『海洋天堂』

『海洋天堂』Ocean Heaven（2010年/中国・香港）
監督：シュエ・シャオルー。
出演：ジェット・リー。ウェン・ジャン。グイ・ルンメイ。

水族館に勤めるワン・シンチョンは、妻亡き後男手ひとつでで自閉症の息子ターフを育ててきた。しかし、シンチョンは癌と診断され余命いくばくもないことを知る。彼の選んだ道はターフーと共に死ぬこと。ターフーを連れて海に身を投げるが、泳ぎの得意なターフーに助けられる。命を取り留めたシンチョンは自分がいなくなってもターフーが無事生きていけるようにと、ターフーを預かってくれる施設探しに奔走する。

奇しくも同じような題材の東京セレソンＤＸの舞台『くちづけ』を2010年の10月に見た。こちらも男手ひとつで自閉症の子供を育てている父親の話で、こちらは娘。しかもこちらの場合は一度施設に預けたが逃げだし、その時街で男に捕まり・・・以来男性が近づくと恐怖で暴れるために施設には入れられないという設定で、最後は本当に悲しい幕引きだったんですが、この作品は暖かい涙で終われるのが救いです。それでもやはり中国でも日本でも状況は同じなんですよね。大人の自閉症患者を受け入れてくれる所って少ないらしい。巣立つことのない子供を持つ親、その子への愛情が深ければ深いほど哀しいですよね。ノーギャラでもいいからこの作品に出たいと言ったジェット・リーが本当に素敵です。まじめなで不器用で、心から子供を愛する父親を好演してます。自分の存在をウミガメに託すシンチョン。ターフーと一緒に泳ぐウミガメは本当にシンチョンなのかもしれない。

-2011.7.25 梅田ガーデンシネマ-