にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『白夜行』

2011年01月31日 | MOVIE
『白夜行』(2011/日本)
原作:東野圭吾。
監督:深川栄洋。
出演:堀北真希。高良健吾。船越英一郎。戸田恵子。

昭和55年。廃ビルの中で質屋の店主が殺害された。容疑者として浮かんだのは被害者である質屋の店主桐原洋介が足繁く通っていたという質屋の客でもある西本文代。ところが文代犯人説で捜査が進められる中、文代が自殺。被疑者死亡で捜査は打ち切られることになる。しかし刑事の笹垣は納得出来なかった。そしてその後も独自に捜査する笹垣には捜査上出会った被害者の10歳になる息子亮司と、同じく10歳の容疑者の娘雪穂。二人の子供の存在が非常に気にかかるものとして残っていた。

過去にドラマ化されたときにクラックラきていた私は、今回は原作に忠実だと聞き、安心して出かけた(笑)。うん。原作ファンの方々、そら、思うところはいろいろとあるかもしれませんが、十分に安心して見られる作品となっております。原作と違う部分もありますが、決して改悪ではないと思います。いい感じに変えたんじゃないかな・・・って気がします。
過去にクラックラきたときに書いたのがコチラ
http://blog.goo.ne.jp/tome-pko/e/f8812bb374f0bd4b8d361dd17e1f9002
こちらは原作を読んでの感想。
http://blog.goo.ne.jp/tome-pko/e/1983ee22efe82a60461f016d321d2d8e
これだけ、頭にきてた私が納得したんだから、この映画は良しだと思っていただけるのではないでしょうか?(笑)。
刑事の笹垣を物語をずーっと引っ張ってく形で動かしているのが面白い。原作の出会わない二人を描くには、確かにこの方法が一番いいし、映画としての形になるような気がします。そして原作の雪穂の冷たさ、は描けていたんじゃないかな。笑わない、冷たい笑顔の雪穂を堀北真希さんいい感じで演じてましたよ。ただ、私が原作で感じたムカつきは感じませんでしたね。まだコチラの方はぬくもりがある(笑)。亮司に関しては闇を背負った感じがイマイチだったかなぁ・・・。

ちょっとネタバレ









この作品で亮司の闇はあまり感じなかったんですが、その代わり、笹垣の病床の息子、そしてその死を多くは語らない描写で入れていて、それがラストの亮司との再会の場面でリンクされてて私は「おぉ!」って思いましたね。笹垣がひたすら事件を追い続ける理由。病で逝った息子と亮司を重ね合わせ、闇の中を這いずる亮司を助けたいとの思いなんですよね。なるほど、そう来るか・・・と。原作読後感じた妙な後味の悪さはこのおかげでこの映画では全く感じないんですよ。そして挿入される亮司と雪穂の子供時代一緒に遊ぶ映像。ジーンってきましたよ。あれだけ長い原作をまとめるために、いろいろと端折ってたりまとめてたりしていて、映画の中間部分には、もうちょっと・・・って思ってしまうかもしれませんが、私はあのラスト部分でもうOKって感じですね。

-2011.1.31 MOVIX堺-

『しあわせの雨傘』

2011年01月17日 | MOVIE
『しあわせの雨傘』POTICHE(2010/仏)
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ。ジェラール・ドパルデュー。ファブリス・ルキーニ。

毎朝のジョギングが日課で詩を書くのを趣味にしている雨傘工場の社長夫人スザンヌ。元は彼女の父親が経営していた会社だったが、経営困難に陥ったところをスザンヌと結婚した夫ロバートが立て直したこともあり、「おまえはただ家にいればいい。会社やオレのことに口だしするな。」というガチガチの亭主関白。そのくせ自分は浮気し放題。そんなある日雨傘工場の従業員たちが待遇改善を求めてストを敢行。その心労のためロバートが心臓発作で倒れ、急遽スザンヌが会社代表となるが・・・。

アハハ・・・本当になんかフランスらしいお茶目でおしゃれなコメディだ。しかも舞台設定が1970年後半。まだ女性の地位が今ほどに確率されていない時代だから、余計に面白い。最初にチラシを見たとき、カトリーヌ・ドヌーヴの赤いジャージにすごく抵抗があって、一体何?おまけにタイトルも「しあわせの雨傘」って、何ともそそられないタイトルだし完全無視してたんですが、面白かった!という評判を聞き、それならば・・・と出かけて正解。面白かったです。爆笑!って感じじゃなく、全編通してクスクス笑いの連続。カトリーヌ・ドヌーヴっていくつになってもキュートですねぇ。それにしてもジェラール・ドパルデュー太りすぎ!(笑)。いや、確かに年々貫禄を増してはいましたよ。『宮廷料理人ヴァテール』ではすでにえらいことになってましたが・・・。ちょっとやせた方が体にいいのでは?(^-^; カトリーヌ・ドヌーヴとジェラール・ドパルデューと言えば私が思い出すのは『終電車』なのですが、二人のダンスシーンを見てこの作品を思い出し、二人ともに見事な貫禄なので、ちょっぴり悲しくなっちゃいました。(^-^; 久しぶりに『終電車』見直そうかしら。この作品がレンタルに並ぶころには、ぜひとも『終電車』とのカップリングで並べて欲しい(笑)。

