玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

その特徴は

2016-12-10 15:19:44 | ぽんぽこ便り
 まだ1年がまわっていないのですが、2月から12月までをみたので、津田塾大のタヌキの食性が他の場所にくらべてどう違うかを考えてみます。
 津田塾大のキャンパスはシイやカシの常緑広葉樹が多く、うっそうとした立派な林があるのが特徴です。立派な林があるとタヌキの食べ物も豊富にあると思いがちですが、どうもそうとは言えないようです。
 シイやカシの林には秋にドングリがたくさんなりますが、タヌキの糞から殻はでてきませんでした。東京西部のタヌキはケンポナシ、ジャノヒゲ、ヒサカキなど雑木林に多い植物の果実、それに林縁にあるサルナシやキイチゴの仲間の果実をよく食べるのですが、これらが津田のタヌキの糞からはほとんど出てきませんでした。これらの植物はいずれも雑木林(コナラやクヌギの落葉樹林)に生える植物です。こういう植物は常緑樹林にはあまりありません。昆虫は糞からよく出てくるので、まずまずいるのだと思いますが、バッタなど草原にいるような昆虫ではなく、甲虫が主体でした。食物が乏しくなると哺乳類や鳥類がでてきますが、これはほかに何もないから死体を探して食べるのだと思われ、ほかの場所でも同様です。
 やや意外だったのは人工物が意外と少なかったことです。市街地の中にあるわけですからもっと多くでてきても不思議ではないのですが、その意味ではだいたいはキャンパス内の自然物でまかなえているようです。キャンパス内には大きなイチョウの木があってたくさんのギンナンがなります。ただしカキノキは確認していません。
 そういうことを総合的に考えると、津田塾大学の常緑樹林に暮らすタヌキは、雑多なものは食べないが、ギンナン、カキノキ、ムクノキなど季節ごとに供給される食べ物を利用し、乏しくなると昆虫や哺乳類・鳥類などを利用しているといえそうです。ただし秋のカキノキはキャンパスから出てどこかで見つけて来るようです。


津田塾大学のタヌキの食性を特徴づけるカキノキとムクノキの種子


ギンナン(イチョウの種子)




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