VOL2 わ・た・し流

おとぼけな私ですが 好きな本のことや 日常のなにげない事等 また 日々感じたことも書いていきます。

桃花徒然 その100歩生蓮

2024-03-31 12:43:46 | 永遠の桃花

素人です、と断って和訳してくださっている

敏敏公主さんの「歩生蓮」50話まできました。

で、最初からまとめて読み返してみました。

色々 伏線が張ってあって 好奇心に駆られる。

 

紅蓮の花の精で 花妖の王(花主) 長依は 自分が密かに

思いを寄せる親友  桑籍を手助けして鎖妖塔に入り

桑籍の思い人 少辛を救い出すも 

自身は 崩れてきた瓦礫の下敷きとなって死んでしまう。

長依の最期を看取ったのは  三殿下の連宋だった。

 

話しはそこから  人間界に飛び 12歳になった成玉の

エピソードが語られる。

連宋はその王朝の大将軍 連三として登場する。

十数億ある人間界(凡界)のひとつの世界

大煕朝時代  (この世界の一年は 天界の一日に相当する)

この世界に 長依が人間として転生しているのだが

この時点では 人間界の連三将軍の従妹 姻蘭が 長依の

記憶を持つ者として登場している。

しかし 連三は 姻蘭の性格は  長依の性格と全く違うと

考えていた。

それよりも  ふと知り合った  成玉の方に長依の面影を

見て 興味を惹かれよくよく観察するのだった。

 

ここで 不思議なのは  成玉は一切過去生を知らないが

自分の生育係は  皆 花の精霊であり、花妖の言葉を理解

し、花の仙も見分けられる事。

長依の魂が 二つに分かれ  成玉は敏捷な身体と好奇心。

姻蘭は動かない足と長依の記憶を持つ、感じ?だろうか?

 

連宋は 長依が亡くなった後の花妖主を 東華帝君から

無理矢理押し付けられ  水神の長と兼任(?)している。

 

あっという間に成玉は17歳になり、連三は成玉の正体が

王族の紅玉郡主である事を知る。

 

成玉の方は15歳になると、都を離れて

しばらく麗川という土地で過ごした。

そこで李明風(世子)に命を助けられ  明風に心惹かれる。

明風が 護衛として成玉につけてくれた  蜻蛉を 姉のように

慕っていたが  自分の浅はかな行動が原因となって 

蜻蛉は死に  明風からは  立ち直れないほどの仕打ちを受け

命にも及ぶほふどのダメージを受けたのだった。

成玉の養育係  朱とう(木編に菫)は強力な封印をかけて

成玉の記憶を消した。

 

ここで、成玉が 古墳に忍びこんで李世子の為に本を

取ってこようとしたエピソード。(蜻蛉の死)

古墳にまつわる伝説なのだけど、どうも 祖てい神と

関係がありそう。そして不思議なのは、伝説の女神(?)

は  将来 復活した後に 水神の長なる神の妻になる運命だ

と。しかも  その水神はその時点で まだ生まれていない

・・・これって~・・・

そういえば、枕上書番外編では  復活した祖てい神は

連宋殿下の元極宮にいて  魂を養う為に結界を張って

閉閑していた・・・

ものすごく好奇心かき立てられるんですけど😅

 

歩生蓮  また  ぼちぼち解説などできたらいいんですが。

 

 

 

 

 


桃花徒然 その99

2023-06-05 11:09:00 | 永遠の桃花

歩生蓮を楽しみに読んでいます🤗敏敏公主さん

本当に感謝ですヽ(^o^)丿

で・・・備忘録として  またまた解説などを😅

 

桃花シリーズでお馴染みの連宋三殿下と 成玉の物語。

三部まで出版されたところをみると、桃花シリーズで

一番人気があるのかもしれません。

成玉は 人間界から上がった神仙という設定になって

いたけど、歩生蓮の話しをみると  もともと

二十七天にいた紅蓮の花妖であった事が語られています。

花妖は弱い存在で 魔族のそばで存在している事が多く

統率する長も存在していなかったし 

花木が人形(ひとがた)となれるのも稀なことだった

ようです。唯一  生育地の気がよくて仙となり 人形を

取れる花木もあり、十里桃花の迷谷がその代表ですね。

 

