にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【歌舞伎】『七月大歌舞伎』(昼の部)

2012年07月27日 | STAGE
『七月大歌舞伎』(昼の部)
「双蝶々曲輪日記」引窓
南与兵衛後に南方十次兵衛:梅玉
母 お幸:東蔵
女房 お早:孝太郎
濡髪長五郎:我當

新領主から亡父と同じ郷代官に任じられた出仕した与兵衛の留守宅に、濡髪長五郎が訪ねてくる。与兵衛の継母であるお幸は長五郎の実の花だった。突然の訪問に喜ぶお幸だったが、長五郎は人を殺めたため母に永の暇乞いにやってきたのだった。やがて郷代官になった与兵衛が戻る。なんとしても逃がしたい母、その気持ちを汲む与兵衛。その気持ちに甘えるわけにはいかぬとお縄にかかろうとする長五郎。

いい話だ。こんな物語だったのね。それにしても与兵衛の梅玉さんいいわ・・・。以前CATVで見た『京乱噂鉤爪』では古田新太さんに似てる・・・というインパクトが強く、それ以外でもどちらかというと表情の動かない役が多い印象があったんですが、なんかすごくいい人でお茶目で・・・。こういう軽い感じの役もなさるんですね。
しかし、あの後長五郎がどうなったのかが気になる。この後の話調べてみよう。

「棒しばり」
次郎冠者:又五郎
太郎冠者:染五郎
曽根松兵衛:錦之助

狂言の「棒縛」を元にした作品で、盗み酒をする次郎冠者、太郎冠者を置いて出かけなければいけない主人松兵衛は、一計を案じ、次郎冠者を棒で縛り、太郎冠者を後手に縛りつけて外出。ところが二人は縛られたままでもなんとか酒蔵に入り込み盗み酒をする。
というなんとも愉快な舞踏劇。これはとにかく楽しい。こいうのを生で見るとやはり歌舞伎役者さんってすごいなと思いますね。

江戸絵両国八景「荒川の佐吉」
荒川の佐吉:仁左衛門
大工 辰五郎:又五郎
仁兵衛娘 お八重:孝太郎
鐘馗の仁兵衛:歌六
成川郷右衛門:梅玉
相模屋政五郎:吉右衛門

やくざの子分となり三下稼業の佐吉が、親分子分の成行きから目の不自由な子卯之吉を育て、やがてその子と別れることになる人情話。いい話だ・・・。仁左衛門さんはやはり男前だなぁ・・・と見惚れていたら・・・。ここでもまた梅玉さん!シブい!かっこいいなぁ。仁兵衛の子分清五郎役の錦之助さんをばっさりたたっ斬って、花道を行く場面ではクラクラきました。ああ・・・でも私の心は吉右衛門さんなんですよねぇ。大親分の貫録抜群な吉右衛門さんは素敵だ。いい男三人にクラクラくるなんて贅沢な芝居なんだ(笑)。それにしてもこの佐吉っていい男だねぇ。卯之吉と別れることになったときに、今まで卯之吉のために目で楽しむことはしないようにしてきた。だけど江戸の最期に花見をしたいと言う場面で心が熱くなった。
仁左衛門さんの佐吉。梅玉さんの成川。吉右衛門さんの政五郎。こんな贅沢な配役でこの作品を観られて本当によかった。堪能した。

実は今回、夜の部を見てから、やはり昼も観たいな・・・とチケットを確認したら三階席の空きが少なく、何気に見た一階席が無茶苦茶いい位置が残ってた。そして・・・思わずポチしてしまった。てもここで見てしまうとやはりこの位置で見たいと思ってしまうんですよねぇ。よし!決めた次回から、吉右衛門さんは一階席で観る!ただし関西に限る(笑)。

-2012.7.25 大阪松竹座-

【落語】第29回桂米二音太小屋寄席

2012年07月26日 | 落語会
第29回桂米二音太小屋寄席(2012.7.22 音太小屋)
-演目-
桂小鯛さん「延陽伯」
桂米二さん「遊山船」
桂雀五郎さん「短命」
桂米二さん「皿屋敷」