-2011.1.17 梅田ガーデンシネマ-

『エリックを探して』

2011年01月12日 | MOVIE
『エリックを探して』Looking for Eric(2009年/英)

監督:ケン・ローチ。
出演:スティーヴ・イヴェッツ。エリック・カントナ。ステファニー・ビショップ。
マンチェスターの郵便局員のエリックは7年前に出て行った2度目の妻の連れ子二人と三人暮らし。最近特に元気がなく交通事故を起こしてしまう。幸い大きな事故にはならなかったが、同僚たちはエリックの最近の落ち込み具合の酷さに何とか彼を励まそうとするが、全く効果がなかった。彼の落ち込みの原因は、娘の孫の面倒を見ることになり、30年ぶりに会った最初の妻リリーが、以前と変わらぬ美しさを保っているのに比べ自分のあまりのみすぼらしさが情けなくなったためだった。彼の敬愛するサッカーのスーパースター、エリック・カントナのポスターに向かい、自らの落ち込みを訴えるエリック。するとそんなエリックの前に、彼だけに見えるエリック・カントナが現れ、彼にいろいろアドバイスをするようになる。

ケン・ローチ作品なのに面白い?「あれ?」と実は半信半疑で出かけたのですが・・・「面白い!」痛さがない・・・こともないですが、あのチクチクとくる痛さはない!(笑)。でもこの人の作品って痛いけど、どっか人間賛歌的なとこもあって、人を思いやる優しさってのが作品のどこかにあるんですが、この作品はそれがいっぱい。エリックの同僚たちが本当に最高です。最近エリックが笑ったところを見たことがあるか?ないだろう?一人づつ笑わせて来い。と言って一人づつがエリックに構いに行くシーンには心があったかくなります。その仲間の大切さを教えてくれるのもカントナ・・・と言っても実際にはカントナはエリックの心の中で生まれたものだから、彼の心の中に、仲間の優しさ、大切さはずっとあったのでしょうけどね。とんでもないことに巻きこまれた息子たちを助けるために仲間たちに相談に乗ってもらう。そしてその仲間たちも最高にいい奴たちで、みんなで集まってすごい作戦を立てる。ラストのカントナ作戦は最高です。最初はエリックに面倒見てもらっておきながら、なんなんだよこの息子たちは。なんて思って見てたんですが、血が繋がっていないっていう部分で本当にエリックに甘えていいのかどうかわからずに反抗して粋がってたんですね。
カントナがエリックに最高のプレーは?って聞かれてシュートではなくパスと答える。仲間を信じるからこそ出来るプレー。信じるってことは甘えることなのかもしれない。そうですよね、信じられない人間に甘えられる訳がない。
やっぱり見終わって清々しい気持ちで劇場を後に出来る作品っていいですよね。

-2011.1.11 テアトル梅田-

『人生万歳!』

2011年01月12日 | MOVIE
『人生万歳!』WHATEVER WORKS(2009年/米)

監督・脚本: ウディ・アレン
出演:ラリー・デヴィッド。エヴァン・レイチェル・ウッド。パトリシア・クラークソ

かつて物理学でノーベル賞候補になったことがあるボリスは、受賞を逃したことで、厭世的になり自殺を図るも失敗。命は助かったものの妻とは離婚。仕事も失くし、今では古いアパートに住み、友人たちに皮肉たっぷりな人生観を論じ、子供相手にチェスを教えて日銭を稼ぐ生活を送っていた。そんなある日彼のアパートの前に田舎町から家出してきたというメロディという娘がいた。空腹で何か食べ物が欲しいという彼女に同情し、家にあげたボリスだが、一晩のはずがそのままメロディはボリスと共に暮らし始める・・・。

いやぁ、なんてウッディ・アレンな映画なんだろう(笑)。IQ200でとにかく自分は天才である。頭の悪い人間は嫌いだ。宗教を信じる奴も嫌いだ。口を開けば、いろんなことを批判。生きていることに嫌気を感じながらも、過去の自殺未遂のせいか、とにかく日々を過ごしているボリス。そんなボリスのところにかわいく若い家出娘が転がりこんだことでボリスの生活が変わり・・・というだけの物語だと思ってたのですが、まずメロディの母親が娘を訪ねてやってくる。娘に依存するどうにもいただけない女・・・ところが、この母親が・・・。そして次に父親がやってきて・・・。もう楽しすぎる。面白すぎます。「そんなバカな?」な連続。好きだなぁこういうの。「人生は厳しい。だけど楽しむためには何でもアリ」確かにそれでいいんじゃないって気がしますね。人さまに迷惑さえかけなきゃ楽しんだもん勝ちですよ。気持のいいラストの作品でした。