紅蓮の花妖だった長依が  成玉の前身として登場します

が、花王になって後  親友だった天帝の二男 サンジの

為に命を散らしてしまいます。

サンジが、鎖妖塔から少辛を救う時 手助けをした

長依は  崩れた塔の瓦礫にのまれたのでした。

連宋は駆け付けましたが 間に合いませんでした。

 

連宋が長依と出会ったのは 鬼族との戦いの後で

四海八荒に平和が戻って来たころ。

魔族の友人の飲み友達に紹介され  連宋は長依に

興味を持ちました。

サンジと少辛の駆け落ちはそれから二万年後です。

 

おそらく  憐れんだ連宋が手を貸したのでしょう、

長依は人間界に公主 成玉として転生し、連宋も長依を

見守る為に人間界に降りている設定になっています。

人間  成玉の傍には  花の妖たちが 、人形になれたもの、

なれていないもの含めて 仕えています。

 

成玉は7歳で すでに孤児となるも非常に逞しく

成長し、すでに 一番は「お金儲け」😁

男装して妓楼に通い  散財していますが

それも実は 田舎出の花妖を救うため。

世間知らずの珍道中話が繰り広げられます。

 

十里桃花や夢幻の桃花のエピソードとすり合わせ

ながら読み込んでいくと 面白い。

何事も深く考えずに  思いつくまま浅はかな行動を

する成玉を愛でて フォローする優しい連宋が

いいですね。

さて  お話しのこれからの展開、ワクワクします🤗💖

 

 


桃花徒然 その98

2023-03-14 22:03:41 | 永遠の桃花

枕上書 番外編より

 

八葉殿の中  鳳九はベッドに腰掛けて手の甲に顎を

乗せた姿勢で しばし回想にふけっていたが

現実に意識を戻したと同時に  こちらへ向かって

急ぎやって来る足音が聞こえた。

顔を上げると、迎書閣で閉閑しているはずの帝君

が もう目の前に来ている。鳳九は 少し混乱した。

帝君は彼女がベッドに座っているのを確認して

少し安堵したようだ。じっと彼女を見つめ、

近づいて手を伸ばし、額に指を触れると 

「どこか具合の悪いところは無い?」と尋ねた。

鳳九はボーっとしていたが  意識を戻して

少し微笑むと 帝君の手を掴み、軽く揺すった。

帝君を見上げ、「言っても信じないかもしれないけど、

帝君、私  二十六万年前に戻って  十四万歳の貴方に

会ったみたい」

しかし、帝君は少しも驚いたふうもなく言う。

「あの頃の私は  どうだった?」

鳳九「あの頃の帝君も  とても素敵だったわ。

・・・どうして驚かないの?」

 

帝君は鳳九の  寝起きの乱れた髪を少し整えて

「章尾山に 遊びに連れて行ったり 水沼澤に

見識を広める為に連れて行ってあげたりしたのだから

良かったのは当然の事」

 

鳳九は大きく目を見開いた。

「ど・・どうして知っているの!?」

 

帝君の説明は  こうだった。

あの時、ゴンゴンが誤って過去に飛んだ後、租てい神が

鳳九をも二十六万年前に送った事は、帝君に知らせる

必要があるとは思わなかった。が、幸いにして  三殿下は

慎重だった・・自ら仰書閣に赴いて 帝君に知らせた。

それを知った帝君が二人を追いかけるのは当然の事。

しかし、時を遡る事は いかに帝君であっても不可能

で、祖てい神に頼むしかない。

祖ていは承諾したものの、曰く

〈過去へ人を送るには 何らかの きっかけが必要である。

ゴンゴンと鳳九が 同じ時限に辿り着いたのは  天の意に

よるところと言っていい。帝君が何としてでも二人を

追いかけたいというのなら  自分は力を尽くすけれど、

帝君が二十六万年前に戻れるかどうかは  彼自身に

その機縁があるかどうかにかかっている。

それと、二十六万年前には すでに東華帝君が存在している。

今の帝君がその時代に行くと  その時代に存在している

帝君に同化して存在する事になるので  帝君は現在の記憶

を持たない。それなら、時間を遡る意味もない〉

との事だった。

 