この場所。普通に考えればそうそう迷う場所じゃないんだけど、なぜか迷ってしまうので、少し早めに・・・と思ったら思いっきり早く着いちゃったよ。早く着いたせいで、10分ほど開場を早くさせてしまったようでなんだか申し訳なかった。
「延陽伯」この噺を聴くのは二回目。以前確か繁昌亭で・・・誰だったけか・・・調べると面倒だから、ま、いいや。
染みついちゃった言葉って本当に抜けないようですね。以前ネットの話題で読んだんだけど、長年コールセンターでお客様対応をやっていると自然言葉は丁寧になる。そしてそれが身に付くおかげで家でも「かしこまりました」なんて言葉になっちゃうそうです。だからこの噺はあり得ないものでもない。にしても確かに急いでいるときは面倒ですよね(笑)。
そしてこれ、掛け合いの台詞ではないから、覚えるの大変だろうな・・・とふと思った。

次の「遊山船」は、このちょうど一週間前に「新開地寄席」で雀三郎さんで聴いてるんですよね。2週続けての「遊山船」そして演者が違う。こういう楽しみたっぷりの聴き方ができるとは。こういう聴き方はホントに面白いです。まして全くタイプの違う落語家さんですからね。演者によって噺の雰囲気が全く変わるということをシミジミと味あわせていただきました。
そそ「マキヤキ」ですが、ちゃんと「巻き焼き」と聞こえました。不思議ですよねぇ。「巻き焼き」だとわかってるからちゃんと「巻き焼き」って聞こえるんですよね。

続いてはなんと雀三郎さんのお弟子さんの雀五郎さん。これも奇遇です(笑)。「短命」面白い噺ですが、そっか「やりすぎ」ても早死にするのか・・・などと変なとこに関心がいってしまう噺でもあります(笑)。

「皿屋敷」も染二さんで2回聴いてるんですよねぇ。これまた演者が変わる面白さを味あわせていただきました。結構デフォルメする染二さんの「皿屋敷」。淡々とかっちりまとめる米二さんの「皿屋敷」って感じですね。お菊さんは染二さんのお菊さんの方がずーっと色っぽい(笑)。でも「嫁さんと一緒や!」と驚かれてしまう米二さんのお菊さんの方がキャラとしては好きかも。そういや、女遊びに長けてる人が演じる女性は色っぽいとかって聞きましたが・・・。さて真相はいかに?ですね。

【歌舞伎】『七月大歌舞伎』(夜の部)

2012年07月19日 | STAGE
『七月大歌舞伎』(夜の部)
「義経千本桜」渡海屋・大物浦
渡海屋銀平実は新中納言知盛:吉右衛門
女房お柳実は典侍の局:魁春
相模五郎:錦之助
武蔵坊弁慶:歌六
源九郎判官義経:梅玉

頼朝に追われ、都落ちをした義経主従が逗留する船問屋の渡海屋。船の用意が整ったとの知らせに海に向かう一行。しかし実はこの渡海屋の主は平知盛だった。そして知盛は配下を率い義経を討たんと出陣する。形勢は知盛に不利となり瀕死の知盛だが、なおも義経に挑みかかる。しかし義経に助けられた安徳帝は知盛を諌め、覚悟を決めた知盛は自ら海へと飛び込む。

この渡海屋・大物浦は知盛の入水シーンが無茶苦茶かっこいい。まず初めて見たのは文楽でだったんですが、文楽でもかっこいいんですよ。そして2か月ほど前に衛星劇場でも放映されてて、それで見て(もちろん知盛は吉右衛門さん)、吉右衛門さんの知盛にクラクラ来てたんですが、今回は生!もうねぇ・・・かっこよすぎです。後ろ向きのダイブ・・・怖いでしょうねぇ。でも見せるためにはあの形じゃないと決まらない。「すし屋」も好きですが、吉右衛門さんは権太より知盛の方が似合ってるような気がする。


