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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

石仏に彩色するということ[30]

2017-03-09 23:09:33 | 民俗学

石仏に彩色するということ[29]より

鬼ヶ城道祖神

 

峠の青面金剛

 

 昨日触れなかったが、実は鬼ヶ城にあった道祖神には、うっすらではあるが彩色されたような痕跡がある。あらため写真をみてみよう。向かって左側は女神になるのだろうか、両手で徳利のようなものを持っている。したがって向かって右側が男神であって、持っているのは盃ということになるのだろうか。はっきりはしない。持っている盃のあたりから下体に朱の色がかすかに見える。同様に女神の方にも徳利のあたりから下体にかけて朱の色が見える。

 実はこの道祖神のところに向かっては、大久那から合戸に向かう峠のところから北へ歩く道を入っていく。この峠のところに以前「大久那へ」でも触れた石仏群がある。3体は覆屋に納められていて、その中の1体は青面金剛である。ほかの2体も含め明治3年ころに建てられたもののようで、それほど古いものではないが、立派に石像である。この青面金剛もよく見るとわずかながら彩色痕が見られる。写真でははっきりしないが、とりわけ頭上にあげられた日月に朱の色が残る。そう見ていると合掌から上の上体にも色が付着しているようにも思えてくるがはっきりはしない。このあたりでは朱の色を石神に塗る習俗があったと思われるが、すでにこのあたりに話を聞こうとして聞くことのできる人は住んでいない。

続く


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