Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

不登校児童の数に揺れるなかれ

2009-08-08 23:06:52 | ひとから学ぶ
 驚くべき報告が昨日の信濃毎日新聞にあった。「県内の小学校で2008年度、病気や経済的な理由以外で年間30日以上長期欠席した「不登校」の児童は千人当たり5.0人で、全国最多」というものである。文部科学省の学校基本調査速報がその情報源という。1992年に3.0人でやはり全国トップだったというのだから、もともと不登校が多い県というのは承知のことなのかもしれないが、それにしても全国トップというのは衝撃ではないだろうか。

 ごく一般的な印象で述べるなら、都市部ではなく地方の農村部だから、子どもたちはおおらかに育ち、不登校になる理由など見つからない、というのが長野県内の大人たちのイメージかもしれない。なにより学歴優先を目指す都市圏の環境ではない。当然のこと大都市やその近郊に比較すればおっとりしていることは昔も今も変わらないはず。にもかかわらず全国トップというその意味は何なのか、新聞ではそのへんまことは何も触れていない。もちろん速報だというのだからその理由まで推測できていないのだろうが、ひとクラス40人だとして5クラスあれば1人が不登校という計算になる。実は200人に1人ということだから印象的にはそれほど多いとは思わない。むしろなぜ他県は少ないのかという疑問すら湧く。小学校は6学年あるから例えば200人の6倍の1200人に6人いる計算となる。ほぼ5.0人に近いことから、6年生に5人不登校がいればほかの学年には1人もいないということになる。確率の話だから毎年同じにはならないだろうが、息子が通った学校でも高学年になると不登校になる児童もいた。すると確率からいけばすでに1000人に5.0人という確率を上回ってくる。ようはこの0.5パーセントという確率はけして高くはないということである。他県の数値を見ていると長野県の小学校に違和感を覚える。果たして不登校とは何か、そしてその不登校を防ぐ必要があるのか、それとも無理をして通う必要はないと思うか、というところだ。

 ところで中学校になるとぐんと不登校は多くなって、長野県では32.2/1000人だという。40人ひとクラスとして1.3人。これもけして多いという印象を受けない。なぜならばこれも息子の中学時代の記憶であるが、40人もいないクラスに1人2人はいたものだ。この数値が全国では5番目に多いという。これも意外で、他県の少なさを感じる。いったい大都市圏はどうなのか、小中学校をあわせた比率は長野県14.2人で全国で2番目に値する。トップは神奈川県の14.5人。東京10.9人、愛知12.6人、大阪12.1人と長野県とは離れている。どこが多いのか見ていくと、岐阜13.8、栃木13.7、奈良13.7、高知13.6といったところで必ずしも人口過密地域が多いわけではない。

 なぜ長野県の小中学校に不登校が多いのか。いじめにあえぐ子どもたちもいるだろう。都会から移り住んだ人たちの子どもには、そもそも学校に通わせない親もいる。しかし多様さからいえば大都市圏に劣るはずだから、大都市圏には一つの画一化された視点があって、それは多様さを溶かしてしまうほど大勢の子どもたちがカバーしてしまうのかもしれない。

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