「襲名披露口上」
歌昇さんの三代目又五郎、種太郎さんの四代目歌昇襲名披露。
3月に京都南座でも見ているから2回目なんですよね。歌舞伎役者さんの口跡は何度聴いてもかっこいい。しかも「お久しぶりです。さっき海からあがってきました」と何ともお茶目な吉右衛門さん。やっぱ好きだなぁこの方。


「道行初音旅」吉野山
佐藤忠信実は源九郎狐:又五郎
静御前:芝雀
早見藤太:仁左衛門

「恋と忠義はいずれが重い かけて思いははかりなや」
一体、これ生で何回聴いているだろう?歌舞伎だと今回で2回目。文楽だと3回か・・・。これ文楽だと扇子キャッチなんて技があるから結構面白いんですよね。歌舞伎だと基本、舞踏ということでちょっぴり前半は眠くなる(笑)。ところが仁左衛門さんの藤太の登場で俄然面白くなる。以前見たときは橋之助さんだったんですが、インパクト違いすぎます。(^-^; ってか忠信よりインパクト強い。ニザさんもいいなぁ。これラストの演出が以前見たのと違うんですよね。以前は忠信は三津五郎さんだったんですが、静御前の後ろを嬉しそうに歩きながら、ついつい狐の手に戻ってしまうのをダメダメ・・・と自分を諌めながら歩くという姿がとてもかわいくって愛嬌があったんですが、今回は先に静御前が歩いていってしばらくして追いかけるという演出。まあ・・・ねぇ。又五郎さんって真面目って感じの人だかららしいと言えばらしいけど・・・。私は三津五郎さんの忠信の方が好きだな。


「天衣紛上野初花」河内山 松江邸広間より玄関先まで
使僧北谷道海実は河内山宗俊:染五郎
松江出雲守:歌昇
宮崎数馬:隼人
北村大膳:吉之助
高木小左衛門:錦之助

松江出雲守の屋敷に奉公している浪路を愛妾としたい出雲守だったが浪路が意に沿わぬことに腹を立て手討ちにしようとする、それを諌める家臣すら切り捨てようとしたところへ東叡山の門主よりの使いという僧がやってくる。しかしそれは浪路の実家から浪路を救い出すことを頼まれたお数寄屋坊主の河内山宗俊だった。

今回の河内山は初役だという染五郎さん。河内山宗俊って所謂ピカレスクロマン的な物語の主人公なんだけど、まだまだ染五郎さんってさわやかだから、ちょっと軽いかな・・・って気もしなくはない。不適なところがないとね。でも若くてさわやかなはずの歌昇さんの出雲守がなんとも傲慢な嫌な殿様で、以外にはまってたような気がする。案外彼の悪役って面白いかもしれないね。

-2012.7.18 大阪松竹座-

【落語】第66回新開地寄席

2012年07月16日 | 落語会
第66回新開地寄席(2012.7.15 新開地まちづくりスクエア)
-演目-
桂咲之輔さん「狸さい」
笑福亭銀瓶さん「宿題」
桂枝光さん「仔猫」
桂雀三郎さん「遊山船」

新開地まで落語を聴きに行ったわけではありません。今回は以前からこちらにボランティアで参加している友人に私も参加させてほしいと頼んで、お仲間に入れていただきました。設営からチラシの折り込み、お客様の誘導まで。昔、音楽サークルで自分たちで会場借りてライブやったりしてたもんだから、実は私、こういうの大好きなんですよね。当時はPCなんてない時代でしたから、チケットはプリントごっこで作成。いやあ、懐かしい思い出ですよ・・・遠い目・・・。
あ、そういや5年前はこんなことやったんだっけ。http://blog.goo.ne.jp/tome-pko/e/facec7e0aa09ea870e266a9f4d959315フライヤー作り担当でございました。フライヤー
ま、ともかく自分が最近すっかりハマってしまっている落語会にスタッフという形で参加させていただけたことホントに光栄でございました。スタッフと言いながらも落語は4席しっかりと聴かせていただきましたしね。