しかし  帝君はそうは思わなかった。

あの時代に遡った彼は  確かに現在の記憶はなかった。

しかし、鳳九が箱に手を触れた瞬間、機縁が降下して

 あの時代に属さない帝君、鳳九、それと  碧海蒼霊に

いたゴンゴンは  再び戻って来たのだった。

 

帝君の説明を聞いて 鳳九は身震いした。

「そういう事だったのね。私とゴンゴンがこちらへ

戻ると、あの時代に残した全ての形跡と記憶が

消えてしまうと租てい神は言ったわ。だから

私たちの事を覚えている人は誰もいないって」

鳳九の目に 生き生きとした  嬉しそうな色が浮かぶ

「私は 帝君が私たちと一緒に過ごした時間を

覚えていないのは  とてももったいないって

思っていたのだけれど、でも・・・本当に幸運

だった。って  今は思うわ」

鳳九は帝君に抱きついて 喜びを噛みしめていたが

急に何かを思い出したように顔を上げると、

彼の手を引っ張って  自分の横に座らせた。

そして、少し思いつめたように言った。

「だけど、一つ疑問があるの。あの時代の帝君は

私を知らなかった。初対面なのに どうしてあんなに

すぐ私を好きになったのかしら?私の口から

貴方の未来の妻だと聞いただけなのに、最初から

私に優しくてくれたよ?」

「現実では、私が ずっと貴方を追いかけて

本当に長い時間をかけて、ようやく帝君が私を

好きになったのに」

 

彼は 手をあげて 彼女の額をコンコンとノックした。

「現実は  貴女が太晨宮で四百年間  仙婢として働いた

といっても、私は一度も貴女に会った事はないし

貴女が長い間私を追いかけたという事も

全く知らなかった。私たちに縁が生まれ  貴女が

青丘帝姫の身分に戻った後に  初めて貴女を見たとき

私は・・・」

彼の言葉が突然止まった。

彼女は彼の横に座って、彼にノックされた額を

さすった。そして不思議そうに尋ねた。

「初めて私を見た時、貴方はどう思ったの・・・?」

 

帝君の胸に  初めて鳳九と会った日の事が蘇る。

彼女は 往生海から 波に乗って現れた。漆黒の長い髪

真っ白な衣装で  軽やかに波の上に立ち 花嫁(白浅)

を迎えに来た天族の隊列を見渡して微笑んでいた。

びっしょり濡れた長い髪が顔を更に小さく見せて

いる。九重天の神女であっても 、彼女のように

生き生きとした微笑みと、彼女のように清純で

美しい容姿を持つ者はいない。

しかし、帝君は 初見の彼女には  それほど強い

印象を持ったとは 思っていなかった。

しかし、今 思い返して見ると  当日の情景は

すべて  しっかりと焼き付いていたのだった。

その事を知って 彼はしばらく茫然としていた。

 

鳳九が再び 彼の袖口を揺すって  初めて自分を

見た時どう思ったかを問うた時 彼はようやく

意識を取り戻した。「初めて貴女を見た時から

貴女に惹かれたではないか?」

 

額をさする鳳の手が止まった。目をまん丸にして

しばらくしてからようやく言った。

「本当に?」

 

帝君は笑って  先ほどノックで痛くしたかもしれない

鳳九の額をさすった。

「だから  例え互いに知らない間柄でも 私が貴女に

会えば、すぐに貴女を好きになる。何度繰り返しても

結果は同じなのだ」

 

鳳九はしばらく茫然と彼を見つめていたが

突然 目を赤くして 彼に飛びついた。

彼の首にギュッと抱きつき、顔を彼の肩に乗せた。

すぐに、彼は自分の肩が濡れるのを感じた。

「なぜ  また泣く?」小さな声で聞く。

彼女はただ 彼を強く抱きしめて  顔を更に深く

肩に埋めた。

「私も分からないの・・ただすごく嬉しくて

だけど泣きたくて・・帝君、私を見ないで・・」

 

「うん、見ない」彼は彼女の頭を撫でて 

髪に口づけを落とした。

菩提往生の花が  壁全体に咲き乱れ

重なり合った花はまるで雲のよう・・・

佛鈴花は夜風に舞い上がる。

 

今宵は素敵な夜・・・

 


桃花徒然 その97

2023-03-08 07:23:12 | 永遠の桃花

枕上書 番外編より

 

