聴き取るか、現代音楽との融合を感知するか、聴く人の感性や知識が問われるのは事実である。ジャズばっかし聴くんじゃねぇ。本を読め、本を!。そしてその知識は表にださずに感性を磨けっていうのが、フリー・ジャズを楽しめる前提じゃねえかな。
 モーツアルトで言及した弦楽四重奏が一曲入っています。演奏家だけじゃなくて作曲家でもあるぞという、オーネット・コールマンの自己主張でしょう。


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2006/02/01 ものずき烏
(投稿済みの ↓ オーネット・コールマン)
 以下は、わたしの 【主 張】
 2005-10-06 に 「ドン・チェリー:ムー」を投稿した際、フリー・ジャズ信奉者と想定される自己チューから、望むものが得られなかった不満からか、書き手のわたしを攻撃する不愉快なコメントを書き込まれました。そこで、今回は予防線(バリアー、結界)を張っておきます
 インターネットの書き込みが「便所の落書き」同様だという見解がありますが、ブログのコメントは、個人住宅の便所通りすがり に便所を貸して、居住者に不快な落書き を許すほど、わたしは寛容でもなければ、人間が出来てもおりません。
 迷惑な病原菌をもつ 通りすがり は、公衆便所(掲示板)も利用すべきではなく、ご自宅の便所(ブログまたはホームページ)を使用すべきなのです。それが公衆衛生で、保健所の管轄です。

 ルールとか法律は、性悪説 を前提にしているから必要なのである。それで、悪い人間は法に触れなければ正義だと嘘ぶく。だから、生産もせずに、他人の仕事に口出しだけして偉そうに振舞う 不正義が幅をきかす。 大きな間違いだ! お互いが信じあえる 性善説 がまかり通る世界を、若干でも残さないと、人の心がすさぶぞ。