桂咲之輔さん「狸さい」この噺、むかーしテレビか何かで聴いたことはあり、なんとなく流れは知っているという噺でしたが、まともに聴くのは今回が初めて。でもなんでもかなりアレンジされていたとか・・・。ホントのオチは今じゃあわかりにくいからねぇ・・・とのスタッフ談でした。なるほどねぇ。

続いて、以前は私の地雷であった銀瓶さん(笑)。今回はスタッフだったもんだから、直に接する機会がありましてね・・・。いい人でした(爆)。そうだよ、あたしゃいい加減で単純なのさ。アッハッハ!!!
「宿題」を聴くのは二回目。前回聴いてからそんなに間があいてないのに、やはり笑ってしまう。算数の問題だから仕方ないとは言え、理不尽な流れに「スクールバス出したれよ!」や「さくらんぼはみんなでわけて食べるもん違う!」などの突っ込みが入るがその気持ちがよーくわかるもんだから余計に笑ってしまう。基本的に私は古典落語が好きなので、新作・・・創作落語というのはあまり好きじゃないんですが、ここまで完璧に出来上がってるとやはり否定は出来ませんねぇ。面白い!

初めてお目にかかる枝光さん。オーバーアクトだけど面白い。「仔猫」を聴くのは2回目。以前は「仔猫」なんてかわいいタイトルだから、どんな噺なんだろうとワクワクして聴いてたら、びっくりするオチに思わずどんよりしちゃったんですが、今回はオチを知ってるだけに、そこまでの運びを楽しみという余裕があった(笑)。暗い噺ということもあるのか、マクラでは、ダジャレ連発で素敵な笑顔で場を思い切り盛り上げて下さった。笑顔の素敵な落語家さんって得だよなぁ・・・と私は思う。楽しそうに話しているように見えるからこっちもノッちゃうんですよね。

ラストは雀三郎さん。「遊山船」は今回初めて聴く噺だったんですが、今の季節にぴったりで面白い噺です。でも考えたら昔は今のように冷房なんてなかったけど、夕涼みって出来たんですよね。今じゃ絶対無理ですよ。夕方だから涼しくなるだろうって外出てもエアコンの室外機で暑いですからね(笑)。屋形船だったら今でも涼しいかな・・・。そうそう、この噺でも卵のマキヤキって出てきたんですが、以前「貧乏花見」を聴いてたときもこのマッキャキという言葉が出てきて、音だけで聴いてるからなんでマッキャキなんだろうって思ってたんですよね。で、今日ネットで「巻焼き」という字があてられているのを見て、あー!「巻き焼き」ね!とやっと合点がいった暑い夜でございます(笑)。上方落語では仏壇「ブツダン」ではなく「ブッタン」ですから、「マッキャキ」なんでしょうねぇ。

終演後は速やかに撤収!その後打ち上げがあり、そちらにも参加させていただき、落語会だけじゃなく、いろんな裏ネタを聞かせていただきホントに楽しい一日でした。次回開催日が仕事でさえなければ間違いなく再び参加させていただく気満々です。

【落語】第15回桂米二つるはし一夜の宿の会

2012年07月15日 | 落語会
第15回桂米二つるはし一夜の宿の会(2012.7.12 雀のおやど)
-演目-
桂二葉さん「牛ほめ」
桂米二さん「寄合酒」
桂吉の丞さん「化物つかい」
桂米二さん「親子茶屋」