従者は 軽くため息をついた。「もし帝君が

本気で天下を取るつもりなら 強大な 戦将と軍隊を

とっくに持っているでしょう。もし帝君に充分な

兵力があったら、魔族を抑えて 神族も諍いのない世

となるのに数千年もかける必要はなかった。

墨淵上神がいた時には 墨淵上神が神王にふさわしい

と帝君は認めていたので それらの事に手出しする

必要も感じていなかったのです。墨淵上神は父神の

嫡子、天地の正統者です。承服しない者はいない。

しかし、墨淵上神は失踪してしまった。この新世紀

の誕生は墨淵上神と少かん神が 心血を注いだ賜物。

彼らがせっかくここまで築き上げた物なのに

凡庸な者たちにみすみす崩されてしまうなど

もったいない事ではないですか」

鳳九「私が帝君を知るのは  二十六万年も経って

から・・・既に 太晨宮に隠居していて、 過去

百戦百勝の無敵な人物であった事は  史籍の中に

書かれているだけ・・・それでも、帝君は

何でも いとも簡単にやってのけるし  できない事など

ないと 私は思っていたわ。けれど、実は  これほどの

忍耐と思索を重ね、 周到で緻密な計算をして  事に

当たっているのだと知ったわ」

従「この度の事は  何と言っても確かに難易度が高い

事ですからね」

 

従者と語りあった事について 鳳九は帝君に

何も言わなかったが、 少なくとも 今の帝君に

自分は心配をかけたり煩わせる事をしてはならない

と 密かに決心した。

帝君は今  大事に当たって準備をしている最中なの

だ。手伝う事は出来なくとも、側に付き添う自分

はもっと優しく気遣いをしなければならない と。

その為、帝君が 水沼澤に行くにあたっても

本当は一緒に行って好奇心を満たしたかったが

我慢して 言わなかった。

しかし、帝君の方から 道中 身の回りの世話をして

もらいたいから 一緒に行って欲しいと言い出した。

鳳九はその要請を断われないし、何より 自分が

生まれた時にはすでに東海の底に沈んでいた

その神秘な学宮を 実際に見てみたかった。

 

結果として  彼らは水沼澤で  失踪している墨淵に

遭遇した。しかし、帝君はその事に驚いている様子

が無いように見えた。

墨淵上神は 鳳九の姑姑 白浅の師父である。その為

墨淵上神が東皇鐘封印後、七万年の眠りから目覚めた

後、鳳九はこの尊神に 何度か会った事がある。

その頃の尊神は  極めて落ち着いて穏やかで

一目見ただけで崇敬の念を抱く 超越した存在だった。

しかし、水沼澤で会った墨淵は、容貌こそ同じでも

身体に纏うオーラが全く違っていた。

二十六万年後の墨淵が 落ち着きと穏やかさを備えた

古い玉だとすると 今ここにいる墨淵は 血に染まった

刃のよう。闘争心は無く 倦怠感をもって鋭さを隠す

 もしくは 血に染まった蘭のよう。世俗の外に身を置き

心はさながら 無間地獄・・・

 

鳳九が習った史籍では 墨淵が新世紀を作った後の

失踪理由については 記述がない。

その為、この件が 少かん神と関係している事を

鳳九は知らない。墨淵上神の今の様子を見た

鳳九は、帝君に尋ねたくて  好奇心が

うずうずしたが、今はそのタイミングではない。

 

幸い  墨淵上神は  世界に興味を持たなくなって

いても  帝君の要望には すぐに応じた。

蔵書閣の中をしばらく探すと、やがて 玉で作られた

精巧な箱を出してきて、陣法図は  この中に

入っている、と言った。

 

箱は 少かん神が作ったものではなく、祖てい神から

贈られた物だったようで

蓋の右下の隅に 祖てい神の名前が描いてあるのが

見えた。

 

帝君が箱を開けて陣法図を取り出した後、

鳳九は 箱のあまりの美しさに惹かれて

手に取って  じっくり見たいと思った。

そうして 手を伸ばして箱に触れた瞬間

箱から、目が眩むほどの激しい閃光が

放たれ  鳳九は反応する間もなくそれに

巻き込まれて 意識を失った。

 

そして  目が覚めたら現世に戻っていた。