-2011.1.11 梅田ガーデンシネマ-

『アンストッパブル』

2011年01月07日 | MOVIE
『アンストッパブル』Unstoppable(2010/米)
監督:トニー・スコット。
出演:デンゼル・ワシントン。クリス・パイン。ロザリオ・ドーソン。

ペンシルバニア州の操車場。ベテラン機関士のフランクと若い車掌ウィルは今日初めて顔を合わせ、機関車1206号へと乗り込むことになる。互いの年齢と立場の違いから反発しあう二人。そんな二人に貨物列車777号が、運転士のミスにより暴走を始め、しかもその777号には大量の化学物質が搭載されていた。加速する777号が住宅地に入り転倒すると大惨事は免れない。会社が講じる手段では777号を止めることは不可能だと判断したフランクはウィルと共に777号の後を追う。

映画が始まってすぐ、物語とは関係ない・・・こともないんだけど、まず777号の暴走の発端に呆れかえってしまった。ありえない・・・。と言ってもこれは2001年に実際に起こった事故を元にしているんだから、ありえたんだけど、あの仕事の態度にマジでムカついてしまった。あとウィルもうざい!仕事中に電話するなよ!先輩の言うこと聞けよ!自分のミスなんだから素直に謝れよ!大人の余裕であしらって対応しているフランクにさすがだねぇ・・・なんて思いながら見ていた(笑)。でもこの若気の至りのような反発とかわいげなさが後から生きてくるんですよねぇ。フランクのベテランとしての的確な判断と行動を目の当たりにして、ウィルの仕事に対する意識が変わる。777号と1206号の連結作業中にケガをしたウィルの状態を尋ねる本部の無線に応えたフランクのセリフがすごくよかった。「ウィルは変わった。」ケガをして状態が変わったのと、彼の内面が変わったのとをかけたんでしょうね。いい先輩だよフランク。

何か大変なことが起こって、それに立ち向かうプロ!な男たち。目新しくはないベタな物語だと思う。だけどベタでもこういうのって面白いんだ。私はこういうのは好きだなぁ。ついでにウィルのうまく行ってない家族・・・ってのもベタなんだけど(笑)。

-2011.1.7 アポロシネマ-

【観劇】『江戸宵闇妖鉤爪』

2011年01月02日 | STAGE
本当は表題の作品だけじゃなくって、大阪松竹座「寿 初春大歌舞伎」の夜の部を観に行ったんですが・・・(^-^;
夜の部の演目は
一、八陣守護城 湖水御座船の場
二、廓文章 吉田屋
三、江戸宵闇妖鉤爪
の三作品。
まず八陣守護城は、徳川家康に毒酒を飲まされて船で帰郷する加藤清正のお話・・・って登場人物の名前は替えられてますけどね。これは以前文楽で見たのですが、文楽より地味に感じたなぁ・・・。
次の廓文章 吉田屋は、吉田屋の夕霧に入れあげて借金を作り感動されてしまった藤屋の若旦那伊左衛門が、夕霧が病と聞き吉田屋にやってきて・・・という最後はめでたいお話。これも以前文楽で見てるんですよね。すねまくりの伊左衛門は文楽の方がかわいかったな・・・。
となぜか、この二作は文楽の方がよかったって感じてしまった。
ま、これは今日のメイン江戸宵闇妖鉤爪に気持ちが行ってるからかも・・・(^-^;

江戸宵闇妖鉤爪
元は言わずと知れた江戸川乱歩の「人間豹」
この作品の二作目『京乱噂鉤爪』が以前BSだったか・・・で放映されて録画して見てすごく面白かったんで、この第一作目がすごく観たかったんですよねぇ。
時は幕末、この女と狙った女を百日という日を定めて殺める人間豹恩田乱学。商家の娘お甲を手にかけ、それから一年後女役者お蘭を手にかける。二つの事件の犯人が人間豹恩田乱学と知った明智小五郎に、恩田乱学自らが挑戦状をたたきつける。

二作目の『京乱噂鉤爪』の方が物語としてまとまっているような感じがしましたが、それでもやはり面白い!
小五郎の妻女がお文!その名前だけで感動するなよ・・・って話ですが、やっぱ感動しますよ(笑)。
生で見る宙乗りいいですわぁ。3階席だったもんだから「キタキターッ」って感じがあって間近なので感動!

さて、明日はDVDに落として残してある『京乱噂鉤爪』をもう一回みようかな。

-2011.1.2 大阪松竹座-