6月は私が行ける場所や時間での会がなかったので、毎月一度は聴いていた米二さんの落語が、なんと1か月半ぶりとなってしまいました。しかも今回は二葉ちゃんの「牛ほめ」ネタおろしです。仕事がうまく定時で終わるといいのに・・・と5時ころからそわそわ(笑)。無事、定時で終了して鶴橋へ!
この小屋は狭いし、座布団だから出来ればもたれられる壁際をねらいたかったのですが、着いたときにはほぼ満席。すごいですねえ「二葉ちゃん効果」!?
その効果絶大な二葉ちゃんの「牛ほめ」から幕が開きます。飄々とした感じで淡々と「牛ほめ」が進む。手に汗握ることもなく、無事終了。
お後に出てきた米二師匠は、いつもと同じく、裏でハラハラドキドキだったようです。なんでも間に合わないかもしれないという状態だったそうで、間に合わなかったら途中でおろすということまで考えてらっしゃったとか・・・師匠って大変ですねぇ。でも客席から「うまくなってますよ」との声がかかり、「褒めるんやったら教えた方褒めて欲しい」との言葉に客席から拍手。確かに教えるって根気いりますもんねぇ。でもなんだかんだ言いながら師匠、二葉ちゃんかわいいんだろうなぁ・・・とふと思う。

1か月半ぶりに聴く米二さんの落語は「寄合酒」。この噺も好きです。金のない奴らがなんだかんだと言いながら、酒と肴を持ち寄って、宴会をしようとするが、抜け目ないようでいてどこか抜けた面々。それぞれに宴会の肴をわやにしてしまう。こういう奴が一人くらいいると楽しいでしょうが、こんなに寄られると大変だね。この噺の中で、私はワンコの場面が一番好きなんですが、米二さんが演じるおとぼけキャラが好きだからこの場面はホント楽しかった。

季節がらぴったりな「化物つかい」。吉の丞さんは今回で3回目くらいかな。マクラは住んでるマンションの話。やたら風呂場だけきれいにリフォームされてる物件だとか、今住んでる所はトイレが狭く便器に座ると目の前が壁だとか・・・若手ってみんないろんなとこ住んでいるんですね。この「化物つかい」という噺は初めて聞く噺で、一組の夫婦が越してきた家は近所でも評判の化物屋敷。その噂に嫁はすぐに実家に帰り、残った亭主が本当に出てきた化物をこき使う。でも実際こんな剛毅な人っていないでしょうねぇ。

トリは米二さんの「親子茶屋」。このお噺も今回初めて聴きます。遊び人の息子を説教する親父の場面から始まる。しかしタイトルは「親子茶屋」展開は読める。落語ってタイトルで完全にネタばれしてるのって案外多いんですよね。そういうこだわりってのはないんですかね。オチがわかってても驚かせたり、唸らせたりするのがプロだぜ。ってのが落語の世界なのかもしれません。そういや同じ噺何度聴いてもやっぱり笑っちゃったり驚いたりするんですよね。
落語が終わってから、「きつねつり」の遊びの場面で目隠しに使う扇子の開き加減が難しいとおっしゃってて、三代目・・・って言ったっけ?ま、私は誰のことかわかんないんですが(爆)・・・は、ちょうどその一定の幅までしか開かない扇子を作って使っていたとか。『道具屋殺人事件』では「黄金餅」をやるために仕込み杖ならぬ仕込み扇子を作ったというのがあるんですが、そういう小道具である扇子の工夫って実際にもするんですね。

【落語】最終回 Somejiidom

2012年07月10日 | 落語会
最終回 Somejiidom -2012.7.8 天満天神繁盛亭-

昼の『藪原検校』観劇はこの独演会を知る以前から決まっていたので、さてこちらはどうしようか・・・とちょっとは悩んだんですが、「地獄八景亡者戯」と聞いていかないわけにはいかないでしょう。好きなんですよコレ。知人から米朝さんの「地獄八景亡者戯」のカセットを借りて聴いてからすっかりこの作品のファン。枝雀さん版のDVDも買って持ってるくらいに好き。しかもこの作品は大ネタなんで、早々寄席で聴くなんてことも出来ない。ま、以前これの「もどき」を聴いたことはありますが、あんなのはこの作品だとは認めない。どうせならこのタイトル使わないで「三途良いとこ一度はおいで」くらいにしてもらいたいものだ。
今回は「Somejiidom」の最終回。自分に挑むということでこの大ネタに挑戦の染二さん。しっかりと1時間10分。演じきって下さいました。これだけがっつりしっかり聴けるなんて、もうこれ終わって帰ったっていいや。くらいに大満足。途中、閻魔様登場のところでは、ここだけ写真OKです。とおっしゃって閻魔様登場!とこれでどうだ!な閻魔様のお顔。iPhoneは電源切ると入るまでに時間がかかるし、残念ながらこの日はコンデジも持ってなかったので写真が撮れなかった。こういうサービスを事前に知っていたらコンデジ持って行ったのに・・・。ホントに残念だ。

中入り後登場は、太神楽の豊来家大治朗さん。この方の舞台は以前繁盛亭の昼席で一度見ているんですが、今回はその時よりもすごかった。軽業で、台の上に円筒を置いてその上に板。グラグラと安定の悪い場所に乗っかって、尚且つジャグリングをするというんだからすごい。上がるまでの間がいい。結局は上がりませんというネタなのかと思ったくらいにトン!と乗っかって剣のジャグリング。すげー!それだけでも感動なのに、その後、輪が出てきてそのぐるりにナイフを刺していく。切れ味はしっかりときゅうりで確認。そしてその輪をくぐるというんですが、しかも両手には茶碗を三つづつ持って、手がつけないようにした状態でくぐるという。火の輪くぐるライオンよりすごくないかい?と思いつつ見ていると「ハッ!」見事成功。生でこういうの見られるってうれしいですねぇ。
大ネタ二つに挑戦だから、あえて落語家ではなく太神楽を持ってくるこの構成もいい。

ラストは「富久」
酒でしくじった太鼓持ちがお世話になった旦那さんの火事見舞いにあわてて出かけて、また酒で危うくなるかと思ったら今度は自分ちが火事。ジェットコースターのような人生だよね(笑)。この噺の主人公の久蔵の酒癖の悪さには呆れた。でも酒さえ飲まなきゃいいやつだからみんなが久蔵にやさしいんですよねぇ。いい噺だ。季節は年末の寒い時期の噺なんで、できれば寒い時期に聴きたいですね。きっとこの時期よりも心がほっこりするはずです。

ホントにいい会だった。満足、満足。

【舞台】『藪原検校』

2012年07月09日 | STAGE
『藪原検校』
作:井上ひさし。
演出:栗山民也。
出演:野村萬斎。秋山菜津子。浅野和之。小日向文世。山内圭哉。

江戸中期の塩釜の地。小悪党の魚売り七兵衛と醜女だが気立てのよいお志保との間に一人の男の子が生まれる。しかし、お志保と世帯を持ち改心したはずの七兵衛がお産の費用欲しさに行きずりの座頭を殺したことが巡る因果となったのかその子も盲だった。その事実に苦悩し七兵衛は自害。その子は塩釜の座頭・琴の市に預けられ、杉の市という名をもらう。手癖が悪く手が早い杉の市は、十三才で女を知り、師匠の女房にまで手を出し、やがて悪事の限りを尽し、藪原検校にまでのぼりつめるが・・・。

以前・・・えっと2007年に、蜷川幸雄演出による古田新太主演の『藪原検校』を見てるので、塙保己市がコヒさんだと知り、絶対観に行くぞモードに突入、速攻でチケットをゲット。この日が楽しみでしかたなかった。
幕があくと、舞台に張り巡らされた縄。蜷川版と同じだ・・・って考えたら脚本が一緒なんだもん、そらほぼ流れは一緒だよね。(^-^;
でも、なんか違う。こちらの方が明るい。歌?あれ?蜷川版でもあったっけ?あったような気はするが・・・。と帰ってきてDVDをチェック。あ、思いっきり歌ってる。歌うシーンも一緒だよ。(^-^; どんだけ記憶あやふやなんだよ。
で、ここで驚くべくことが・・・蜷川版の音楽宇崎竜堂さんなんだよね。この時音楽よかったんだけどなぁ・・・って、まあそれは今回の『藪原検校』の話じゃないので、おいといて・・・。
歌詞は同じなんだけど曲が違うんですよね。今回の萬斎版の方が明るい。ま、出てるメンバーも全然雰囲気違いますからね。蜷川版では物語を最初から最後まで語る座頭役は壤晴彦さん。今回は浅野和之さん。違いすぎです(笑)。重厚な壤晴彦さんに対し軽妙な浅野和之さん。この二人の対比だけでこの二作品の違いがはっきりすると思う。暗いピカレスクロマンなこの作品が、今回は妙に明るく楽しかった。初めて舞台を見る野村萬斎さんは、さすがの巧さですね。そしてわが愛しのコヒさんもまた軽妙で、いい!歌まで歌っちゃうしなぁ。堪能した。どちらの演出でもそれぞれに同じ芝居だけど全然違うものとして十分に楽しめる。ただ「早物語」は、古田さんの方がすごかった。萬斎さんの「早物語」」は遊びがあったんだけど、古田さんはガチで「早物語」語ってましたからねぇ。萬斎さんは普通にすると巧いからわざと遊びをいれたのかもしれませんけどね。
途中ちょっと噛んじゃった浅野さん。「え~・・・」って突っ込む圭哉さん。そして休憩後、「先ほどはお聞き苦しい点があり失礼しました」と一言添える浅野さん。これだけでこの芝居の雰囲気をわかっていただけるかと思います。楽しかった。堪能した。

-2012.7.8 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール-

【舞台】『男の花道』

2012年07月05日 | STAGE
『男の花道』
演出:マキノ雅彦。
音楽:宇崎竜童。
出演:中村福助。中村梅雀。尾上松也。風間俊介。一色采子。

大坂一の人気女形、加賀屋歌右衛門は、次は江戸で興行するために一座と共に大坂を後にする。何としても成功させなければならない江戸の興行。たが、歌右衛門は目を患い、彼の目は日に日に見えなくなっていたのだった。舞台を見ていてそのことに気付いた蘭学医土生玄碩により手術を受けたことで目は回復する。歌右衛門は土生玄碩の大恩に報いるためにも芸への精進を誓う。歌右衛門の舞台は江戸でも評判を博していた。そんなある日、土生玄碩は命がけの窮地に陥ることになってしまう。

なぜ私がこの作品を観に行こうと思ったか。それはマキノ雅彦さんの演出だってことと、福助さんの歌舞伎以外の芝居を見てみたかったということだったんですが・・・。
えっと、とりあえず一言申し上げますと、これから私がこの作品の感想として書くことは、ある意味、服買いに行って入った店がシニア専門店なのに、色が悪いとかババ臭いとかって文句付けてるってことと同等だと思って下さい。
もう間違いなくこの作品はシニア向けです。商業演劇のくくりですね。小劇場系の舞台や蜷川作品なんかを観に行ってる人にはまず合わないでしょう。悪い作品ではないんですよ。でも合わない。全然違いますね。まず音楽がね・・・昭和なんですよ。竜童さんの音楽嫌いじゃないですよ。嫌いじゃないんですが、竜道さんの音楽自体がもう昭和なんですよ。で、BGMっていうのかな・・・バックの音楽が手抜きっぽい。このシーンにはこの曲ってしっかり計算されてない。これも商業演劇ならどうってことないんでしょう。たぶん当たり前。そして演出が単調。やはり映画の人なんですよね。
新国劇が好きで、商業演劇が好きで、好きな役者さん出てたらそれだけでいい。って人にはお勧めです。決して悪い作品ではないです。ただ、そうじゃない人・・・私みたいなのね。は、やめた方がいい。
パルコプロデュースってのにもだまされたんだよなぁ・・・。(^-^;

-2012.7.4 新歌舞伎座-